40thシングル 「雪風」

スピッツの「雪風」は配信限定シングルで、アルバム「醒めない」に収録されました。なんと40作目のシングルです!さすがベテランバンドですね!

2015年春のドラマ「不穏な便利屋」のエンディングテーマとして書かれたこの曲、なんとドラマとコラボしたスペシャル映像がアップされています。

主演の岡田将生が雪の中を歩き続ける映像は「雪風」の世界観とマッチ、素晴らしいコラボレーションとなりました。

【雪風/スピッツ】草野マサムネの妄想で書かれた歌詞が深い…意味を解釈!YouTubeに特別映像を公開の画像

妄想で書かれた歌詞

スピッツのボーカル・草野マサムネは九州生まれの九州育ち、雪とは無縁の生活を送ってきたそうです。

彼の妄想から生まれたのがこの曲だと語っています。この曲の持つ不思議な透明感や、幻想的な世界は彼の脳から誕生したのです。

それではその歌詞を解釈していきましょう。

【雪風/スピッツ】草野マサムネの妄想で書かれた歌詞が深い…意味を解釈!YouTubeに特別映像を公開の画像

歌詞を解釈

思い出の銀世界

まばゆい白い世界は続いてた また今日も巻き戻しの海を
エイになって泳ぐ

じゃれあってぶつかって大わらい 割れた欠片と同じ物を
遠い街まで 探しに行ったね

出典: 雪風 / 作詞:草野マサムネ 作曲:草野マサムネ

雪景色の世界は光り輝いています。その幻想的な光景が自分に白昼夢を見せたのでしょうか

「今日も巻き戻しの海を」というフレーズは、そういった風景を見るたびに過去のとある思い出が蘇るという意味でしょう。

そして続くフレーズではあの日の風景が再生されます

壊れたものを探しに

思い出の中では「誰か」と「壊してしまったものの代わり」を探しに、遠くへと向かっています。

どこまでも続いていくような一面の白に、すべては覆われていきます。壊れてしまったものは見つかるのでしょうか。

この世に同じものは2つと存在しません。いくら探しても見つからないのです。

思い出の中の「誰か」がそばにいないからこそ、その人との壊れてしまった関係が頭に浮かんで、エピソードが何度も再生されるのでしょう。

【雪風/スピッツ】草野マサムネの妄想で書かれた歌詞が深い…意味を解釈!YouTubeに特別映像を公開の画像

自分に問いかける

すごく懐しいだろ? 可愛らしいだろ?
あの日の温もり よみがえる
これでいいかな? ダメって言うかな?
雪風の中 問いかけてみる

出典: 雪風 / 作詞:草野マサムネ 作曲:草野マサムネ

ここで初めて「雪風」が登場します。雪風は吹雪を意味することばで、孤独が強調されていることが分かります。

何も見えない白の中、草野マサムネは誰に問いかけるのか、自分自身ではないでしょうか。

一見あの日の「誰か」に問いかけているように見えますが、自分と相談しているのだと思います。

その根拠となるフレーズはこの歌のラストに登場します。

自分の中で完結する物語

現実と離れたとこにいて こんなふうに触れ合えることもある
もう会えないって 嘆かないでね

出典: 雪風 / 作詞:草野マサムネ 作曲:草野マサムネ

自分に問いかける歌という解釈で読めば「嘆かないでね」というのも、自らに語りかけているように見えます。

雪風の中は現実から隔絶された、自分だけの世界なのです。その中で思い出の「誰か」と触れ合っています。

この曲は最初から最後まで「自分」のインナーワールドで完結していくのです。吹雪のもたらす孤独感に着目した素晴らしい歌詞だと思います。