伝説のアニメ映画「音楽」の主題歌!
音楽に魅入られた人々に捧ぐ賛歌
2020年1月に配信リリースとなったドレスコーズによる【ピーター・アイヴァース】。
これは同時期に劇場公開となった、アニメ映画「音楽」の主題歌となった楽曲です。
一部の層から熱狂的支持を受けつつも、映像化は不可能だといわれ続けていた大橋裕介原作の漫画「音楽」。
有志による40000枚を超える手描き作画という圧倒的な熱量によって、この度映像化が実現しました。
思いつきでバンドを結成した3人の不良が、音楽の楽しさに魅入られる物語を描いたこの作品。
ジャンルを問わず音楽が好きだという全ての人々に、ぜひ一度見て頂きたい作品となっています。
【ピーター・アイヴァース】は実在した!?
さて、そんな映画「音楽」の主題歌となった【ピーター・アイヴァース】。
この曲タイトル、実は実際に存在したアーティストの名前なのです。
アメリカ出身のミュージシャンで、映像制作なども手掛けた天才肌の音楽家であった彼。
その才能故か、36歳という若さで逝去しています。
映画「音楽」で、初の声優にして主役を演じた元ゆらゆら帝国のボーカル坂本慎太郎。
実は彼がフェイバリットアーティストとして、このピーター・アイヴァースをよく挙げているのです。
そのような縁から、もしかしたら今回主題歌のタイトルとして付けられたのかもしれませんね。
さて、ここからはそんな【ピーター・アイヴァース】の歌詞を早速見ていきましょう。
楽曲では、音楽についてのどのような思いが歌われているのでしょうか?
早速歌詞を見ていこう
「ぼく」と音楽の運命的な出会い
ああ ダメなぼくが
また 盛り上がってる
ああ これをずっと
待ってた気がする
出典: ピーター・アイヴァース/作詞:志磨遼平 作曲:志磨遼平
自分のことを「ダメ」だと評価する「ぼく」。
きっと彼は、これまで何をやっても人並み以下だという評価を受け続けてきたのでしょう。
そして、自分でもそのことを分かっているのです。
運動オンチだし勉強も苦手、友達もそんなに多いわけではありません。
けれども何か新しいことに挑戦するたび、今度こそそれが自分の得意なことかもしれない。
そう信じながらやってきて、それでも誰かと比べて劣っていることに気付き、落ち込んでいたのです。
その繰り返しだった「ぼく」は、ある日また自分が盛り上がれるものに出会いました。
映画「音楽」の主題歌ということで、ここで彼が出会ったものは音楽や楽器と考えると自然でしょう。
格好いいと思える音楽を初めて聴いた時の高揚感、恐る恐る楽器を初めて鳴らした時の胸の高鳴り。
自分は音楽に出会う為に生まれてきたのかもしれない。
これまで様々なことに挑戦して失敗してきたのは、この出会いの為だったのかも。
彼は生まれて初めて、何かに対してそんな気持ちを抱くことができたのです。
うう 胸にヒット
赤い血がふきだす
今夜すべての歌は ぼくのもの
出典: ピーター・アイヴァース/作詞:志磨遼平 作曲:志磨遼平
彼と音楽の出会いは、まさに運命的なものだったのかもしれません。
拙くとも確かに、自分の手で音を紡ぐことで高鳴る鼓動。
耳を塞いだヘッドホンから聴こえる、これまで経験したことのないサウンドへの衝撃。
その高揚感は、彼のハートを打ち抜きました。
音楽の好きな皆さんには共感頂けると思うのですが、音楽には優劣や正解などはありません。
クラシックもロックもポップスも、みんな違ってみんないいものなのです。
そのことも、いつも誰かと自分を比べネガティブになる彼にとってはよかったのかもしれませんね。
自分の音楽と誰かの音楽を、比べる必要なんてないのですから。
また、音楽を始めることは本来とても敷居の低いもの。
高価な楽器を買ったり、難しいコードやリズムを覚えたりしなくてもかまいません。
あなたの身体1つあれば、今ここですぐにでも音楽を始めることができるのです。
街中で流れてくる音に合わせて、手や足でリズムを取ってみて下さい。
テレビから聴こえてきた曲と一緒に、声を出して歌ってもいいですね。
ほら、あなたにも音楽ができたでしょう?
音楽をする、ということは、こんなにも簡単で、誰でもいつでもどこでもできるものなのです。
今日ここからが伝説の始まりだ!
シャンランララララ 星も
シャンランララララ かすむ
あらたな 伝説
出典: ピーター・アイヴァース/作詞:志磨遼平 作曲:志磨遼平
音楽の魅力に魅入られた彼の心には、小さな野望が宿りました。
彼の街の夜空に輝くたくさんの星たち。
音楽の世界には同じように、星のように輝くスターが数えきれないほどたくさんいます。
自分もいつか、あの星の1つになりたい。
いや、たくさんの星ですらかすむような大きな光を放つ存在になれるかもしれない。
誰にも作れない自分だけの物語、スター誕生の伝説を今日ここから始めようじゃないか。
多くのミュージシャンに憧れを持った彼には、いつしかそんな夢が芽生えたのです。