殺し屋として雇われる1匹の犬・Stanを主人公としたストーリー

「Philip」は、家系や血筋を重んじる世界で生まれた犬たちのストーリーです。

依頼を受けて殺戮を繰り返す主人公・Stanは、血統書付きのドーベルマン。

淡々と依頼をこなす毎日を送っていましたが、ある日殺したターゲットの娘に恋をしてしまいます。

幼馴染でもあったその娘は、何と雑種の犬でした……。

この娘をかばうことで、Stanは敵からも、味方からも追われる身となってしまうのです。

一見、犬をモデルとしたポップな世界感にも思える本楽曲

しかし実際には、現代でも問題視されている「差別的思想」について深く切り込んでいる曲なのです。

聞き手それぞれが考えさせられるような、メッセージ性のある歌詞に注目です。

「Philip」はどういう意味を持つ単語?

曲名にもなっている「Philip」は、実は曲中に1度しか出てこない単語です。

3番の最後に語りかけるように出てくる「Philip」という単語、これは英語圏における一般的な名前の1つ。

つまり、主人公・Stanにとって大切な人であることは間違いないでしょう。

さっそく、歌詞の意味を紐解きながら「Philip」について探っていきたいと思います。

混沌とした世界で生きるStanを、ある出会いが変えていく

ノイズの枝が育ち過ぎて……どんどんと黒く覆われるStanの世界

millennium parade【Philip】歌詞を和訳して意味を解説!ノイズの枝は何を示すのかの画像

1番の歌詞は、静かに、それでいて訴えかけるようにささやいているのが印象的です。

MVにはStanと思われるドーベルマンが、スーツを着て銃を構えているシーンが映し出されます。

殺し屋として生きていく中で、どんどんと暗く狭まっていく世界に気がついている様子もありません。

上からの指示を受けて依頼をこなす毎日が、「普通」なのです。

Yea, the branches of noise are overgrowing, and the sky gets darker…
But you can forget about the roulette spinning un that stronghold, and the scene you are seeing through its loophole

出典: Philip/作詞:Yuta Nakano 作曲:Daiki Tsuneta

こちらが和訳した文章です。

ああ、ノイズの枝が育ちすぎて、空はどんどんと暗くなっていく

でも、要塞の中で回転するルーレットのことも、抜け穴から覗いている景色のことも、忘れてもらって構わない

出典: Philip/作詞:Yuta Nakano 作曲:Daiki Tsuneta

ノイズの枝」と表しているのは、周りから聞こえてくる差別的思想のことであると思われます。

有象無象から発生する声なき声で、疑いもしないうちに黒く塗りつぶされるStanの世界。

人々が叫ぶのは、「純血こそが正義」「雑種はさげすまれる存在」という思想の数々。

これらは深くStanの心に沁みつき、簡単に消えることはありません。

ある日の任務は、何かが違った

Stanは自身のグループと対立するリベラル派のトップを殺すよう依頼を受けます。

見事任務を完了したStanですが、殺したターゲットの娘は、かつての幼馴染・Shalaでした。

雑種である彼女を「救いたい」と感じたその瞬間から、Stanの世界は少しずつ変貌していくのです。

But I'm out, I'll cut down the stem of fear not to win or lose
But It's for us to be a stream---

出典: Philip/作詞:Yuta Nakano 作曲:Daiki Tsuneta

続いて、こちらが和訳文です。

僕は戦いから身を引くさ、勝ち負けなんて気にしなくてもいいように

そして小川の流れのように、なだらかに過ごせるように……

出典: Philip/作詞:Yuta Nakano 作曲:Daiki Tsuneta

そしてついに殺し屋を辞めることを決断し、彼女と共に生きていくと誓うStan。

しかしその道のりは、決して順風満帆にはいかないのです……。