全て英語の歌詞で歌われる『Veil』。

実は過去にDTMPで発表された楽曲では日本語、英語の他フランス語、中国語も使用していたのです。

今後millennium paradeでも多様な言語アプローチを試みる可能性が想定されます。

以下は英語詞の和訳です。

“黒いベール 宇宙について教えて 彼らが言うような感じなの?

ああ、ああ、私は行き過ぎてしまった?

またゲームが始まる わかっている 彼に勝たせたほうがいいって

むしろ慣れて行ったほうがいいみたい 覚えておく”

歌詞を見るとアンドロイドは“黒いベール”に向かって語りかけていたことが分かります。

時代設定はおそらく遥か先の未来だと推察されますが宇宙については未だ解明されていない様子です。

さらにその先に進んでみましょう。

Tell me about 雨

Black veil tell me about the rain is it like they say
Oh no no oh no is that what he saw
I heard that water used to drop from above
Oh no it's made up can't see what's in it for me

出典: Veil/作詞:ermhoi 作曲:Daiki Tsuneta

アンドロイドは人工知能の実用化により自意識を手に入れたのでしょう。

そして多くの知識人が危惧するように人類は人工知能により淘汰されてしまったのかもしれません。

科学文明の残骸として生き残ったAIどこかもの悲しさを感じさせるのです。

「星の王子さま」や「2001年宇宙の旅」のような世界観を描いているのでしょうか?

...とすると“黒いベール”とは「2001年宇宙の旅」におけるモノリスのような存在

つまり外部からの知的生命体である可能性が出てきます。

以下和訳の続きです。

“黒いベール 雨について教えて 彼らが言うようなものなの?

ああ、ああ、彼らが見たのはそういう感じなの?

上の方から水が落ちてくるものだって聞いたよ

いやいや 作り話だよ 私にとってどんな得があるの?”

遥か未来、人類は地球環境に重大な損傷を与えたがため滅びてしまったのでしょうか?

『Vei』の世界には地表を覆う雲が存在しないことが推察できるのです。

だからアンドロイドは雨という事象をデータでしか知ることができない...。

人工知能にとって水は生命の源とはなりません

だから雨という事象に意味を見出すことができないのです。

プログラムされた愛について

Another day comes and goes in vain
Hoping as we go cheating as we walk
Maybe this is all programed
So far l cannot get the system of this love right

出典: Veil/作詞:ermhoi 作曲:Daiki Tsuneta

以下は和訳の続きです。

“また1日が無駄に過ぎ去る

期待したり、だましたり

これも全てプログラムされたことかもしれない

今の所この愛についてのシステムがよくわからない”

ここで重要なキーワードが出てきます。

それは“愛”という概念です。

対価を求めることのない“愛”は科学の分野では不合理とされる思考なのかもしれません。

しかしAIのプログラムには“愛”は何よりも大切なものだと記録されているのです。

人類がいなくなりAIのみが残された世界で“愛”について想いを馳せる...。

もしかしたら近年の映画・文学作品で描かれるようにAIにも“愛”を理解する日が来るのかもしれません。

果たしてその未来はハッピーエンドorバッドエンド?

結末の解釈は私たち聴き手に委ねられているのかもしれません。

millennium paradeを影で支えるのは?

クリエイティブチーム「PERIMETRON」

NINE Concept & 18Winter Collection Movie

millennium paradeはあくまでも常田大希のソロプロジェクトという体裁を取っています。

しかし仲間との化学反応で作品に向き合うという姿勢はKing Gnuと同様です。

端的にいえばKing Gnuが担うのはマスなJ-POPシーンへの革命。

そしてmillennium paradeは彼が真に追及したい音楽を表現する場として存在しているのです。

ここからは常田大希と共にmillennium paradeを構成する実質的なメンバーを紹介いたします。

最初に紹介するのは常田自身も名を連ねるクリエイティブチームPERIMETRON(プリメトロン)です。

PERIMETRONはグラフィック・デザインを主とし音楽・ファッション・アートなどの分野で活躍しています。

映像と音がシンクロする

Daiki Tsuneta Millennium Parade × Ryoji Yamada (Animation VJ)

『Veil』のMVで分かるのはPERIMETRONのメンバーには比重の高い役割が課せられていることです。

映像作家でMV監督を務めるOsrin、グラフィック・デザインのYuhei Kanbe

そしてプロデューサー兼デザイナーの佐々木集が主たるメンバーとしてクレジットされています。

上の映像は2016年に行われたDTMP名義でのライブの模様です。

後にKing Gnuで使用されることになるオーケストレーションの輪郭をすでに聴くことができます。

VJの描くアニメーションとサウンドの同期という実験的なアプローチ。

2019年5月のLIQUIDROOM公演を皮切りに本格始動した後、さらに先を行く表現が期待されます。

豪華バンドメンバー

女性クリエイターermhoi(エルムホイ) from Black Boboi

次に紹介するのが女性クリエイター兼シンガーのermhoi(エルムホイ)です。

『Veil』の中でもっとも印象的な要素を与えているウィスパーボイスは彼女が担当しています。

ermhoiは『Veil』に参加するにあたり作詞も担当しており、今後も重要な役割を担うことになるでしょう。

また、ermhoiは3人組エクスペリメンタルバンドBlack Boboi(ブラック・ボバイ)のメンバーでもあります。

ソロアーティスト・DJとしても多方面で活躍する知る人ぞ知るサウンドクリエイターなのです。

ermhoiの美しい歌声はKing Gnuの世界観とも相性の良さを感じさせます。

今後異なる方法でコラボレーションする可能性も否定できないでしょう。