素直になれない癖は今日も私を傷付ける
このまま何処か遠くの方へ納得が行く日まで
この記憶の糸を辿ろう
出典: 長い髪/作詞:アマダシンスケ 作曲:FOMARE
これまで、彼の前で自分の気持ちを伝えることをためらっていた主人公。
愛情はおろか、不安な気持ちやしてほしいことさえもうまく伝えることができませんでした。
それらは全て「こんなことをいったら困らせるかもしれない」と心配する気持ちが原因です。
彼のことを想うがあまり、自分の想いを後回しにしてしまっていたのです。
彼にとってみれば、主人公が今何を考えているのか、これからどうしたいのかを知りたかったはず。
他でもない自分にだけは、想ったことを何でも伝えてほしかったはずです。
しかし彼もまた、そんな主人公に不満をぶつけることができないでいました。
伝えることができなかった結果、「伝えたくても伝えられない」という結果を生んでしまったのです。
これまでの日々を深く後悔し、あの頃に戻れたらと苦しんでいる主人公。
一体いつの日に戻ったのなら、今も2人で幸せに過ごせているのだろうか……。
考えても無駄だとはわかっていながらも、悩まずにはいられません。
2人で過ごした日々を思い出す
輝く星のように
名前を呼び合って 歩いたアスファルト
夜は冷え 寝そべり 星を見てた
あなたの人生に私を飾り付け
自分の事の様に大切にしてた
出典: 長い髪/作詞:アマダシンスケ 作曲:FOMARE
主人公にとってこれまでの人生は、彼がいてこそのものでした。
彼を中心に、その周りを取り巻くように生きている自分。
彼を輝かせるためならば何でもできるほどに、彼のことを愛していたのです。
それは夜空で一番明るく光る一等星の横で、儚く輝く小さな星のよう。
あの星たちにも、同じように愛する人がいるのだろうか……。
そう考えれば考えるほどに、愛しい存在が隣にいることが信じられなくなるのです。
今は2人並んで歩いた道も、一緒に眺めたはずの夜空も、肩を並べて見ることはできません。
たった1人であの頃を思い出す夜は、これまでのどんな夜よりも切なく悲しいものでした。
いくら夢を描こうとも
想像は永遠で果てがなくて怖いんだ
気付けば終わってるつまらないヒューマンドラマみたいな日々でも
あなたが居れば眩しくなるよ
出典: 長い髪/作詞:アマダシンスケ 作曲:FOMARE
頭の中で考えを巡らせるうち、まるで2人に「これから」があるかのように楽しい空想が止まらなくなります。
しかしふと気がつけば、隣にいたはずの彼は既に夢の中。
彼が見ているであろう夢に出てくる主人公は、きっと笑顔ではないのでしょう。
何も特別なことはなくても、ただ一緒にいられるだけで幸せだったあの日々。
その幸せな気持ちを、少しでも彼に伝えられていたのならば……。
今の状況は少しでも変わっていたかもしれません。
これから見られなくなるであろう、愛しい愛しい彼の寝顔。
未来がないのならば、せめて今だけはこの寝顔を心に焼き付けておきたいと願うのです。
長い長い別れ話の後で
私の長い髪が乾く頃あなたは夢の中
昨日も明け方まで語ったせいかな
ゆっくりと眠ってね
素直になれない癖が今日もあなたにしがみつく
懐かしいとか思える余裕が今は無いみたい
ゆっくりと眠ってね
出典: 長い髪/作詞:アマダシンスケ 作曲:FOMARE
毎日のように別れ話をしていても、本音をなかなか伝えることができず不毛なやり取りが続いていました。
楽しい話はすれど、夜中まで話し合いが続いたことなど今までにはなかったはず。
皮肉にも2人から多くの言葉を引き出したのは、「別れ話」だったのです。
もう、お互いにどこが悪かったのか、一体どうしてほしかったのかは自分の中で答えが出ている2人。
それでも素直になれず、強がりばかり口にしてしまいます。
一旦距離を置き、冷静になろうと考えてみたこともあるでしょう。
しかしこのまま彼から離れてしまえば、何も伝えられないままに別れることになるのではないか……。
何をするにも不安が付きまとう主人公には、もはや救いの手など存在しないかのようです。
もう戻れないとわかっていても
寄り添うような夜はもうこない
この長い話が終わる頃あなたが居ないのも
分かっているのに諦めがつかなくて
あなたの温もりにつられ眠る夜は
もう何処にも無いのでしょう
出典: 長い髪/作詞:アマダシンスケ 作曲:FOMARE
もはやお互いに何を伝えたいのかすらわからなくなるほどに、話し合いが続いている毎日。
それでも話を止められないのは、言葉が途切れたらそこで終わりだとわかっているからです。
さよならもいえないままに背を向けるのはあまりにも悲しすぎるから……。
最後にふさわしい言葉も、まだ思いつかないままです。
思い返せば、夜は決まって体を寄せ合って眠るのが当たり前でした。
しかし今はといえば、お互い別々の方を向き、それぞれのタイミングで眠りに落ちる日々が続いています。
こうなってしまっては、もう戻ることなどできないのでしょう。
そうわかってはいても、心はまだ彼の体温を求めているのです。