BLUE ENCOUNT『MEMENTO』って?
2014年にメジャーデビューして以来、すさまじい勢いで活動を拡大し続けているバンド。
それがBLUE ENCOUNTです。
エモーショナルロック、ミクスチャーロックなどの要素を取り入れた、独特な音楽が非常に魅力的な彼ら。
今回ご紹介する『MEMENTO』も、そのカッコよさで人々の心をグッと掴んで離しません。
『MEMENTO』はイントロから非常に印象的なギターフレーズが展開されています。
そこに華を添えるのが、ベースのスラップ。相性ばっちり!非常にカッコいい楽曲です。
肝心の歌詞ですが、もちろんこちらも文句なしでカッコいい言葉が並びます。
全体を通して怒りや否定など、ネガティブな感情が描かれていることが特徴的です。
その怒りや否定は決して感情的すぎるものではありません。
どちらかというと、醒めきっている淡々とした感情のように聴こえます。
それは楽曲の雰囲気がそう感じさせているのでしょう。
しかし表面に出していないだけで、うごめく感情は確実に心の中を支配しています。
では実際に、歌詞で表現されている感情の揺れ動きを詳しく解説していきましょう。
矛盾する心模様への怒り
言葉と行動が一致しない
「全然怖くはないよ」といつものように笑っていたけど
ガンガンに震えるその手を隠しているその理由はなんだ?
「人間一人じゃダメだよ!」そう自慢んげに語っていたけど
ガンガンに人に壁を作るその訳はなんですか?
出典: MEMENTO/作詞:田邊駿一 作曲:田邊駿一
冒頭から静かに、でもはっきりとした怒りが感じ取れるフレーズですね。
まずここでは2つの怒りポイントが登場。
読んでわかるとおり、どちらも「言っていることとやっていることが違う」という矛盾に対する怒りです。
わざわざ心の内を隠して、嘘までついて、そうしている理由がわからないといった様子です。
成功者を僻む君
GIVE TO ME
Some people want it all
yeah And we've been there before
そう「頑張っている奴はくだらない」とか
"努力"に裏切られた君は叫ぶ
出典: MEMENTO/作詞:田邊駿一 作曲:田邊駿一
最後の2行は冒頭のフレーズに引き続き、怒りが表現されています。
でもその怒りは先ほどと少し異なり、どこか当てつけのような感情に思えるのです。
自分は頑張ったのに何も手に入れられなかった。報われることがなかった。
そんなやりきれない気持ちがあるからこそ、このように考えてしまうのでしょう。
現実をつきつける大人たち
Woh 願ってないのにさあ大人は夢を汚して
Woh 現実をピストルのようにつきつけた
出典: MEMENTO/作詞:田邊駿一 作曲:田邊駿一
1行目はきっと、成長する過程で経験した人も多いかもしれませんね。
人は年を重ねれば重ねるほど、夢見がちな思考から現実的な思考に偏っていきます。
だからこそ子どもが抱く純粋な想い・夢・期待などを知っても、つい現実をつきつけてしまう。
それが1行目に表現されている内容です。
大人は子どもたちが抱いている純粋無垢で壮大な夢を、現実を知っているからこそすぐ否定するのです。
そして2行目でも、現実の厳しさをつきつける表現が登場しています。
想像してみてください。
突然頭にピストルを突き付けられたら、あなたはどのような気持ちを抱きますか?
緊張・怒り・恐怖・不安・動揺…これ以外にも、様々な感情が全身を駆け巡ることでしょう。
ピストルを突き付けられたときに味わうであろうそれらの感情は、現実にも通じるものです。
この世界で生きるということは、ピストルを突き付けられたときと同じような感情を抱くものだ。
またもや大人が、そんなことを子どもに教えているのでしょう。
大嫌いな世界
「嫌い!嫌い!嫌い!嫌い!」
世界が今日も無垢だった君を蝕んでいく
痛い痛い狭い狭い 世界を蹴って今すぐこの手を掴んで
出典: MEMENTO/作詞:田邊駿一 作曲:田邊駿一
同じ言葉の繰り返しが耳に残る、特徴的なサビです。
1行目、3行目ではネガティブな言葉が同じメロディで4回ずつ繰り返されています。
怒りで畳みかけているというよりは、そんな感情に対して淡々とした態度を取っているような雰囲気です。
まずは2行目に登場している、無垢という言葉に注目してみます。
これはまだ何にも染まっていない状態、そして未来への希望に満ちた状態を表現しています。
そんな純粋無垢な君のことを、世界は無情にも壊していくのです。
世界が君を蝕む、つまり現実をつきつけ、希望や夢を潰していくという意味でしょう。
そして3行目、手を掴むようにとありますが、おそらくこれはBLUE ENCOUNTのことでしょう。
そんなネガティブな世界からは、自分たちが救い出してやる。
音楽の力を信じ、聴く人たちのことを大切に想っている優しさも感じられる1フレーズです。