夢に向かいたいふたり
この曲には2人の人物が登場します。
一人称で語られる「ぼく」と、「ぼく」が好意を寄せる相手です。
歌詞の中から、2人は同棲している可能性も考えられます。
しかし、2人が幸せで満ち足りているかというと、話は違っているようです。
曲の中で、「ぼく」は相手を引き留めようとしています。
なぜ、2人の関係は崩れかけているのでしょうか?
停滞した日常
無計画に生きる
青春の空の色はすでに忘れた
安心の言葉ならもう全て覚えた
計画を立てるのがもう難しくて
最低の夜を重ねてる、束ねて寝る
出典: two much pain/作詞:はっとり 作曲:はっとり
上の歌詞から、「ぼく」の人物像を想像することができます。
まず、「ぼく」は学生ではなさそうです。
後の歌詞から、「ぼく」は歌手を目指していると思われます。
その夢に向き合い始めてから、何年かが過ぎたのでしょうか。
夢に向かって努力し始めた当初は、楽しいことばかりだったかもしれません。
しかし、歌詞から伝わってくるのは停滞や暗さのようなものです。
夢を追い続ける、つまり実現するまでの道のりが、思ったよりも長いのでしょうか。
今後の展望も特にないまま、「夢に向かっている自分」を生き続けている印象を受けます。
枯渇したエネルギー
三振は見逃しじゃなけりゃ
まあ、良いとしよう
出典: two much pain/作詞:はっとり 作曲:はっとり
「ぼく」の生き方を、野球に例えて描写しています。
三振したならば、選手は次のバッターと交代しなければなりません。
ですが、空振りか否かで、観客が持つ選手への印象は大きく変わってしまいます。
良い球を待って何もしなかったより、力いっぱい空振りした方が清々しく映るかもしれません。
「ぼく」は、それに自分の夢を重ねているのではないでしょうか。
夢を諦めてしまう人には2種類います。
1つは、何も挑戦しないうちに諦めてしまう人です。
周りと自分を比べている、ともいえるかもしれません。
「どうせ自分には無理なんだ」と冷めてしまっていて、そもそも挑戦せずに終わらせています。
対して、挑戦した後に夢を諦める人もいます。
自分の実力をもって挑戦し、それでも上手くいかなかった人。
何度挑戦しても上手くいかないことが続けば、モチベーションを保つのはとても難しくなります。
そこで気持ちが続かなくなって、結局やめてしまうのです。
結果としては、どちらも「夢を諦めた」ので同じです。
ですが、周囲からの見え方やセルフイメージには、大きな違いが生まれるのではないでしょうか。
「ぼく」はせめて、挑戦した結果できなかった方でありたい、と思っているようです。
炎天下で
「水分が足りん足りん足りん足りん」
と叫ぼう
出典: two much pain/作詞:はっとり 作曲:はっとり
野球の例えが続きます。
練習中の風景でしょうか。
暑い中で水が足りなければ、人は倒れてしまいます。
水は重要なエネルギーだといえるでしょう。
ここで「ぼく」に足りないのも、同じくエネルギーです。
夢に向かって行動し続けるためのエネルギーをさしていると思われます。
「足りない」と切実に訴えたくなるほど、気持ちがすり減っているようです。
できることはやってしまった
会心の一撃なんてない
嗚呼もう、なにもないな
出典: two much pain/作詞:はっとり 作曲:はっとり
ゲームの中では、ピンチになると出せる必殺技があったりします。
現実でも、人生のどん底から一発逆転したような成功ストーリーが語られたりするものです。
一方で、ピンチになれば誰のもとにも良いアイデアが浮かぶわけではありません。
少なくとも「ぼく」には、何も良い案が浮かばない様子です。
思いつくことは、すべて試してみたのでしょうか。
それでも上手くいかないのかもしれません。
「ぼく」の諦めにも似たネガティブな思いが伝わってきます。