「大空と大地の中で」
1977年にリリースされた松山千春の1stアルバム『君のために作った歌』に収録された「大空と大地の中で」。
デビューアルバムの中に収録されたということで彼はこの楽曲と共に音楽人生を歩んできたといえます。
リリース以来、現在まで彼の代表曲として多くの人に愛されている楽曲です。
今回はそんな「大空と大地の中で」の歌詞に注目し意味を徹底解説していきます。
大自然が表すもの
私たちも自然の一部
果てしない大空と広い大地のその中で
出典: 大空と大地の中で/作詞:松山千春 作曲:松山千春
冒頭の歌詞からご紹介していきましょう。
まず大空と大地という言葉でこの地球という惑星に広がる大自然の姿が描かれています。
文字通り受け取れば、ただ大自然について言及していると受け取るだけで終わってしまう表現です。
しかし本当に伝えたいのは、今生きている私たちの無限の可能性でしょう。
社会の中で生きていると私たちはこの世界の広さを忘れてしまうことがあります。
生活に追われ、自宅と職場や学校の往復に終始する毎日。
しかし世界というのは自分の周辺だけで出来上がっている訳ではありません。
少し目を外に向ければ広大な山や海、そして見渡す限りの青空があります。
自然というのは私たちの生みの親です。
文明がここまで発達する前、元々人間たちも自然の一部として存在していました。
そして多様な進化の歴史を経て今の私たちにたどり着いたのです。
膨大な可能性の中から私たちは1つの道を選びここまで生きてきました。
ここでいう大自然の広がりというのは、私たちの無限の可能性、つまり未来を表しているといえるでしょう。
幸せを手に入れる方法
いつの日か 幸せを 自分の腕でつかむよう
出典: 大空と大地の中で/作詞:松山千春 作曲:松山千春
私たちがやって来た自然というものを想うことで逆説的に未来を見渡すことができるのです。
毎日の小さな生活の中にも無限の可能性が存在している。
そう考えれば自分にとっての将来の夢を叶えることだっていつか出来るに違いありません。
松山千春はそんな風に私たちのこれからが幸せに向かっていくことを願ってくれているのです。
しかしその幸せもただ外から偶然にやってくる幸せを意味している訳ではありません。
彼は私たちが自分自身の力で幸せを掴むことを願っているのです。
幸せになればいいというのではなく、そこに至るまでの過程も大切だといっているのでしょう。
自分を高めながら更なる高みへと登っていくこと。
そこに更なる幸せというものが存在しているに違いありません。
人生を前進させること
明日が意味すること
歩き出そう 明日の日に
出典: 大空と大地の中で/作詞:松山千春 作曲:松山千春
毎日を送るのに一生懸命になってしまうといつの間にか現状を維持するのに手一杯になってしまいます。
しかしそこに安住してしまえば自分の夢は叶えられないまま人生が終わってしまうでしょう。
このパートでいっている「明日」という言葉。
これは今日が終わった後に当たり前に来る「明日」を意味している訳ではないと考えられます。
停滞している現状を打破して未来へと進むその道のりを表しているのではないでしょうか。
「明日」の次に登場する「日」という言葉は前述のパートの大自然への言及から太陽を連想させます。
希望という名の太陽に向かって進む道のり。
そこには今までの生活を捨てることへの不安や苦悩なども付きまとってきます。
希望があるからといって何もかもが上手くいく訳ではないからです。
しかしそんな不安を払拭するために、彼はこうもいっています。
人生はまだ道半ば
振り返るには まだ若い
出典: 大空と大地の中で/作詞:松山千春 作曲:松山千春
彼は私たちに人生はまだ道半ばであると伝えたいのです。
この言葉は若者だけに向けている訳ではないのでしょう。
人生というものが続く限り、幸せになるために何かを始めることに遅いなんてことはありません。
今の生活だっていつまで続くか分からないのだから前に進めばいい。
彼はそういう意味を込めてこの言葉をいっているのではないでしょうか。
不安になるのは過去のトラウマが原因だったりもするでしょう。
人生はうまく行かないことの方が多く、そういった過去の経験を思い出すと二の足を踏んでしまうこともあります。
それでもより大きな幸せというのは前に進むことでしか得られません。
だからこそ私たちは過去に囚われず未来を思い描くことが大切なのです。