『ビバリーヒルズ・コップ』シリーズなど様々なコマディ映画を主演した黒人俳優。筆者はこの歌の解釈では人を楽しませるコメディアンを代表して引用されていると考えています。
ガリレオ・ガリレイ
それまで信じられていた天動説に対し、地動説を主張し異端審問で追及され牢獄に閉じ込められた人物。この歌の中では、真実を追及し、うまく立ちまわらない人物を象徴していると考えられます。
「セツナレンサ」の私的な解釈
以下は私的な「セツナレンサ」の解釈です。 英語詞もまざっており、内容もかなり難しいので、どうしても自分の解釈だと言わざるをえません。 ご了承ください。
エディ・マーフィはコメディアンです。 コメディアンのように友だちにあわせてまわりを楽しませることはきっととても大変です。 とても気をつかう行為だからです。 娯楽産業は娯楽であるべきだったのではないか? そう考える野田がいると僕は思います。
一方、ガリレオ・ガリレイのように真実ばかりを求めて、人との関係を考えない人に対して、うんざりする時もあります。 でもそういう人が見つけた真実が世界を前進させてきたと考えることもできます。 音楽は人を楽しませる娯楽であるべきか? あるいは自己主張の延長の上に真実を見出すべきか? そういう問いかけがこの歌にはあると思います。
人を楽しませる存在でいたい。でも人とあわせることに疲れた。 そういう告白がこの歌にはあるのではないでしょうか? 楽しくないのに笑える。 悲しくないのに悲しくふるまえる。 周囲の人のために自分が主張するのではなく、楽しませたり共感したりする。 そういうコミュニケーション疲れについての歌だと言えるかもしれません。
どうすれば人と人が本当に仲良くなれるのか? 人と人のわかりあえなさの連鎖について歌われていると想像します。 それがセツナレンサなのでしょう。
本当に難しい歌で、その意味をはっきりと理解しているとは言い難い部分があります。 しかし人と人の繋がることの難しさが感じられるこの歌詞から 受け取るものの多さを感じます。 娯楽か真実か?
最後の他者にうつる自分が本当の自分なのか? (それとも自分が考える自分が本当の自分なのか?) という部分は、かなり哲学的な問題で答えることが難しい問いです。
人と人が繋がること、繋がることが難しいこと
バンドはそれぞれの演奏する音がそれぞれの心から鳴らされている、 つまりジャムのようなことをしている場合、非言語的な心の繋がりを感じられる心理的影響があります。
心の繋がりというものが言語的ではなく、感じられるのです。 だから音楽というものに人との繋がりを個人的に感じています。 そして音楽というものが心を投影するものであると理解しているからこそ、音が響きます。
一方、相手との力関係や上下関係、相手と対等ではなく、自分の心を偽らなければならない時、 人との関係というものはとても面倒になります。 これは本当に難しい問題です。
どうすれば人と人は繋がれるのでしょうか?
この問題に真摯に向き合っている野田は本当に格好良いと思います。
コラージュとしてのミクスチャーロック
「セツナレンサ」youtubeの映像
映像をみてもその意味が一見わからないコラージュ的な技法が使用されています。 コラージュとは現代絵画の技法のひとつでありとあらゆる性質とロジックのばらばらの素材を組み合わせて作り上げるアートです。
ミクスチャーロックとコラージュ
ミクスチャーロックは実は音によるコラージュなのではないかというのが筆者の考えです。好きなフレーズをあらゆるところから引用、あるいは改変し、音楽というテクスチャーに貼り付けることでオリジナリティを生み出すことができる要素は、コラージュ的です。またこれらの技法はヒップホップと相性が良い理由が、同じようにコラージュ的な芸術だと思うからです。
コラージュという技法は比較的新しい技法で、新しい表現を生み出すとともに、無意識の領域を理解するための心理学的な方法でもあります。 何をどう選択してミックスし表現するか? それらは多くの場合、直感的に組み合わせられるからです。そういった音楽にあわせて、野田は凄い詞を生み出しています。
最後に
RADWIMPSの音楽は野田とメンバーの力で深く、広く、そして自由に広がっていると思います。
そういう深さ、広さ、自由さはこれまでにないもので、 これまで表現されていなかったことについて歌われていると思います。 また音楽は自由自在なミクスチャーロックで、どういうふうにも演奏できるという自在さを感じます。
コラージュ的表現がそうであるように、RADWIMPSの世界の解釈はまだ定まっていないのではないでしょうか? まだまだ可能性を見せ続けているバンドだと思います。
彼らの音楽のあまりの幅広さ、そして言葉のあまりの深さに愕然とさせられました。
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