はじめに
今回は、「ゲスの極み乙女。」の「影ソング」をご紹介します。
タイトルの「影ソング」。
これだけでは、何を表現したものなのかハッキリとしません。
しかし、影と付いているので「明るい歌ではなさそうだ」という印象を持つことができると思います。
近年の「ゲスの極み乙女。」は実にメッセージ性の強い楽曲が多く、話題になっています。
この曲も例によってメッセージを内包しているのではないでしょうか。
というのもこの曲は活動休止から復帰して最初に発表した曲です。
活動休止中にどのような思いを抱えていたのか想像しながら読んでいただければと思います。
影ソングについて
アルバム「達磨林檎」収録
歌詞解説!(前編)
マスコミへのメッセージ?!
影になったらニヤついて
光が差したら神妙に
声を止められた僕たちは
触ることもできない
おかしな話も本当になって
地を這って駆け巡る
出典: 影ソング/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音
ここの全文は全てメタファー(比喩)と考えます。
1行目は、影=人の目につかない所、ニヤついて=得意になって、と解釈します。
影でコソコソしている人達は、見えない所で得意になって何かをしているということです。
2行目は、光=人の目につく所、神妙=真面目、とします。
見える所では、真面目に振舞っています。
そこから先は、わたし達は発言権も与えられず、相手には触れることもできないということです。
そこでは、真実が歪められ、あっという間に広まってしまうのです。
この「影ソング」がマスコミへのメッセージではないか?
と、考える所以はこの節にあります。
全部が全部ではありません。
マスコミや各メディアでは、ほとんどでっち上げに近い報道がなされることがあります。
例えば、有名人の発言を巡る議論では、だいたい問題発言は一言だけ。
本当は前後の文脈からすると普通の発言だったりします。
潜ったら潜るだけ中心は逃げていく
世界を見限って前に走る
それしかできないけど
もうそれで充分さ
でも言わせてほしい
出典: 影ソング/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音
1行目、ことの本質を捕まえることはできない。
2行目、そんな世界(マスメディア)に振り回されずに前を見ていたい。
3~4行目、自分にできることを誠意いっぱいやっていれば後悔はない。
でも(そんなマスメディアに対して)、言いたいことは言わせてほしい。
つまり、もうその世界を変えることは諦めて、自分が変えられる世界を変える。
それが自分の使命としながらも、言いたいことは言いたい。
という感じでしょうか。
ひとこと言わせて欲しい!
日々のうのう
what you know?
何も知らないくせに出しゃばって
日々のうのう
what you want?
本当に品がないな君たちは
出典: 影ソング/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音
1、4行目は、とても平和なフレーズでほっこりしてしまいます。
もちろんここでは、「のうのうと過ごす君らに何がわかるというの?」
というような、辛辣なメッセージが含まれています。
最後の一言はまさに強烈!
「君たちは」としているのは「あくまでこちらはジェントルに振舞っている」ということ。
相手は品がない振る舞いをしているのに実に迷惑だという感情。
そしてそのような「君たち」を上から目線で「まいったよ」とたしなめていますね。
弱いから強がるんじゃない
弱ってるから強がるんだ
心を保つ過程まで誰かに見られなくてもいい
出典: 影ソング/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音
この歌詞のなかで、ここのフレーズだけ少し弱さを出しています。
弱っていることを認めていますし、心を保てなくなりそうな時があるということだからです。
もちろんこれは生身の人間なら誰でもあります。
そして同時にすごくプライベートなものです。
そんな所にまで踏み込んで来ようとするマスコミに対する批判とも取れます。