「あなた」に対する感謝
ありがとう、って伝えたくて なんとなく夜に電話つなげて
しばらくしてその声が聞こえてきたと思ったら
照れくさくて たまらなくて 結局いつもの無駄話して終わりそうだから
出典: For You/作詞:lecca 作曲:lecca
冒頭のフレーズからは深い信頼関係を読み取ることができました。
主人公はそんな「あなた」に感謝の気持ちを抱いているようです。
そしてこの気軽に電話で喋る関係性というのも素敵ですね。
電話をする相手というのは、特別な存在ではないでしょうか?
気兼ねなく過ごせる相手だったり、癒しを与えてくれる相手だったり…。
ここからも2人の深い絆を感じました。
心の支えになっている
あなたの隣でいつも 笑って過ごしてきた日々が私を強くしたから
appreciate your love ここまで一緒にいてくれて良かった
出典: For You/作詞:lecca 作曲:lecca
この英語部分は「あなたの愛に感謝している」という意味。
「あなた」の与えてくれる安心感。
それは主人公の心の支えとなり、主人公が頑張るためのエネルギーの土台となっているのでしょう。
心理学的にも、こういった絶対的な安心感が与える影響は大きいといわれています。
通常は母親などの親子関係から得るこの安心感。
小さな子供が活発に外の世界を探索するようになるためには、不可欠なものなのです。
これが欠けた状態で成長してしまうと、大人になっても上手く生きていけない感覚に陥ることも。
しかし、こういった関係性は家族のみと築く必要はありません。
友人や恋人などとも十分に築くことができます。
これがこの歌詞に出てくる「強くした」という原理なのだと、筆者は解釈しました。
「あなた」がいない喪失感
離れ離れになってしまう
出会ってからだいぶ時が過ぎてお互い大人に なってる証拠に
あなたは前を向いて走ってく
一緒にすごすことより大事なことなんて
あるなんて昔は知らなかったよね 遠くで逢えないときも
その声が聞こえないときも
約束します 弱音は吐かないって決めてる。
あなたに逢いたいときも 一言が欲しいときも
次に逢えるときまで がんばりとおすって
出典: For You/作詞:lecca 作曲:lecca
ここで、2人の状況が変化したようです。
おそらく前半での歌詞はとても若い時期の関係性のこと。
その後、段々とお互いに「自分の人生」を生きるために自立していきます。
「あなた」の前進しようとする意志を尊重し、「寂しい」という気持ちを我慢しているのでしょう。
もう昔のように「あなた」との時間を独り占めできない。
正直に言うと、もっと一緒にいたい。
でも、「あなた」には自分らしく生きてほしい。
そんな心情から、離れた場所から「あなた」のことを想い続けているのです。
ちょっと切ないですね。
過去の記憶が蘇る
「疲れた」って甘えたくて 無意識にメモリーよびだして
発信するその前に いつかの笑顔を思ったら
情けなくて 仕方なくて あなたに逢いたいよ、なんて 言えなくなった
出典: For You/作詞:lecca 作曲:lecca
ずっと「あなた」を心の支えにしてきた主人公。
いざ「あなた」が遠くへ行ってしまったとき、無意識に「あなた」の存在を求めてしまうようです。
でも、主人公が思い描いているのは過去の「あなた」の姿であることに気が付きます。
「あなた」は前進しているのに、自分は過去にすがってしまっている…。
そんな状況を客観的に感じて辛い気持ちがこみ上げてきたのかもしれません。
悔やむよりも感謝を
※繰り返し
あなたの隣でいつも 笑って過ごしてきた日々が私を強くしたから
appreciate your love ここまで一緒にいてくれて良かった
出典: For You/作詞:lecca 作曲:lecca
「あなた」と離れ離れになったことが分かった今、このフレーズの意味合いがもっと深く読み取れます。
一緒に過ごしてきた日々は「過去形」の表現になっているのです。
この「あなた」への感謝は、離れ離れになった状況で発した言葉なのだと思います。
離れていても心の中心には「あなた」という温かい存在がいる。
そして「ここまで」という言葉にも注目。
つまり「これから」は一緒にいられないのが想像できます。
「あなた」なしで生きていくことを辛いと感じている主人公。
でも、「あなた」との別れを悔やむよりも、出会いに感謝しているのでしょう。
とても繊細で複雑な心情が表現されているのですね。