寂しい夜に聴きたい
切なさと温もりが交錯するTETORAの『レイリー』。
タイトルになっている「レイリー」とは人の名前で、男性と女性どちらにもつけられます。
サビで連呼されるこの「レイリー」とは、いったい誰のことなのか。
この曲の主人公とは、どういう関係なのか。
歌詞を解釈していきながら、その答えに迫ります。
独りが寂しい夜に聴きたいこの曲。
寂しさを持て余しているのは、君だけじゃない。
この曲はそう言って、肩を抱いてくれるようです。
素朴な優しさに満ちたMV
『レイリー』のMVは素朴な優しさを感じられる映像になっています。
窓から部屋に射しこむ柔らかな日の光。
メンバーの穏やかな表情。
それらすべてに、ずっとこのMVを見ていたいような心地良さを感じませんか?
ふとした瞬間に思い出す人
注目したいのは部屋の明暗について。
メンバーたちがいる部屋は、明るくもなければ、決して暗くもない。そんな微妙な明るさです。
窓から射す日の光だけが部屋を照らすその様は、静かな休日の昼下がりといったところでしょうか。
特に予定もないし、出かける必要もない。
MVを見ていると、この部屋の中だけ時間がゆっくりと流れているような、そんな気持ちになります。
穏やかに音楽を奏でながら、彼女たちはそれぞれの大切な人を思い浮かべているのかもしれません。
この曲は「レイリー」という人に向けて歌った曲。
しかしそれは、叫ぶようにして伝えたいメッセージではないはずです。
心の中で思ったことを、零れるように言葉にして紡いでいく。
ふとした瞬間に頭に浮かぶ、大切な人。
そんな人に伝えたいことというのは、きっとシンプルで飾り気のない言葉なのでしょう。
それを表現するように、MVも派手な演出や凝った編集に頼らず、メンバーのありのままの姿を映し出しています。
誰もが感じている寂しさ
ここからは歌詞に隠された深すぎるメッセージについて考察していきます。
大きな事件や悲劇がなくても、人は生きていれば常に心のどこかで寂しさを感じているものです。
それはきっと、自分のすべてを相手に理解してもらうことなど不可能だということを、誰もが理解しているから。
どんなに仲の良い相手でも、きっと理解しあえない部分がある。
そんなことは当然のことだと頭では分かっているのに、どうしても寂しいと思ってしまいます。
誰もが心の奥底に抱えている孤独。
それがこの曲では、優しさと共に歌われています。
繊細な心を守りたい
どっちが右で左かなんて
馬鹿なフリでいればいい
変なプライドも 必要な強がりも
夜になればどこが飛んでいく
出典: レイリー/作詞:上野羽有音 作曲:上野羽有音
すべてのものをカテゴライズすることは、時にひどく億劫なことに思えるものです。
名前を付けられない気持ちや、どっちつかずの感情。
それらを無理に整理して考える必要はあるのでしょうか?
もしどうしてもカテゴライズしなければならないというのなら、何もかも分からないフリをしていればいい。
自分は何も知らないし、何もできない。
そんな自分を演じることで、誰かから馬鹿にされることもあるかもしれません。
しかし、それでもいいじゃないか。とこの歌詞では歌っています。
周りの人に良く思われたいなんて気持ち、夜になれば消えてしまうでしょう。
自分の心を雑に扱われるくらいなら、いくらでも馬鹿を演じてやる。
この曲の主人公は繊細で、少し気難しいところがあるのかもしれません。
主人公だけが気づいたレイリーの孤独
自分に気づかれないように
君は独りぼっちを隠してる
出典: レイリー/作詞:上野羽有音 作曲:上野羽有音
ここの歌詞で登場する「君」。
これはおそらく「レイリー」を指しているのでしょう。
レイリーは主人公とは反対に、自分の心を殺して周囲に合わせてしまうような性格なのかもしれません。
自分を偽って生きるのは、とても苦しく孤独なことです。
そしてレイリーは、そんな孤独な自分さえも心の奥深くに隠してしまっているのでしょう。
主人公は、自分の気持ちを上手く表に出せないでいるレイリーのことを見ていられなかったのかもしれません。
本当は寂しいのに、寂しいと声にだせない。
そんなのは辛すぎる。
レイリーが心の中で泣いていることを、きっと主人公だけが気づいたのでしょうね。