その瞬間までそわそわ

付き合ってからそれなりに経ったし
もうそろそろかなって
緊張しながら待っているのに No Yeah

出典: 凍える前に/作詞:秋元康 作曲:木下めろん Dr.Lilcom

彼女の経験則か、それとも友人たちの経験談なのか。

2人の距離がゼロになるぐらいの期間が経っているということですね。

友人に「そろそろ?」「まだ?」とせっつかれたのかもしれません。

普通の恋人同士であれば、彼女だけでなく彼も「そろそろ」と思うはずの頃合いなのでしょう。

今日かな?明日かな?とクリスマスプレゼントを待つような気持ちと、うまくいくかな?という不安。

それが緊張感に変わり、常にそのことばかり考えてしまう状況のようです。

どうしても彼に動いて欲しい!

軽いなんて思われたくないけど
硬すぎたら進展しない
真っ直ぐ前見てちゃ よそよそしい

出典: 凍える前に/作詞:秋元康 作曲:木下めろん Dr.Lilcom

積極的な女性なら、彼からのアプローチを待たずに自分から行動するのかもしれません。

しかし彼女の中にある恋愛のプロトタイプではないのでしょう。

女は待つ立場であり、行動を起こすのは男。積極的な女は尻軽のように思われてしまう。

とても極端な考え方だと感じますが……、彼女は少し古風なのかもしれませんね。

しかし、あまりにも状況が動かないことには焦りに近いものを感じているのでしょう。

古風、硬派でいたいけれど、もし彼も同じスタンスでいるのであれば、距離が縮まることはありません。

だったらどうすればいいの!

会話を盛り上げるわけでもなく、スマホをいじるわけでもなく、何もせず前を向きました。

彼女は、近づく隙きを与えたつもりだったのかもしれません。

ですが周囲から見ると、彼に一切の関心を示していないように見えることに気づきます。

いっそ大胆に動いて欲しい

肩抱き寄せないのね
手も握らないのね
ジャケットを掛けてくれないのね

出典: 凍える前に/作詞:秋元康 作曲:木下めろん Dr.Lilcom

せわしなく会話をしていると、近づくタイミングが掴みにくいものです。

だからといってスマホに視線を落としていれば、邪魔してしまいそうで近づけません。

立ち上がって海に近づいてみたとしても、後を追って隣に並んでくれなければ寂しいだけ。

ですから彼女は彼の隣りに座ったまま、何もせずに前を向いています。

視線の先には海と、ライトアップされた景色。最高のシチュエーションです。

彼女の手はがら空き、肩もがら空き。あとは彼がスッと手を伸ばすだけで状況は動きます。

この上ない大チャンスが訪れているというのに、彼ときたら!

何もしません。

冬の海をさらった風はとても冷たくて、その場で座っているだけの彼女は徐々に寒さを感じ始めます。

こんなとき普通の恋人同士なら、マフラーを貸してくれたり、上着を掛けてくれるでしょう。

マフラーを首に巻くとき、上着を肩にかけるとき、それだって距離を縮めるチャンスなのです。

ずっとこうしてても
何も起きないでしょ?
突然行動してご覧よ

出典: 凍える前に/作詞:秋元康 作曲:木下めろん Dr.Lilcom

恋人同士なのに、お互いではないどこかを見つめたまま何もしないというおかしな状況です。

2本の直線は決して繋がることなく並行したまま伸びていきます。

どちらかがほんの少しでもハンドルを動かして進路を傾けなければ、永遠に並行状態が続くでしょう。

いっそのこと、急カーブを曲がるかのようにハンドルを大胆に切ってしまえばいいのに。

彼女はそう感じていますし、心の中では彼にそう呼びかけています。

一歩踏み出さなければ、景色は永遠に変わらないのです。

待ちきれない彼女の心

距離があるから寒さを感じる。

身も心も温かくなるために彼女が望んだこととは何でしょうか。

恋人だという証拠をちょうだい

凍える前にキスくらいちょうだい
愛されたような気がしたいのよ

出典: 凍える前に/作詞:秋元康 作曲:木下めろん Dr.Lilcom