私はエレキはできませんが、これで弾けちゃう人は弾けちゃうのですね。いずれにしても、これをビジュアルとしてあの高みにもっていくのは、パフォーマンスとして洗練されているとしか言いようがありません。
歌詞情報
ここであらためて『群青日和』の歌詞を押さえておきましょう。楽曲としては歌詞も音の一部。あの声はすでに楽器となっているのであまり詩を理解できていないというのが、私の率直な感想です。
例によって難解な言葉や当て読みにはかっこでルビをつけています。
『群青日和』 作詞:椎名林檎 作曲:H是都M
新宿は豪雨
あなた何処(どこ)へやら
今日が青く冷えてゆく東京
戦略は皆無
わたし何処(どこ)へやら
脳が水滴を奪って乾く
出典: https://www.uta-net.com/song/20399/
「泣きたい気持ちは連なって冬に雨を齎(もたら)している」と、云うと
疑わぬあなた「嘘だって好(よ)くて沢山の矛盾が丁度善い」と
答にならぬ”高い無料(ただ)の論理”で嘘を嘘だといなすことで即刻関係の無いヒトとなる
出典: https://www.uta-net.com/song/20399/
演技をしているんだ
あなただってきっとそうさ
当事者を回避している
興味が湧いたって
据え膳の完成を待って
何とも思わない振りで笑う
出典: https://www.uta-net.com/song/20399/
突き刺す十二月と伊勢丹の息が合わさる衝突地点
少しあなたを思い出す体感温度
(ねぇ)答は無いの?
誰かの所為(せい)にしたい
ちゃんと教育して叱ってくれ
新宿は豪雨
誰か此処(ここ)へ来て
青く燃えてゆく東京の日
出典: https://www.uta-net.com/song/20399/
歌詞の意味は?
相変わらず難解ですよね。やはりこういうのは感覚の問題です。どうやら男に捨てられた、否(いな)、男と別れた女の歌のように思います。男と女のことだから、結局の所、当事者でなければ別れた理由などわからない――どこかで無理やり別れを納得したいと思っているのでしょうか。
結構面倒くさい感情を歌い上げているのですが、彼女の特徴的な声色が楽曲にうまく溶け込んで歌詞の意味が前面に出て来ないのです。
象徴的な「新宿」の街
「新宿」の街には特に思い入れがあるのでしょうか。『群青日和』のほかにも「新宿」は非常に象徴的な形で東京事変の世界に食い込んできます。椎名林檎の『歌舞伎町の女王』はそれこそ歓楽街の女のつぶやきがそのまま歌になったようなもの。
今でこそ歌舞伎町もきれいに整備されてしまいましたが、夜の新宿は深い深いダークな闇を抱えた夜の街だった時代があったのです。
「新宿」「東京」は都会のメタファーで、特に「新宿」は彼女の当時の感性がリアルに再現される舞台装置なのかもしれませんね。
まとめ
いかがでしたか?東京事変は、人間の情念を歌い上げるバンドだと個人的には思っているのです。
例えば男と女の、人間同士のごたごたから生まれる嫉妬や怒り、悲しみをロックにのせてさらりと歌いあげてしまう――多くの常識人は、言いたくても言えないもどかしさの中に言葉をのみ込んでしまうものです。そこのところを、彼らは歌って解放してくれていたのかもしれませんね。
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