adieu「ナラタージュ」とは

「ナラタージュ」は2017年10月4日に発売されたadieu(アデュー)の1stシングルです。

adieuは、都内高校に通う17才で、そのほかのプロフィールは公開されておらず、謎の歌姫としても話題になりました。

主題歌として起用された映画「ナラタージュ」を10年間温めてきたという行定勲監督が製作陣とともに「時を止める歌声」というコンセプトを元に探し、たどり着いた逸材が彼女だったとか。

映画を見た方はすでにご存知だと思いますが、映画を見ておらず、adieuのことは知らないという方も、一度「ナラタージュ」を聴けば、澄み渡るような透明感と少女らしいあどけなさも残る歌声に、「時を止める歌声」という言葉の意味がわかるはずです。

「ナラタージュ」の作詞作曲をしたのはあの有名アーティスト!!


adieuの「ナラタージュ」の作詞作曲を行なったのはRADWIMPSの野田洋次郎さんです。

Aimerや、さユりなど、今旬のアーティストへの楽曲提供でもその腕が日本中に認められた野田洋次郎さんが作詞作曲をしたということで、「ナラタージュ」もadieuの正体がネット上で話題になるとともに、公開前からかなり注目を集めていましたね。

野田さんが映画の映像を実際に観たうえで書き上げたというこの曲は、の松本潤さん演じる高校教師と有村架純さん演じる元教え子が恋に落ちるという禁断の恋を描いた作品の世界観を見事に表現した切ないラブソングです。

それでは、次は「ナラタージュ」の歌詞を見ていきましょう。

adieu「ナラタージュ」歌詞解釈

あなたの鼻唄にいつも思いを馳せて月日は経っていった

あなたが歌ってた 夏のあの歌の
名前をついには 知れないまま

あなたの鼻唄だけを頼りにし
思い出の雲間を 流れるのです

出典: https://twitter.com/niy0n/status/906831791893258240

「あなたが歌ってた 夏のあの歌の名前をついには 知れないまま」という歌い出しは、「あなた」と出会った夏のことを思い出し続けている「わたし」の姿が窺える歌詞です。

人の鼻歌から曲名を想像することは、聞いたことがあるなら簡単かもしれませんが、知らない曲だと鼻歌であるため歌詞を手掛かりに探すこともできず、とても難しいですよね。

しかも、この歌詞では、思い出の中の人が歌っていた鼻歌なので、最近の曲ならたまたま耳にすることもできるかもしれませんが、膨大な曲の中から探さなければならないのです。

しかし、手がかりもなく膨大な音楽の海をさまようそのあてどもない作業が、もうどこにいるともわからない「あなた」の面影を探すことと重なって行くというなんとも秀逸な表現ですよね。

この歌詞に奇妙な切なさと愛おしさが溢れている理由はここだと思います。

「あなた」と離れてからもう何年も想い続けている「わたし」に共感して胸が締め付けられますね。

あなた色をした時間の中で、わたしは大人になっていった

それはもう今では 恥ずかしいほどに
誰の目にも あなた色してた

わたしの身体は懐かしき彼方
今はもう 違う 匂いがする

出典: https://twitter.com/ARASHI_MIZU1023/status/918055303169449985

「あなた」への想いへとらわれ続けた年月は振り返ってみれば誰が見ても「あなた色」で恥ずかしく思うほどなのでした。

しかし、「あなた」と出会った頃から、気持ちはずっと変わらないのに、少女は大人の女性へと変わっていることがわかる歌詞。

遠ざかる思い出と、刻々と過ぎていく時間のギャップの中で揺れ動いているのでしょう。

この部分の歌詞からは、時間は経つのに、心が追いついていかない戸惑いという感情描写が、この歌が放つ儚さや、少女が大人の女性へと変わっていく色っぽさにも繋がっていることが感じられますね。

恋をしたワケなんて一つもなくても、それは人生を変える恋だった

理由ばっかり尋ねる世界で
ワケなど一つもなく恋をした

正しい夢の終わり方なんて
この世でわたしわたしだけが知ってる

あなたをちゃんと思い出にできたよ

出典: https://twitter.com/mipanda_619/status/919539942421798913

恋に落ちた理由を訊かれてもなかなか答えられない、でもすごく好きで、その人がいないなんて考えられないくらい好きでという感情は共感できるという人も多いのではないでしょうか。

「理由ばっかり尋ねる世界でワケなど一つもなく恋をした」という歌詞はまさにそんな感情を歌っているのでしょう。

しかし、そんな恋にいつまでも縛られるわけにいかないと分かっている「わたし」は少女の頃の恋が見せた「夢」を終わらせる決意をしたのでした。

「あなたをちゃんと思い出にできたよ」という歌詞には、どこか折れてしまいそうな儚さもありますが、強く生きようとしている姿が感じ取れますね。

夢を美しい思い出として終わらせるという決意にはどれほどの時間がかかったのでしょう。

そして、美しくも、根深い呪いのような恋の終わりは、開放感のあるメロディーに乗せてサビへと繋がっていきます。

知ることができた真剣に恋をする気持ちはこの恋が終わっても手放さない