一筋縄ではいかない『25コ目の染色体』の歌詞
RADWIMPSの大きな魅力といえば、野田洋次郎が紡ぎ出すどこか難解な歌詞ではないでしょうか。
決して難しい言葉を使っているわけではない歌詞、その一層内側に、まるで伏線のように広がる深い世界が存在します。
彼らの楽曲には、印象的なメロディーを聴く楽しみとともに「歌詞を読み解く」という楽しさがあるのです。
今回ご紹介する『25コ目の染色体』もその一つといえるでしょう。
『25コ目の染色体』のMV

2005年11月23日にリリースされたRADWIMPSのメジャーデビューシングル『25コ目の染色体』。
こちらはMVが制作されており、色がありながらセピアを感じさせる部屋にいる一人の美しい女性が印象的です。
また、若かりし頃のRADWIMPSの演奏シーンも必見です!
『25コ目の染色体』の歌詞に迫る!
生物学に触れたことがある方は、この曲のタイトルを見た瞬間に疑問符が飛び出すかもしれません。
染色体と「25」という数字にはどういった関係があるのでしょうか。
奥深い物語が込められた『25コ目の染色体』の歌詞を紐解きます!
幸せすぎて忘れていたもの
この曲の登場人物は「僕」と「あなた」「君」。
「あなた」は女性であり、二人は恋人同士の関係性なのでしょう。
「131」は何を表すのか
あなたがくれたモノ たくさん僕持ってる
それを今ひとつずつ数えてる
1,2,3個目が涙腺をノックする
131個目が瞼にのったよ
出典: 25コ目の染色体/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
今まで「僕」は、彼女から沢山のものをもらいました。
それは「物」ではなく「モノ」と表現されていることから、形のあるものもないものも含まれているのでしょう。
彼はその数を数えています。
一つ数える度、彼女のことや「モノ」にまつわる思い出が蘇り、泣きそうになってしまうようです。
ここで「131」という数字が出てきます。これは何を表現しているのでしょうか。
人間の染色体は23本あります。22本の常染色体と1本の性染色体という構成です。
131という数字から23を引くと、残るのは108。つまり煩悩の数です。
人間の欲望や嫉妬心、疑念などを表す「煩悩」。
彼は、彼女を愛するが故に108の煩悩全てを持ってしまったのかもしれません。
また、131という数字を読み解くために、一つ前の「130」に注目してみました。
130は、8個の約数を持っています。1、2、5、10、13、26、65、130です。
そして、初めの4つを2乗した合計が130。この性質は整数の中で唯一なのだとか。
これを知ると「130」という数字にはどこか安定した印象を受けます。
曲中で「131個目」だけが唯一、涙腺をノックする130個に入らなかったようです。
つまり、今まで積み上げてきた安定や安心が今まさに崩れようとしている、とも読み取れるのではないでしょうか。
忘れてた泣き方 でも
今ここにある何か 目を閉じても零れそうな気がして
出典: 25コ目の染色体/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
彼女と出会い、楽しいことばかりが続いていました。
辛くても支えてくれる彼女がいたから、涙を流すことは殆どなかったようです。
だから心から悲しい事実に直面した今、泣き方を思い出せません。
130個を数えながら募る思いをこらえていました。そして131個目の贈り物は瞼の上に。
瞼といっても上下ありますが、この場合は下瞼。つまり涙が溢れそうになっているのではないでしょうか。
瞼にのった「モノ」「何か」は目を閉じるだけで零れてしまいそうだと言います。
彼は泣き方を忘れてしまうほど幸せだったのです。
しかし今は、ただ目を閉じるだけでも感情が溢れ出してしまうほどの悲しみを感じているのでしょう。