無限の可能性を秘めた未来へ
自分が犠牲になって世界を変えようとした彼。
結末はどうなったのでしょうか。
力は正義か悪か
すべての綻びは僕が選んだ運命だったんだ
出典: katharsis/作詞:TK 作曲:TK
綻びは、微々たる変化。綻びはヒビとなり、やがて破壊へと繋がっていきます。
彼自身の意志で踏み出した一歩一歩が、綻びを生んだのだと彼は言いました。
金木研が喰種化した原因は、喰種の女性からの臓器移植です。
その女性を好きになったことも、共通の話題である読書が好きだったことも、全て金木研の意志。
デートしたことも彼の意志であり、デート先で事故に巻き込まれて移植に至ったのは、彼の選択の結果なのです。
すべての始まりは自分の意志だということでしょう。
追いかけて追いかけていつの間にか囚われても
君はまだ僕を愛してはくれるの?
出典: katharsis/作詞:TK 作曲:TK
だからといって、彼は今の世界を望んでいたわけではありません。
金木研も佐々木琲世もそうですが、常に平和な世の中を求めています。いつか見た世界を取り戻したいのです。
だから彼は人間の尊厳と喰種の欲望の間で苦しみながらも、平和を追い求めていました。
君に、あの景色をもう一度見せたい一心なのでしょう。
一度は手が届いていた平和は彼の元から去っていき、その姿は見えるのに追いつけず、身動きが取れない状態になってしまいました。
そうなればもう平和を取り戻すことも、愛する人を守り続けることも叶わないかもしれません。
守ると誓ったのに守れない、そんな不甲斐ない自分を受け入れてくれるのかと問いかけます。
「僕じゃなきゃ」「僕じゃダメだ」「僕じゃなきゃ」がループする
出典: katharsis/作詞:TK 作曲:TK
破壊する力は、使いようによっては守る力に変えられるかもしれません。
一方で、守るどころか愛する人を破壊する危険性も大いにあります。
自分にしか守れないかもしれないし、自分には守れないかもしれない。
自分がこの世から去った後、「君」を守る人がいなくなることが不安なのかもしれません。
罪にまみれた心の浄化
罪も罰も僕も君も滅せずに残されてしまった
傷が痛いよほどけたシナリオ
出典: katharsis/作詞:TK 作曲:TK
自分が犠牲となって平和な世の中を取り戻したいという彼の願いは、叶いませんでした。
罪人である自分が生き残ったから罪は消えませんし、罪には罰が付随します。
彼にとっての罰は「別れ」だと読み取りましたが、これから先いつか必ず別れが訪れます。
何もかもが残ったことで、以前と変わらない景色が広がっています。
変わった点を一つ挙げるとするならば、彼の傷です。
彼は「今」にナイフを突き立てましたが、罪だらけの「今」に自分を投影しているのでしょう。
ですから、彼のナイフは彼を傷つけ、痛みを与えています。
本当はこの傷から平和な光が射して、世の中は救われ、自分は滅びる予定でした。
しかし彼が書いた自己犠牲のシナリオは、綴じ糸が解けてバラバラになってしまったのでしょう。
輝く未来よ君に会いたいよ
僕を刺したナイフさえも
いつかきっと光を射すから
出典: katharsis/作詞:TK 作曲:TK
彼=今であれば、君=未来です。
曲の冒頭で「罪で結末を満たさないで」と歌いましたが、結末=未来と読み替えることもできます。
暗澹たる現実とは違う明るい未来。
彼はそれを夢見ていますし、未来が変わったことを確認してから死にたいと思っているのでしょう。
未来を明るくするために刺したナイフは「革命」というポジティブな言葉を冠していますが、実際は懺悔のナイフです。
そんなナイフが、明るい未来に残っているなんてあり得ることでしょうか。
ナイフが光を射ぬくという現象はあり得ることでしょうか。
「未来は変えられる。今できないことも、未来ではきっとできる」
最後の二行の歌詞からは、こうした意味を感じました。
悲劇の中に希望を見出した「katharsis」
「katharsis」とは、ギリシャ語で浄化や純化を意味します。
悲劇に感情移入して心を浄化する、という解説が多いですが分かりにくいですよね。
簡単に言えば「何かがきっかけになって心が晴れる」ということ。
「katharsis」では、犠牲を払うことも守ることも叶いませんでした。
しかし「何もできなかった」と感じたことがきっかけとなって「未来を変えればいいじゃないか!」という結論が出たのです。
これこそが「katharsis」ではないでしょうか?
変えられない過去を嘆いている暇なんてありません。
すぐに追いついてしまう未来だからこそ、常に新しい未来を作っていきたいですね。
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「東京喰種 第1期」のオープニングに起用された「unravel」。
こちらもアニメのストーリーをなぞる内容です。