かつての夢はもう追えない?

幼少期の頃ならば 沢山夢ありました
パティシエさんになりたくて
スポーツ選手も悪くなさげだ
遠く過去を思い出せ
全部強いて言うならの話だ
特別な努力とか無くて
だって「夢」だろう

出典: ナミカレ/作詞:ぷす 作曲:ぷす

こんな優等生の主人公ですが、目隠しが完成する前は人並みに将来の夢を抱いていました。

しかし彼らしいといえばいいのか、その夢さえ冷めた目で見ていたようです。

つまり主人公にとって夢とは叶えるべきものではなかったということ。努力の対象ではなかったのです。

結局はこの考え方も目隠しの一部となり、彼を苦しめることになってしまいました。

しかし彼はきっとそのことに気がついていません。

劣等生に勝てない

夢とかどうやったら語れるの?
教えてよ ちゃんと良い子にしたじゃん
くらべられっ子 聴いても意味ないね
劣等生のあの子のほうが上手くいってる
目隠しがキツくて外れない

出典: ナミカレ/作詞:ぷす 作曲:ぷす

夢を誰かに与えてもらおうとする姿勢はいまだ変わることがありません。

しかしその理由を自分なりに考え始めたようです。

3行目【くらべられっ子】とはツユの楽曲タイトル。

【ナミカレ】が優等生の歌ならば、【くらべられっ子】は反対の劣等生ソングです。

優等生の主人公はそんな劣等生の歌を聴いて、自分は良くできた子だと再確認したかったのでしょう。

しかしその計画は失敗に終わりました。

この楽曲ではいわゆるダメな主人公が失敗を繰り返しながらも必死に生きる姿を描いています。

そう、彼らは必死に生きているのです。だから夢を追って輝きますし、その姿が眩しく見えるのでしょう。

主人公はただ劣等生の輝かしい姿を見せつけられたような気分で、意気消沈しています。

転落の予感?

幼少期の頃ならば 沢山褒められました
将来、超期待されて
お年玉やプレゼント貰えて
ずっと続けばいいのに
なんでこうもあからさまに数は減り
そして無いのが当然だと
全部、夢みたい

出典: ナミカレ/作詞:ぷす 作曲:ぷす

自分が優等生としての人生を歩み始め、優等生として絶頂だった頃のことを思い出しています。

周囲からの言葉、まなざし全てが「優等生としての自分」を作り上げました。

周りからの評価で作り上げられた主人公は、その評価がなくなった瞬間どうなるか。

自分自身を見失い、混乱に陥るのです。

「夢がない」という人生初の挫折を味わう主人公の心境が、お年玉プレゼントを例に表現されていました。

見つからない答え

願っても手に入らない

夢とかどうやったら見つかるの?
教えてよ だって!良い子にしたじゃん…
無事、大人ってやつになって 言うことも聞いてきた
容姿は特に良くはなかったけども
中の下くらいの人生 生きてきた

出典: ナミカレ/作詞:ぷす 作曲:ぷす

前半で解説した歌詞と同じような内容が繰り返されています。

異なっているのは2行目。使われている言葉は違いますが、受け取れる感情は異なっているように見えますね。

「!」や「…」といった記号だけで、主人公の心情変化が伝わってきます。

これまで悪さなどせず真面目に生きてきたことが、彼にとって最大のステータスなのでしょう。

だからこそそのステータスがあっても夢が手に入らないことへ、怒りに近い感情を抱いているというわけです。

ただそれではダメなのだろうと理解し始めた主人公。

そこで4-5行目では、これまでと違った姿勢を見せているのです。

5行目に注目してみると、自分自身のことを「半分より下」だと言っていますね。優等生らしからぬ発言です。

きっとキラキラと輝く劣等生の姿を見て、どこかしら劣っている箇所を探そうとしたのかもしれません。

その結果見つかったのが、自分の力ではどうすることもできなかった見た目問題でした。

容姿の問題をもって、自分の人生が良いことばかりではなかったのだとアピールしているのです。

この単純さ、主人公にちょっぴり愛おしささえ感じさせますね。

底辺で生きる?

がむしゃらな態度で僕を見下さないで
ムカつくんだ
幸せそうな声が憎らしくて
社会の最底辺でこのまま朽ちてゆく
漠然としたまま過ぎ去ってしまうわ
涙すら枯れてしまった

枯れてしまったんだ

出典: ナミカレ/作詞:ぷす 作曲:ぷす