故郷は捨てても
恨みつらみは ささらないが
あの娘泣かせて 郷里(くに)をでた
北の海鳴り 背中で叫ぶ
『夢は捨てるな 捨てるな夢は』
小樽 函館 流転の波止場
出典: 流転の波止場/作詞:仁井谷俊也 作曲:水森英夫
流転とはその名の通り、一か所にとどまることなく移り変わる様子を意味します。
この男性は他人からのうらみつらみに傷つくことはなくても、自分が郷里を出ることで泣かせてしまった娘の涙には痛みを感じたのです。
そんなたった一つの痛みを抱えて男は一人、北の海に背を向けます。
北の海鳴りはまるで、郷里を出た自分に夢を捨てるなと言っているようです。
夢を叶えるその日まで、小樽や函館などの港町を転々としていくのです。
ただし曲調が明るいので、そこまで深刻な内容ではありません。
梨の花の意味を考えよう
好いて好かれて 結んだ糸も
遠く離れりゃ 梨の花
シャイで不器用な 男の真情(まこと)
『恋は苦手さ 苦手さ恋は』
酒田 仙台 流転の波止場
出典: 流転の波止場/作詞:仁井谷俊也 作曲:水森英夫
男は東北へ身を寄せたようです。
それまでその場限りの関係を持った女性がいたのかもしれません。
好きで好かれて糸を結んだというのに、流転のこの身は遠く離れていきます。
そうすると糸も切れてしまうのでしょう。
この男は恋は苦手と言いながら、自分はシャイで不器用と自分の真情を現しています。
梨の花には「愛情、博愛」という意味がありますが、梨=無しというとらえ方もできます。
4月から5月に花を咲かせますし、春の季語ですから、もしかしたら北海道を立ったのが冬、東北に身を寄せたのが春なのかもしれませんね。
流れ流れて
がんじがらめの人生海峡
浮き藻 浮き草 浮寝鳥
西へ流れて 今日また暮れて
『明日に賭けるさ 賭けるさ明日に』
博多 長崎 流転の波止場
出典: 流転の波止場/作詞:仁井谷俊也 作曲:水森英夫
男はとうとう南へ渡ってきました。
まるで渡り鳥のようですが、浮寝鳥というのは渡り鳥のことかもしれません。
しかし藻や草のように浮いていますから、一か所にとどまることをしないのです。
寝ているうちにどこかに流されている可能性もあるでしょう。
人生海峡という言葉からも、関門海峡を渡ってきたばかりなのかもしれませんね。
流れの激しい関門海峡に、自分の人生を重ねたのかもしれません。
そして西へ流れる、今日がまた暮れるということから、陽が沈む様子が見て取れます。
夢を追ってきた男にとっては沈む夕日から、「明日に賭けるさ」を「明日に駆けるさ」に変えられるかもしれませんね。
南まで来て男はどうするのでしょうか。夢をかなえることはできたのでしょうか。
この後は想像するしかありませんが、一つの物語を一つの歌で見ることができるのです。
まとめ
山内惠介さんの「流転の波止場」、その歌詞の意味を考えてみると、とても深いですね。
演歌は時に人生を語るような歌詞がありますし、女を捨てて夢を追うというタイプの歌も見られます。
「流転の波止場」はその両方の意味を持ちますが、明日を見据えた男の姿を感じることもできるでしょう。
2017年まで3年連続で紅白歌合戦に出場、日本レコード大賞も受賞したいと語る山内惠介さん、2018年はどんな活躍を見せてくれるのでしょうか。
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