恋人よ 半年が過ぎ
逢えないが 泣かないでくれ
都会で流行の 指輪を送るよ
君に 君に似合うはずだ
出典: 木綿のハンカチーフ/作詞:松本隆 作曲:筒美京平
東京に出て半年を経た男性が送る手紙です。
指輪を贈る余裕があるなら一度くらい故郷へ帰省しても良さそうなのですがそうもいかない模様。
彼の中での物事の優先順位が東京暮らしで揺らいできたのでしょう。
変わらない女性の気持ち
いいえ 星のダイヤも
海に眠る真珠も
きっとあなたのキスほど
きらめくはずないもの
きらめくはずないもの
出典: 木綿のハンカチーフ/作詞:松本隆 作曲:筒美京平
女性の価値観は半年を経ても変わることがないようです。
作詞家・松本隆の理想の女性像なのでしょう。
男性のあとをそっとついていくタイプの女性像は「外は白い雪の夜」などにも登場します。
男性のパートと女性のパートをきちんと歌い分ける太田裕美の実力も素晴らしいです。
「ゴールデン・コンビ」の過去
鳴かず飛ばずのAlfie
松本隆・筒美京平のゴールデン・コンビですが、はじめから商業的に成功を収めた訳ではありません。
1974年にはAlfieというフォーク・アイドル・グループを手がけますが鳴かず飛ばず。
Alfieは4人組のフォーク・アイドル・グループで後のTHE ALFEEです。
「メリーアン」でようやくブレイクしたTHE ALFEE(当時は「ALFEE」)。
アイドル時代の話題はタブーに近く、高見沢俊彦はこの話題を振られると露骨に怒りをみせていました。
それでも時代を経て近年では松本隆・筒美京平によるデビュー曲「夏しぐれ」をライブなどで披露します。
また松本隆・筒美京平はブレイク前のオフコースにも楽曲提供していました。
どれも、いま聴いてもいい曲なのですが、ヒットには結びつきません。
男性の変貌が哀しい
東京暮らしの魔力
恋人よ いまも素顔で
口紅も つけないままか
見間違うような スーツ着たぼくの
写真 写真を見てくれ
出典: 木綿のハンカチーフ/作詞:松本隆 作曲:筒美京平
歌詞もこの辺りになると東京に染まりきった男性の変貌が哀しく思えてきます。
すっぴんの女性よりも化粧の上手な女性に惹かれるようになったのでしょう。
変わり果てた自分をむしろ誇りに思っているのがまた哀しいです。
男性の変化が遠距離恋愛に影を落とします。
女性の返信を見てみましょう。
野原で寝転ぶ男性が好きだった
いいえ 草にねころぶ
あなたが好きだったの
でも木枯らしのビル街
からだに気をつけてね
からだに気をつけてね
出典: 木綿のハンカチーフ/作詞:松本隆 作曲:筒美京平
故郷の草むらで寝転ぶ男性が好きだった。
スーツ姿の写真を見せられてもピンとこない。
それでもとにかく男性の身体をいたわる女性。
遠距離恋愛を支えるのは主に女性の側の健気で一途な思いだけです。
心配になります。