刑事ドラマのエンディング・テーマ
「緊急取調室」(second season)
密室である取調室で度々起こる過剰な取調べと自白強要問題に対処すべく警視庁は取調室に監視カメラを設置。その中で決して自白しない、供述が二転三転する訳アリの容疑者を落とすべく取調べ専門のチームが結成され容疑者から真実を暴こうと奮戦する。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/緊急取調室
一癖も二癖もある刑事たちと被疑者との心理戦の最後に流れたこの楽曲はとてもインパクトの強いものでした。
刑事ドラマのエンディング・テーマの多くは、本編の緊張感を解きほぐすような叙情性のある無難な楽曲です。
しかし、この曲のタイトル「最後は必ず正義が勝つ」のストレートさといったら!
しかも、ヒップホップ調のこの曲のほぼ全編にわたって、このフレーズが繰り返されるのです。
おそらく、全国のちょっとほろ酔いでドラマを見ていたお父さんたちは同時につぶやいたのではないでしょうか。
「そりゃ、刑事ドラマだもの、犯人が捕まって最後は必ず正義が勝つに決まっているだろー」と。
でもね、お父さん、この曲は正義や悪をテーマにしたメッセージソングとしても優れているのです。
歌詞解説をしながら、この曲に込められたメッセージを考察します。
ストレートな表現に込めた”本気”
いつでもかかってきな
You wanna fight with me come on I'm ready
お行儀の悪い You're the bad boy
何か気に入らないとすぐ
キレる 脅す バックレる
出典: 最後は必ず正義が勝つ/作詞:AI 作曲:AI・UTA
喧嘩したいなら、いつでもかかってきな。
覚悟を決めた啖呵を切ってのスタートです。
何者にも屈しない、どんな脅しも恐れない、という決意表明です。
bad boyは、この手の言葉のよくある慣用語でイカした奴という意味もあります。
が、ここでは文字通りの悪ガキ。
気に入らないと暴力を振るう、白を切るというのは、子供じみた反応です。
そうした暴力の具体例をストレートな言葉で表現しています。
何を言っているのかわからない、という逃げ口上を塞ぐようなわかりやすさ。
暴力根絶の本気度が感じられます。
支配するか、服従するかの二者択一
パワー・バランスには敏感という姑息さ
一人じゃ何もできないくせに
力で相手をコントロール
自分より強そうな人には ゴマすってる
出典: 最後は必ず正義が勝つ/作詞:AI 作曲:AI・UTA
いくら一匹狼を気取っていても、家族やパートナー、同僚、友人たちとは無関係ではいられません。
他者から、認められ、理解され、信頼されることで、はじめて人間らしい生活が約束されます。
このパラグラフでの「力」とは、腕力や格闘能力といった物理的なものばかりではありません。
組織的、経済的な優越の誇示、ジェンダー上の偏見から生じる、威圧的行為、態度、言動による支配も含みます。
支配欲求が強い人間は、他者の精神的・肉体的な苦痛には鈍感な一方、パワー・バランスには非常に敏感です。
動物的な嗅覚や直感にも似たセンサーは、「支配するか」、「服従するか」を瞬時に判断するわけです。
厚労省のデータによれば、2016年度の職場での「いじめ・嫌がらせ」の相談件数は70,917件。
数字の中に隠された精神的苦痛はどれ程のものでしょう。
暴力や犯罪の証拠を発見する「眼」
ドラマを意識したフレーズ、だがそれだけではない
思い通りにはさせない
あなたには恐れない I'm stronger
誰かが見てるから Your Game Is Over
もう逃げられない
出典: 最後は必ず正義が勝つ/作詞:AI 作曲:AI・UTA