五感で得られる愛の感触
差し出す君の手を握って嬉しくなって伝わる体温にこの身委ねることしかできないもん そうだよ今日も
風の道数えたら明るい未来に誘われていって まずは始めんだ 僕たちを照らし出す物語
出典: マイサンシャインストーリー/作詞:山下穂尊 作曲:山下穂尊
僕にとって大事な君が登場します。
君の手の体温から得られる熱を感じることで一緒にいることを実感するのです。
手を握るなどのアクションの中から愛の存在を実感できるということはとても大切なことでしょう。
夢や理想の中に君の姿を押し込んでしまうことなく、実際の君の手から愛を感じるということ。
愛を五感で身に沁みるようにできるというのは愛の観念化を阻止します。
実際に目の前にいる君から目を離さないで愛を感じられるので観念の破綻から免れるのです。
ここまでは僕ひとりの物語だった「マイサンシャインストーリー」に君という存在が加わります。
僕という一人称単数ではなく僕たちという一人称複数の物語に変わるのです。
君がいるからこそなおさらに陽射しの中を歩く必要性が増します。
すでに僕だけのものではない人生に成長しました。
こうした僕の人生の推移を一部始終見つめてくれる存在もまた太陽の陽射しです。
ここでも導きの光として太陽が眩しく射し込むのです。
音楽への訴えかけ
まるでライブツアーのような人生
さあ行こうか明日へ 新たな出逢い求めよう
触れて触れて艶めく音色を今奏でる 流れ出すマイサンシャインストーリー
語らい合う奇跡が君の物語を綴る
ふとした時に芽吹く光に満ち充ちてるメロディー
出典: マイサンシャインストーリー/作詞:山下穂尊 作曲:山下穂尊
不思議なのは音色やメロディーへの訴えかけが見受けられる点です。
ここでは僕の人生というよりも山下穂尊・いきものがかりの音楽人生について触れられた歌詞のよう。
「マイサンシャインストーリー」
おそらくいきものがかりとしての活動への意気込みをこのラインに込めたのかもしれません。
新たな出逢いへの希求。
より多くの人へ自分たちの音楽がより多くの人へ受け入れられること。
あくことなきアーティスト活動の姿も考えられるでしょう。
つまり山下穂尊にとって人生とは音楽活動と切ることのできない関係があることの証なのです。
この音楽生活全体も「ガイディング・ライト」に照らされるままに続いてゆきます。
いきものがかりの活動は実際に陽当り良好な世界の中で展開されているのです。
太陽がまぶしく照らす夢
君はシンガーだった
響いた声に恋しちゃって胸が弾んで高鳴るその歌に耳傾けてみるしかできないもん そうだよ いつか
帰り道気づいたら二人の世界に光差し込んで なぜか見えたんだ 僕たちが創り出す物語
出典: マイサンシャインストーリー/作詞:山下穂尊 作曲:山下穂尊
このドラマの君はシンガーなのでしょうか。
僕は君の歌に心奪われて恋が加速したようです。
いきものがかりは3人組ですからこのドラマ展開はフィクションのものでしょう。
しかしドラマの題材として女性シンガーの魅力に心奪われて一緒に道を進もうとする僕を主人公にします。
どこまでも歌や音楽にまつわるテーマやモチーフにこだわった歌詞になっているのです。
過度に深く読み解くと楽曲自体から感じる喜びを捉え損ねます。
山下穂尊は歌や音楽が心底好きなのだろうということに喜びを得ましょう。
この事実を踏まえると山下穂尊がこのふたりの物語を光の中で照らし出した理由が分かるような気がします。
未来の音楽家ふたりのために幸福な物語を用意したかったのでしょう。
いつだって「マイサンシャインストーリー」は光が大きなモチーフになります。
ふたりの夢を陽射しの中に置いてあげる山下穂尊の優しさ。
「マイサンシャインストーリー」はこれから音楽家を目指す人には大きな励みになるでしょう。
誰しもがいきものがかりのように順調にステップアップできる世界ではありません。
しかしそれでも山下穂尊は夢の先輩として「ガイディング・ライト」を差し出すのです。
「マイサンシャインストーリー」で夢見る
聴くだけではなく歌って噛み締めたい歌詞
見上げた空に手をかざして 眩しくたって震えるこの夢に正直になることしかできないもん そうだよいつも
風の道見上げたら 光の世界に包まれていって瞼閉じたんだ そこから歩き出すよ
差し出す君の手を握って嬉しくなって伝わる体温にこの身委ねることしかできないもん そうだよ今日も
風の道数えたら明るい未来に誘われていって まずは始めんだ 僕たちを照らし出す物語
出典: マイサンシャインストーリー/作詞:山下穂尊 作曲:山下穂尊
クライマックスです。
まったくのリフレインになりますがドラマが少し変わってきます。
歌詞自体は繰り返しでも意味合いが変わってくるので読み解きましょう。
直前のラインでは君の歌の魅力が歌われました。
そして君の歌を支えることが僕らふたりの物語になると歌われたのです。
その後でリフレインが置かれています。
先ほどまでは漠然としていた僕らの夢に形が与えられました。
君の歌を支えてゆこうという夢に正直に生きるしかないと僕は誓います。
この夢は暗闇を知りません。
いつだって太陽の陽射しのもとで夢が進行します。
太陽はいつだって夢を先導する光の象徴です。
実際にこの世界のあらゆるものが太陽の光のもとで成長してゆきます。
太陽は隠喩としても直喩としてもまばゆい光を表すのです。
このまばゆい光が主人公の僕、そしてもうひとり君のふたりの物語を照らし出す。
こうしてふたりの物語は幸福に支配されたままに進み出します。
「マイサンシャインストーリー」
この歌はこれから音楽の道を志す人のために山下穂尊が贈った手紙のような側面があります。
「ガイディング・ライト」に照らし出された道を行けばいいのだと勇気付ける歌です。
いきものがかりの魅力が凝縮されたように包まれた楽曲でしょう。
歌詞は情報量がたっぷりですべてを汲み尽くすのは大変です。
それでも陽当り良好の人生にあるポジティブさに勇気を得ます。
聴き流すだけではもったいない楽曲ですので、ぜひカラオケや弾き語りなどで歌ってみてください。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。