昨日、たまたま街で見かけたあなたは奥さんと腕を組んでいて、指には結婚指輪…いつも私と会う時ははずしていたのに。今日の約束、待ち合わせ場所に行くかどうか悩んでる。

人には話せない 誰かに話したい 
どこかに行きたい あなたと行きたい 
ふるえた指先 大切な 思い出にしても それじゃ暮らせない

出典: Can't Stop Fallin' in Love/作詞:小室哲哉・マーク 作曲:小室哲哉

あなたのことを誰かに話したいけど、あなたとのことは他の人には話せない。あなたと何処かに行きたいけど、あなたと一緒には行けない、あなたとの関係を誰かに知られてしまうから。

踊る君を見て 恋が始まって
あなたの髪に触れ 私ができること
何だがわかった

出典: Can't Stop Fallin in Love/作詞:小室哲哉・マーク 作曲:小室哲哉 

あなたとの恋は始まってしまったけど、あなたに触れた時、私が何をすべきかわかった。

このままいつかは
終わっちゃうのかな
ちょっとだけゆとりが
このごろ持てない

あの日あの時偶然に
出会っていたから夢がある
時には誰かと比べたい
私の方が幸せだって…!

みんな泣いている
やり場のない想い
あなたの愛にふれ
私ができること
何だかわかった

出典: Can't Stop Fallin' in Love/作詞:小室哲哉・マーク 作曲:小室哲哉

あなたとの関係、いつかはこのまま終わってしまうのかな?って不安になるの。

あなたと偶然出会ってしまったから。たまには、あなたといて私は幸せなんだって自慢したい!

やり場のない思いに泣いている私。私があなたにしてあげられることは一つだけ。

道徳もない 規則もない
誰も止めることもできないSAGA
君にできること 僕にできること
君が欲しいもの 僕が守るもの
正義も勝てないこの世で1つくらい
livin' on and keep on the EDGE
きつくきつく 抱きしめたころ
そろそろ季節もきつくなる

出典: Can't Stop Fallin' in Love/作詞:小室哲哉・マーク 作曲:小室哲哉

世の中の道徳も規則も2人の思いは止められない。

君にできることと僕にできること、君が欲しいものと僕が守らなければいけないもの。それは相反するもの。お互い愛しすぎて苦しくなってくる頃。

これ以前の歌詞は女性目線の歌詞だったのに、このマーク・パンサーさんのラップ部分は、男性目線の歌詞になっています。

ずっとあたためて 声にならなくて いつも笑顔だけ 見ていて 満たされる 踊る君を見て恋がはじまって あなたの髪にふれ 私ができること 何だかわかった

出典: Can't Stop Fallin' in Love/作詞:小室哲哉・マーク 作曲:小室哲哉

ずっと言いたくても言えないことがあったけど、あなたの笑顔を見ているだけで幸せだから、私にできることは一つだけ。

ここで主人公の女性は、彼の幸せの為に別れる決心をしたのだと思います。

大好きで大好きで仕方ない彼にはもう妻となる人が…。

辛い決断だけれど、大好きだからこそ愛しているからこそ、幸せでいてほしいと願うのです。

この強い愛が2人を引き離すことになっても、私は後悔しない…そんな想いの情景が浮かんできます。

彼が選んだのはあの人であり私の願いは叶わなかった、それでも今まで幸せだったのです。

でも終わってみると夢を見ていたかのように思えるほど、彼が遠く感じます。

いつも隣にいるのが当たり前だったのに…。

寂しさやどうしようもない感情に沁みるような歌詞が切ないです。

残された彼女にとってはどんな人のどんな言葉も耳に入らないのかもしれません。

どんなに愛していても彼の瞳に映るのは一生を添い遂げると誓った女性なのです。

叶わぬ恋の中でこんなにも責められ痛めつけられるのがこの恋ではないでしょうか。

誰も正解は知らないし、教えてくれません。

どうすれば彼を手に入れられるのだろうと彼女は途方に暮れているかもしれません。

20年前と今

20年前、この曲を聴きました。その時この曲から感じたのは、愛する気持ちは止められない、そんな主人公の気持ちでした。

ですが20年たった今、改めてこの曲を聴くと、男性目線のラップ部分に男のエゴを感じてしまいます。それは私だけでしょうか?

