遠く離れた場所にいる「エルマ」を想像しています。
ノートに書けば書くほど彼女の輪郭が鮮明になっていく。
青年の「エルマ」への思いは止まりません。
青年が望むのは?
青年にとっての音楽とは
人生は妥協の連続なんだ
そんなこと疾うにわかってたんだ
エルマ、君なんだよ
君だけが僕の音楽なんだ
出典: 藍二乗/作詞:n-buna 作曲:n-buna
前述した「愛や希望」。
それは「エルマ」に向ける思いそのものであるようです。
ここでは「エルマ」との関係性は語られていません。
でも、「エルマ」への思いの妥協や、自分の求める音楽性の妥協…。
これらが青年の心を蝕んだ原因であることは明らかですね。
どんなラストを迎える?
この詩はあと八十字
人生の価値は、終わり方だろうから
出典: 藍二乗/作詞:n-buna 作曲:n-buna
耳に残るフレーズですね。
「終わり良ければ総て良し」なんて言葉もあります。
どれだけ大変な経験をしたとしても、結果が伴えば幸せを得ることも可能です。
青年はこの楽曲の「終わり方」をどのようにするつもりなのでしょうか?
青年の決断
ただ、ただ君だけを描け
視界の藍も滲んだまま
遠く仰いだ空に花泳ぐ
この目覆う藍二乗
ただ、ただ
遠く仰いだ空、君が涼む
ただ夜を泳ぐように
出典: 藍二乗/作詞:n-buna 作曲:n-buna
ここでまた「藍」が出てきました。
おそらく「-1」という意味の「藍」。
1つ欠けていたものとは「エルマ」だったのです。
ノートに描いた「エルマ」が涙で滲んでいく…。
そんな切ない意味が読み取れますね。
また、ここでは青年が大きな決断をしています。
「売れる音楽」か「本心が求める音楽」。
2つを天秤にかけた結果、青年は後者を選びました。
アルバムタイトル「だから僕は音楽を辞めた」の「辞めた」という漢字に注目してみましょう。
「辞職」を意味する漢字ですね。
つまり、仕事としての音楽を辞めたのです。
彼は自分が求める「愛や希望」に満ちた「エルマ」に向けた表現をし続けると決めました。
最後に
自己表現としての「音楽」
「藍二乗」の深い歌詞の世界はいかがでしたか?
音楽を自分の思いを表現する手段とするアーティストは多くいます。
胸の中に溜め込んだ思いが激しいほど、素晴らしい名曲が生まれるでしょう。
「好き」だけでは上手くいかない。
これは冷たい言葉にも聞こえるかもしれません。
ですが、仕事としての音楽は、リスナーや依頼主の要望に沿った作品を制作する必要があります。
「自己表現」という要素は消え去ってしまうともいえるでしょう。
「夢」と「現実」の狭間で彷徨う、リアルな青年の心情を読み取れました。
オススメの記事をご紹介
アルバム表題曲「だから僕は音楽を辞めた」をご紹介した記事があります。
今回ご紹介した「藍二乗」とリンクする歌詞もたくさんあるので、注目してみましょう。
この記事で「エルマ」のことは「君」と表現しています。
美しい旋律と洗練された歌詞は素晴らしいですよ。
ヨルシカ【だから僕は音楽を辞めた】MVの意味を徹底解説!青年の後を少女がついてくる理由とは…?の2ページ目 - 音楽メディアOTOKAKE(オトカケ)
青年の後を少女がついてくる理由とは…?ヨルシカの1stアルバム表題曲『だから僕は音楽を辞めた』のMVを徹底解説してみました!美しいアニメーションで描かれるストーリーに注目です♪
「だから僕は音楽を辞めた」のシリーズ以外にも、彼らの音楽は素敵なスタンスを持っています。
特にオススメしたいのが「ヒッチコック」。
言葉一つ一つが鋭く、重みがあり、考えさせられます。
ぽっかりと空いた心の穴にスッと入り込んでくれる音楽ですよ。
ご紹介した記事をぜひご覧ください。