ビッケブランカ初メジャーシングル「ウララ」
ピアノを主体としたサウンドと透き通る歌声が特徴的な「ビッケブランカ」。
今年の4月にリリースされた「ウララ」は、彼にとってメジャー移籍後初めてのシングル曲です。
ビッケブランカの楽曲は思わず身体が動いてしまいそうな曲が多く、この曲もリズミカルで楽しい一曲となっています。
そして「ウララ」は、彼があるものから影響を受けて書かれたそうです。
今回は歌詞を読み解きながらそのことについて考察していこうと思います。
さらに彼の素敵な笑顔とダンスに定評のあるPVも公開されているようです。
今回のPVは三角関係の恋物語仕立てになっているようなので、こちらも紹介していきます。
昭和時代へのオマージュが満載
歌詞に強さを
ビッケブランカは発売時の「ナタリー」でのインタビューで「昭和時代の歌詞の力強さ」についてお話しされていました。
あの頃は歌番組でしか曲を披露するタイミングがなかったため、歌詞に強さがなければいけなかったと彼は考えたそうです。
意味をあいまいにして煙に巻かず正面から言葉と向き合うことを、彼は「ウララ」の歌詞でチャレンジをしました。
確かに昭和時代の歌詞は直接的な言葉にしても比喩的な表現にしても、力強いものが多かったように思います。
ビッケブランカは前者の直接的な言葉を「力強さ」に例えているように感じられます。
これは彼の父親から受けた影響が大きいそうです。
フォークソングの持つ強さ
ビッケブランカは自分のルーツに「フォークソング」があるとも話していました。
彼のお父さんが「風」や「イルカ」さんなどのフォークソング好んでいたそうです。
それをビッケブランカは当然のものとして聴いていたようです。
日本フォークソングの特徴といえば、なんと言っても「ストレートな歌詞」にあるでしょう。
かぐや姫の「神田川」やイルカさんの「なごり雪」も、そのストレートな歌詞で現在まで歌い継がれている名曲ですね。
ちなみに「なごり雪」の作詞と作曲は伊勢正三さんです。
ではビッケブランカが影響を受けた方々が分かってきたところで、次は実際に歌詞の考察をしていこうと思います。
昭和の風が吹いてくる!
爽やかに表現された朝の風景
玄関ドアでつむじ風ができるほど
誰かがあわてて出かけていった
僕の夢を覚まして
スタートラインのピストル弾けるように
日差しが昇ってスラロームした
出発の合図にしたがって
出典: ウララ/作詞:ビッケブランカ 作曲:ビッケブランカ
「風景が鮮明にイメージできる歌詞」というのも昭和歌謡の歌詞の特長の1つです。
先ほどお話しした「神田川」や「なごり雪」の歌詞も、まるでその場所の空気が感じられるかのようです。
この曲の冒頭でもいくつかの比喩表現はありますが、朝の慌ただしい風景が映し出されています。
そしてその比喩表現はというと、1970〜80年代のアイドルソングを彷彿とさせるキュートなものになっています。
少し恥ずかしいようにも見える歌詞ですが、これにはビッケブランカの狙いがあるようです。
彼はこういった歌詞をストレートに歌いあげることも「強さ」の1つだと話していました。
現に楽曲を聴いてみると恥ずかしさは感じられず、そこには爽やかで心地良い風が吹いていました。
細かい部分にもリスペクトが
ビッケブランカは「〜なほど」という言い回しは「ユーミン」こと松任谷由実さんの歌詞を意識したと話していました。
その話を聴いて私が思い浮かべたユーミンの楽曲は「ベルベット・イースター」でした。
この曲はデビューアルバム「ひこうき雲」に収録されています。
幻想的な歌詞が歌われるこの曲の中でもサビの部分は特に印象的でした。
空がとても低い
天使が落ちてきそうなほど
出典: ベルベット・イースター/作詞:荒井由美 作曲:荒井由美
「空が低い」という言葉がすでに比喩になっているのに、さらに「天使が落ちてきそうなほど」と続きます。
これにより幻想的なムードの曲が、サビでピークを迎えるのです。
ビッケブランカのインタビューでは具体的な曲名までは出てきていませんでした。
ですが確かにユーミンはこの言い回しを効果的に使っていたことが分かりました。