「harmony ribbon」を「今歌わなきゃ」…その理由とは?
コンペの選考で直感した「唯一無二の曲」
アーティストが歌う楽曲には、自分自身で作詞作曲したものもあれば、音楽作家さんが作ったものもあります。
水瀬いのりちゃんの「harmony ribbon」は後者にあたり、2ndシングルを決めるコンペにはいのりちゃん自身も選考に参加。本作品はそこで選ばれました。
このとき、いのりちゃんはこの曲を「今歌わなきゃ」と思ったと言います。その理由がこちらです。
「この曲は唯一無二な感じがしましたし、この先、出会うことがないかもしれないタイプの曲で、今歌わなきゃいけないと強く思った」
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/Harmony_ribbon
1stシングル「夢のつぼみ」では『たとえ涙に濡れても夢を叶えるために未来へ向かって走り続ける想い』を歌ったいのりちゃんが、コンペでビビッと直感した「harmony ribbon」。
この曲を作詞作曲したのは多田慎也さんです。多田さんは、AKB48のヒット曲「ポニーテールとシュシュ」や嵐の隠れ名曲「Still...」などの有名曲を多数生み出してきました。
そんな多田さんの曲を見出したいのりちゃんは、1stシングルに引き続き本作品でもボーカルに加えてコーラスまで自分で担当しています。
いのりちゃんは、さらに本作品のマスタリングにも参加。
これらのエピソードに加えて歌声の変化に気を使って歌いあげたという逸話からも、本作品にいのりちゃんの想いが込められていることを感じることができます。
「harmony ribbon」の歌詞を徹底紹介
「harmony ribbon」に込められた想いとは
「harmony ribbon」の制作エピソードからは、いのりちゃんが本作品に「他にはない魅力」を感じたことがわかりましたね。
また彼女が制作に取り組む姿勢からは、曲への思い入れの深さが感じられました。
さて、いのりちゃんは実際にこの曲にどんな想いを込めて歌ったのでしょうか?歌詞からその想いを紐解いていきましょう。
傷ついた心を包む「harmony ribbon」
何だってなれる気がした 虹の雨上がり
水飛沫を上げて 自転車は走る
後悔も 流した涙も 未来に蒔いた種
いつか花を咲かそうよ 自分だけのその色で
出典: harmony ribbon/作詞:多田慎也 作曲:多田慎也
雨上がりの虹。皆さんは見たことがありますか?筆者自身、虹は数えるほどしか見たことがありません。
虹は気象現象の中でも珍しく、そして美しいものです。平和や希望の象徴とされたり、幸運の前触れとされたりしてきました。
だから歌詞にある<何だってなれる気がした>気持ちにはとても共感できますね。
しかし、虹が生まれるためには必ず雨が必要です。
気持ち悪い湿気を纏ってやってくる煩わしい雨は悲しみや憂鬱の象徴。どちらかと言えば虹とは正反対の存在です。しかし、これが無いと虹が生まれることはありません。
私たちが精一杯生きる毎日も、これらの自然現象と同じところがあるのではないでしょうか。
昨日まで晴天でも今日、不意に大雨が降るように、突然上手くいかなくて<後悔>したり<涙>を流したりすることがあります。
そして、それらはすべて<未来に蒔いた種>。
冷たい地面の中で耐えて芽吹きのときを迎えたら、植物のように私たちも<花>を咲かせることができるかもしれません。
風が顔を撫でて そっと 明日へと私を誘う
なくしかけてた 優しさみたい 見上げた空の青さ 心に抱きしめて 今
出典: harmony ribbon/作詞:多田慎也 作曲:多田慎也
未来の希望を歌う「harmony ribbon」は歌詞がとても優しいのが特徴です。
私たちを応援してくれる<風>は、けして強い追い風ではありません。勢い強く未来へ追い立てるのではなく<そっと><私を誘う>んです。
走っている勢いが強いほど、転んでしまったときの擦り傷は痛いもの。それは将来の夢へ向かって取り組んでいるときも同じです。失敗したら心がとっても痛みますから。
そして転んだその瞬間に「立ち上がれ!未来へ走れ!」と言われても「そんなの無理……」と気持ちが萎えてしまうものです。
そこに効くのが「harmony ribbon」の優しさなんです。この優しさは傷ついた心をそっと包み込んでくれるように感じませんか?そこには強くとも温かな想いが確かに感じられるんです。
届け声 前を向く勇気と 信じ抜くハートを ずっと忘れないから
叶えたい 誰かが嘲笑っても 踏み出した一歩が そう全てだから
時にどんな悲しみが胸を 埋め尽くしたとしても
大丈夫 明けない夜などないから
出典: harmony ribbon/作詞:多田慎也 作曲:多田慎也
<届け声>というのは「届け、私の声」という意味なのではないでしょうか。
『傷ついて前に進めない人の傷を「harmony ribbon」で包んで癒したい』
こんな想いがあるから、いのりちゃんは<大丈夫 明けない夜などないから>と優しく歌えるのだと筆者は考えています。