「君への嘘」に隠された想いを考察!
「君への嘘」は「名探偵コナン」のED曲
「君への嘘」はテレビアニメ「名探偵コナン」のエンディングテーマとして使用されました。
VALSHEさんは以前にも「Butterfly Core」で「名探偵コナン」のオープニングテーマを担当。
エンディングテーマを担当したのは「君への嘘」が初めてでした。
曲調も「名探偵コナン」のエンディングを飾るのにふさわしい、壮大なバラードに。
新一と蘭の思い出が描かれたジャケットイラストも記憶に残ります。
エンディング映像は新一との待ち合わせを心待ちにしている蘭と、嘘をつくしかない新一の心情が対照的。
「君への嘘」は「名探偵コナン」にぴったりな曲となりました。
リアルな想いとフィクションの融合
実は「君への嘘」の歌詞に描かれているのはVALSHEさんのリアルな想い。
「名探偵コナン」らしさだけではなく、楽曲制作当時のVALSHEさんの気持ちがつづられているそうです。
VALSHEさんは失った人への想いを、飾らない言葉で正直に歌詞にしました。
アニメというフィクションである「名探偵コナン」と、VALSHEさんの経験が活きたリアルの融合。
それが「君への嘘」の歌詞をより切なく感じさせる要素となっているのでしょう。
もう届くことのない言葉
「君への嘘」には、大切な人を失ったときのVALSHEさんの気持ちがありのままにつづられています。
まずは1番の歌詞を見ていきましょう。
「君」を失った世界で
あとどれくらいこのままでいい?
気づかないフリをした
いつか壊れてしまうものなら
それも一つの結果と
僕は僕のままいられるだろうか
君だけがいない世界で
出典: 君への嘘/作詞:VALSHE 作曲:doriko、minato
冒頭の歌詞から伝わってくるのは、大切な人を失った「僕」のどうしようもない想い。
「僕」は「君」がもういないのだということを認めたくないのでしょう。
1行目と2行目の歌詞からは、そんな「僕」の現実逃避にも似た気持ちが伝わってきます。
世の中には不変のものなどありません。
どんなものもいつかは形を変え、ときには壊れたり失ったりするものもあります。
もちろん「僕」も、そんなことはわかっています。
わかっていても信じたくない、認めたくない、という「僕」の気持ちに共感する人もいるでしょう。
「僕」にとっての「君」はとても大切な、かけがえのない人物。
自分の一部といっても過言ではない「君」。
それを失った「僕」はこれからも変わらずにいられるのだろうか。
5行目と6行目の歌詞には、そんな不安な気持ちが表れています。
「名探偵コナン」で新一と離れ離れになった蘭の不安とも重なります。
「もし蘭を失ってしまったら」という新一の気持ちだと解釈することもできるかもしれません。
精一杯言葉にした「君への嘘」
いまから嘘をつくよ
たった一度の君への嘘
「待っていなくていいよ」
心にもない優しくもない
わかってるのに
出典: 君への嘘/作詞:VALSHE 作曲:doriko、minato
嘘をつくとき、ほとんどの人はバレないように嘘をつくものでしょう。
しかし「君への嘘」では1行目の歌詞にあるように嘘をつくことを宣言しています。
まるで決意をしてから嘘をついているようです。
嘘の内容は3行目の歌詞に描かれています。
失ってしまった「君」に対して、「僕」は突き放すような言葉を口にしました。
しかし宣言している通り、これは本心ではなく嘘の言葉。本当の「僕」の気持ちとは真逆の内容なのです。
「僕」はその言葉が空虚なものだと知りながら、精一杯努力して口に出したのでしょう。
そんな「僕」の努力が、とても切なく思えます。