彼女も、本当に彼の幸せを思うなら別れるべきだってことはわかっていてズルズルと関係を続けてしまう。でも最後は前に進む決心をする、そんな女性の気持ちを歌っている曲だと思います。

せめて彼がきちんと別れを告げてくれていたら…。

そんな風にさえ思ったかもしれません。

ただ分かっているだけで関係をきちんと切らなければ意味はないのです。

結局誰かを傷つける結果になるということを、本人たちが一番痛感しているはずなのですから…。

でも離れられない、止められない気持ちは切々と雪のように積もるだけでした。

1990年代は不倫ドラマの全盛期

「失楽園=(不倫)」が流行語大賞を受賞する時代でした。

今考えても驚きですが、当時としてはそのくらい身近にあったことなのかもしれません。

いけないことをするのは美徳だとさえ考える人もいるかもしれませんね。

分かっていてもやめられない、それが不倫という形になって表に出てきたのでしょう。

不倫は文化だ!

この曲【Can't Stop Follin' in Love】がリリースされた1990年代は、今でも語られている石田純一さんの「不倫は文化だ!」なんていう名言?迷言?の時代でした。

実は、石田純一さんは「文化や芸術が不倫から生まれることもある」と言いたかったようなのですが。

TVドラマでも『十年愛』『恋人よ』『不機嫌な果実』『青い鳥』『失楽園』など純愛からドロドロまで様々な不倫のドラマが作られた時代でした。

そんな時代だからこそ生まれた曲なのかもしれません。

ただブームの火付け役となった『失楽園』原作の著者である渡辺淳一さんは「不倫なんかをしても利益も何もない…」と語っています。

本当にその通りだと思います。

結局は誰かを傷つけ、自分自身さえ傷つけてしまう恐ろしい出来事なのです。

周りから見てもいいことには見えませんし、一番痛みを感じるのは当人たちです。

一時はよくても、やがて虚しく物悲しい結末になってしまいます。

"ドロドロ"と表現されるように怒りや憎しみが渦巻く不倫はとても気持ちの良いものとは言えません。

むしろ避けたくなるような感情です。

それでも好きが度を越して一人歩きしてしまうと、このような事態に陥るのでしょう。

怒りや憎しみを経験してでも得る愛とはなんでしょうか。

問いかけてみたくなりますが、そこには答えなどないのでしょう。

結局は幸福な結末にはつながらないのです。

globe【Can't Stop Follin' in Love】を○○がカバー!歌詞の意味に迫る!の画像

【Can't Stop Follin' in Love】がカバーされた近年の傾向

ここ最近の不倫ドラマ『昼顔』『毒島ゆり子の赤裸々日記』のように、女性目線で描いた女性が楽しめるドラマが多いように感じます。

昔の様な、なんとなく薄暗いドロドロな展開ではなく、普段の私たちの生活に起こりうるようなチョットした出来事がきっかけで始まる。

こんなきっかけがあったら恋してしまいそう…そんなシチュエ―ション。

そんな少しライトな時代だからこそ、19歳の當山みれいさんの歌声が【Can't Stop Follin' in Love】したのかもしれません。

19歳の當山みれいさんにとっては経験したことのない世界観だったことでしょう。

そんな中で【Can't Stop Follin' in Love】をどうしてここまで見事に歌い上げられたのでしょうか。

それはきっと當山みれいさんの豊かな感情移入や表現力、想像力が実らせたのです。

胸が締め付けられるような思いをした女性の心の表面をなぞるように、デリケートに繊細に歌っていますね。

彼女の極限の感情を柔らかさと芯を持ち合わせた歌声が美しく彩ります。

何回聞いても飽きない、懐かしいのに新鮮で刷新されている印象が残ります。

過ぎ去った時代の古い曲ではなく、基の曲の芯に何度もベールをかけて完成されたような新しさがありますね。

幼い頃から場数を踏んできた経験が生かされているのだと思いました。

歌い手として歌詞の感情をくみ取り、美しく表現するという仕事を全うしリスナーに語りかけ響かせる。

特に冬になると失恋したわけでもないのにふいに聞きたくなるはずです。

そして當山みれいさんの美しさの中にも幼さが残る今しかない歌声を見事に切り取っているナンバーです。

不倫の歌として拒否するのではなく、ひとつの曲として聞いてみるのもありでしょう。

かと言って肯定することも難しく思いますが、歌は時代を映し出します。

こういう時代だからこそ、改めて必要とされているのかもしれません。