「夏」をテーマにしたアルバム
「君」と物書き
2017年6月28日に発売されたヨルシカのアルバム「夏草が邪魔をする」。
このアルバムは「夏」や「透明感」がテーマになっています。
今回ご紹介するのは、アルバム収録曲の中でも人気が高い「あの夏に咲け」です。
楽曲の主人公は物書きの少年。
夏という季節に出会った魅力的な女性「君」について描かれています。
よくあるラブソングとは少し違い、ヨルシカならではの表現を楽しむことができるでしょう。
それでは、歌詞の解説へと移ります。
眩しい「君」に夢中
高揚感があふれる
君が触れたら、
た、た、ただの花さえ笑って宙に咲け
君に倣って、て、照れるまま座って
バスの最終時刻 オーバー
出典: あの夏に咲け/作詞:n-buna 作曲:n-buna
飛び跳ねるようなリズムが堪らないですね。
歌詞もリズムを優先して作られています。
主人公の高揚感が表現されているのではないでしょうか?
「君」という眩しい存在に恋い焦がれていることが想像できます。
読み進めていきましょう。
女性に見惚れる
いつもの通りバス亭で、
君はサイダーを持っていた。
それだって様になってるなあ。
出典: あの夏に咲け/作詞:n-buna 作曲:n-buna
「君」について描かれています。
主人公は日常的に使っている通学路や通勤路を歩いているようです。
いつも通りの景色には「君」の姿が見えました。
清涼感を感じさせるサイダーを片手に。
そんな何気ない仕草にすら見惚れてしまう主人公。
これはベタ惚れといえますね。
夏の暑い日差しすら吹き飛ばしてしまうほど、透明感を感じさせる女性なのでしょう。
描いているのは?
しがない物書きであった僕は
その風景を描いていた。
隣に座る間も無く消えた。バスが走っていく。
出典: あの夏に咲け/作詞:n-buna 作曲:n-buna
思わず女性に見とれた主人公は…「君」の姿を表現しようと試みました。
素敵な女性を見たら「近くに座りたいな」などと思う人も多いでしょう。
でも、主人公は違いました。
隣に座るという選択肢よりも、女性の姿を描くことを優先したのです。
なぜこのような選択をしたのでしょうか?
その理由は後半で明らかになります。
「君」はそのままバスに乗り、去っていったのでした。
辛い日々も輝く
苦悩を抱える主人公
書いて書いてようやく得たものが
妬みとか蔑みとか!
なんかもう忘れたい
出典: あの夏に咲け/作詞:n-buna 作曲:n-buna
ここで主人公の抱える苦悩が明らかになります。
頑張って作品を世に送り出すも、その引き換えに得られるのはネガティブな意見ばかり…。
表現者として苦悩を抱えているのです。
何かしら行動を起こせば、批判する人だって出てくるものでしょう。
主人公はそれを上手に対処できていません。