仏教の教えにも通じるBメロに注目!

続いてBメロの歌詞を見て行きます。作詞したyasuさんは意識していなかったかもしれませんが、実は仏教や禅の教えにも通じる部分があります。

正義は勝つのか 勝ったモノが正義か
天使も悪魔も紙一重
時代が違えば”殺しさえ讃えられて
哀しく一言 誰かが言った
「神など存在しない…」

出典: 罪と罰/作詞:林保徳 作曲:林保徳

「三性(さんしょう)の理」とは?

Bメロの詞は、とても哲学的です。よく「正義の反対は悪ではなく、もう1つの正義だ」と言われますね。また正義とは、勝った者が作る歴史だとも定義できます。

ここを読み解くと、「正義と悪は同列なのではないか?」という問いが見えてきます。実はこの考えは、「三性(さんしょう)の理」という仏教の善悪論にもつながります。

仏教は、世の中を「善」か「悪」かの二元論で捉えるのではなく、その上の「無記(むき)」という領域から物事を捉えるよう教えています。

なぜなら善の中にも悪は潜み、悪は時として善に転じる可能性があるからです。

「無記」は、善と悪の次元を越えたレベル何を善とするか悪とするかは、個人の価値観に紐づきます。そしてそれは常に正しさとイコールではありません。

つまり仏教では、「ありのままの現実をフェアな状態で見なさい」と教えているのです。Bメロの歌詞は、この教えを請う人間の心情を表しているとも解釈できます。

不条理さを繰り返し問いかける最後のサビ

Acid Black Cherryの曲は、解決策を提示したり厚かましく講釈を垂れて終わるのではなく、登場人物が抱える爆発しそうな感情をストレートに表したまま、曲を締めくくるもケースも多くあります。

今回の曲もその1つで、最後のサビは1番と2番のサビを組み合わせる構成です。組み合わせるとどんな感じになるか、歌詞を見てみましょう。

届かないなら祈りなどしない…ただ虚しく響くだけ
この声が届いたとしても…くり返しの罪と罰

神よあなたが下した答えは…教えた正義とは何?
人は皆…儚くて弱く…ズルくあざとい…生き物(たましい)

出典: 罪と罰/作詞:林保徳 作曲:林保徳

冤罪という重いテーマを歌った「罪と罰〜神様のアリバイ〜」からは、世の中に溢れる理不尽さへの怒りが伝わります。

どんなに真実を訴えたとしても、信じてもらえるとは限らない。理不尽な理由で命さえ奪われる事もある。そしてその背景には保身といった人としての弱さも見え隠れする。

「罪と罰〜神様のアリバイ〜」は、そのような清濁合わせ持つ社会と人間の心を見事に表現した1曲です。

【罪と罰~神様のアリバイ~/Acid Black Cherry】歌詞に込められた意味を解釈!の画像

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