黄昏とは、薄暗くなってきた夕方を指しています。
勢いが衰えてきた、という意味合いもありますが、MVから見ても夕方で良いでしょう。
主人公は、毎日やってくる「明日」からも離脱したいのでしょうか。
きっと、当たり前の毎日に輝きを見出せなくなってしまったのです。
少し、遠目から自分の毎日を見てみて、何かを探したいのでしょう。
自分の理解者は他の誰でもなく、自分だけ。
主人公は周りの人間への信頼が薄い様子が窺えます。
「」の部分のセリフは、一体誰に言っているものなのでしょうか?
心の中の自分へのメッセージであるようにも窺えます。
君と
ああ、苦しくもない 悲しくも
決して切なくもないんだよ
意味とか理由だとか なくても素晴らしい
混ざり合う 時の色を
願わくば 君とみたいだけで
出典: PM 5:30/作詞:北村匠海・藤林聖子 作曲:池窪浩一
主人公は、マイナスの感情があまり強くない印象です。
大切な存在に手が届かない状況でも切なくはない。
その思いから、「自信」が窺えます。
きっと、「君」との関係に少しばかりか自信があるのでしょう。
もしもまた、「君」と黄昏の空を見られたなら感情も意味も価値もいらないのです。
黄昏の空はとても美しいものです。
橙色、黄色、赤色、朱色、様々な色が混ざり合っています。
その神秘的かつ幻想的な空を「君」と見られるなら。
よくを言えば、隣で見ていたい。
主人公の少し控えめな気持ちが読み取れます。
「僕」
叶わぬ恋
少し心地いい風が止む
止まれの赤 叶わぬLOVE
何でもない石を拾い上げる
出典: PM 5:30/作詞:北村匠海・藤林聖子 作曲:池窪浩一
夕方の暖かくも少し冷たい風が止みました。
赤信号のように、主人公の恋心も止まってしまうのでしょうか。
横断歩道の信号機が赤になった時、下に落ちていた石ころを拾い上げるのです。
この名前もないただの石が、まるで名前のない自分の毎日のように思えたのでしょう。
点
「僕」という文字 不意に描く
点だけ増える 箇条書きや
足踏み打ち消すように
ボリューム上げた
出典: PM 5:30/作詞:北村匠海・藤林聖子 作曲:池窪浩一
「点」とは迷いのことではないでしょうか?
線で繋がっていなくて、ただ漠然と点だけが浮かんでいる様子です。
足踏みは、その場から進むことなく迷っている様子が窺えます。
その場で何度も足踏みをしているのです。
後退をしたいわけではありません。
ただ、前に進めないのです。
迷ってしまい前に進めない、でも足を止めることはできない。
そんな様子が窺えます。
漠然とした思い
わからない わかんないよ
自分のことなんて
ぷかぷかと 浮かぶだけ
きっと満たされんだよ
今は漂うだけでいい
出典: PM 5:30/作詞:北村匠海・藤林聖子 作曲:池窪浩一
主人公の漠然とした思いが明らかになってきました。
「わからない」
一体何がわからないのでしょうか。
主人公は、自分の事すらもわからないのです。
自分が何をしたいのか、自分が歩いている道は正しいのか、この毎日に価値はあるのか?
何もわからないのです。
はっきりとしたものは何もありません。
ただもやのかかった曖昧なものが主人公の中にはあるのでしょう。
社会の波に呑まれるのではなく、ただそこに浮かんでいるだけの存在でいたいのです。
その方が楽だから。
それだけで、主人公の心は満たされていくのでしょう。
社会の波を一歩ズレたところから見ているのです。
この波の中でも、もしも君が隣にいてくれたら何か見つかるかもしれないのに…。
そんな思いが読み取れます。