小さなすれ違いがきっかけで
あの頃と変わったもの
遊園地前のこの道を通る時は窓を開けて
あの頃と同じか何が変わったか
息を吸い目を閉じ記憶の糸を巡る
出典: 長い髪/作詞:アマダシンスケ 作曲:FOMARE
かつてはよく2人で遊びに行った遊園地。
ポップなBGMを聴くたびに、心が踊り顔は自然とほころんでいたものです。
しかし今はといえば、そばを通り過ぎてもあの頃のときめきを感じることはありません。
考え方も生活も、何ひとつ変わっていないはずの2人。
一体何が原因で2人の距離が開いてしまったのかを、つい探らずにはいられません。
あの頃は確かに、ずっと一緒にいられると思い込んでいた主人公。
自分に悪いところがあったのならば、すぐにでも直したいと思っているはずです。
しかし2人のすれ違いに、明確な理由などありませんでした。
ただ時が過ぎていく中で積み重なった小さな違いが、今の大きな差を生むことになったのです。
桜のようなあなたへ
笑顔は散ってた桜の花の様
美しいまま何処か遠くへ
花はまた芽生えて誰かを探すんだ
枯れ葉になってしまった私は空へ
出典: 長い髪/作詞:アマダシンスケ 作曲:FOMARE
まるで2人の愛を祝福するかのようなあたたかさを持っていたはずの春。
見上げれば桜が咲き誇り、花びらを追いかけてはしゃいだあの頃が思い出されます。
しかし、あなたへの想いを込めて掴んだ桜の花びらは、もうここにはありません。
願いを込める相手も、掴んだ花びらを一緒に眺める相手も、もういなくなるのです。
少しの雨や風で簡単に飛んでいってしまう儚さは、まるで今の2人の関係のよう。
まだ離れ離れになったわけではなくても、近いうちに必ず別れを迎える現実を見ているようです。
あの時、「ずっと一緒にいられますように」と願いを込めた桜の花びら。
愛おしさをギュッと詰め込んだ花びらは、あなたと共にどこかへ旅立ってしまうようです。
後に残されたのは、花が散って緑が芽吹き、やがて寒い冬を迎える幹だけ。
あなたを失い、たった1人で孤独を感じる主人公だけです。
叶うはずだった未来
未来は曖昧で悪戯好きで嘘つきだ
目を閉じて描くよ 夢で映画を監督は私
出典: 長い髪/作詞:アマダシンスケ 作曲:FOMARE
長い間一緒に過ごしていくなかで、自然と未来の話をするようになっていた2人。
明日は何をしたいか、来年はどう過ごしたいか、年を重ねた自分たちの姿はどうなっているだろうか……。
そんな果てしなく先の話でさえも、2人でならば迎えられるような気がしていたはずです。
しかし今となってみれば、語った未来の半分も叶えられないままの自分。
無邪気に笑っていたあの頃の自分を、めいっぱい責めたくなってしまいます。
それでも、もしこれからも一緒にいることができたならと願わずにはいられない主人公。
毎日頭に浮かぶのは、いつもと同じように仲直りをし、笑い合える明日のこと。
「ごめんね」といって手を伸ばす、あなたのことだけなのです。
まだ愛を捨てきれない2人
先に眠ってしまうあなた
私の長い髪が乾く頃あなたは夢の中
昨日も明け方まで語ったせいかな
ゆっくりと眠ってね
出典: 長い髪/作詞:アマダシンスケ 作曲:FOMARE
同じ家に暮らす2人にとって、これまで自分1人の時間はなかなか取れるものではありませんでした。
そんな生活の中で唯一2人が離れるのがお風呂。
丹念にドライヤーで髪を乾かすうちに、待ちくたびれた彼が眠ってしまうことも多々ありました。
答えのない話し合いは、なんと一晩中続けられていた様子。
それでも相手のことを想い、向き合うのを止められないのを見れば、2人にまだ愛が残っているとわかります。
ベッドに入るまで我慢できずに、すやすやと寝息を立てているあなた。
まるで考え事から解放されたかのように安らかな寝顔に、思わずごめんねと謝りたくなってしまいます。
もうあなたを思いやることや、愛してると伝えることは何の意味も持ちません。
それでも、好きだと想う気持ちを止めることはできないのです。
眠っている時にこっそりと、想いを伝えることくらいは許されるだろう……。
いたたまれない感情を抱える主人公の辛さが伝わってくるようです。