「カトレア」とはどんな花を咲かすのか
これまでのボーカロイド(以降ボカロ)では表現できない幅の広さや奥行きを追求した、ヨルシカ。
今回はヨルシカとして初めてのアルバムから、「カトレア」をご紹介いたします。
現在のボカロというジャンルを最前線でけん引しているのは、間違いなくn-bunaでしょう。
2017年に女性ヴォーカルのsuisを招き入れ、2人組みのバンド「ヨルシカ」を結成しました。
人間が感情を込めて歌う、「人間的な表現をヨルシカで突き詰めたい」とn-bunaは語っています。
いわば、人間VSボカロへの挑戦といってもよいのかもしれません。
アルバム『夏草が邪魔をする』に収録
「カトレア」は2017年6月にリリースされた1stミニアルバム、『夏草が邪魔をする』に収録されています。
全7曲で構成される4曲目には人気曲、「あの夏に咲け」もラインナップされているのです。
しかも、同曲の歌詞には「カトレア」という花も登場しています。
アルバムのコンセプトは、「夏」や「透明感」。
とあるインタビューで、「夏の情景が大好きだ」とn-bunaは語っていました。
「カトレア」とのつながりを感じずにはいられません。
アルバムを通してお聴きいただけば、より一層「ヨルシカ」の魅力を楽しめますよ!
カトレアってどんな花?
カトレアとは花の名前です。
旬の季節は冬で、洋ランのなかでも「女王」と呼ばれています。
花言葉は「成熟した大人の魅力」、「魔力」、「魅惑的」などです。
歌詞へ大いに関係してくることは間違いないでしょう。
さよならをする「僕」の心情を余すところなく読み解きます!
舞台は東京?
貴方にはわからないよ、なんてのは傲慢だ
排気ガス塗れの東京を練り行く
出典: カトレア/作詞:n-buna 作曲:n-buna
どこかツンケンとした登場人物が現れます。
人の意見を聞かず、尊重すらできないと思わせる自己中心的のような発言です。
本人もそれは分かっているいるのでしょう。
東京という良くも悪くも個性の塊が集まる大都会。
多種多様な人が入り交じり、とても濁った空気の街だと表現しているのでしょう。
そんな人ごみのなかを生き抜いていくには、強がりでも高飛車なくらいがちょうどいいのです。
歩くスピードより少し速く、生き急ぐかのように街の雑踏をすり抜け淡々と歩く光景がうかがえます。
お金では買えないモノ
札束で心が買えるなら本望だ。
傷一つない新しい心にして、
出典: カトレア/作詞:n-buna 作曲:n-buna
なにやら怪しげで物騒な言葉が飛び交っています。
主人公は誰かに恋をしているのでしょうか。
その相手の気を惹くためなら、なんでもすると言っています。
買えるはずのない心を、どんな手をつかってでも手に入れたいのです。
そこまでしても手中にしたい「心」とは一体?
ともすれば、主人公自身が新たに生まれ変わりたいという願望なのかもしれません。
まっさらな心にしたいほど心と身体はボロボロに弱っているのでしょうか。
人間誰しも生きていれば傷の1つや2つはあるものです。
取り換えたいくらい心に傷跡が残る主人公の心とは、どんなものなのか気になります。