「not alone ~幸せになろうよ~」の概要
本作「not alone ~幸せになろうよ~」は、SMAPが2011年にリリースしたシングル曲。
配信限定にてリリースされ、楽曲は香取さん主演のドラマで主題歌にもなりました。
ドラマのタイトルは「幸せになろうよ」。
楽曲のタイトルにもその言葉が流用されています。
ドラマの内容は少しコミカルで、香取さんのキャラクターに合ったものです。
本作と東日本大震災の関係
既に述べた通り、本作のリリースは2011年。
2011年と言えば、3月に発生した東日本大震災が思い起こされます。
その直後に届けられた楽曲で歌われているのは、まるで被災者のみなさんを包むような「ひとりじゃない」というメッセージです。
そもそも、4月~6月クールのドラマ主題歌として準備されていたこちらの作品。
時期を考えると震災発生以前の時点で既に完成していたことが予想されます。
それでも、本作はそのような「震災への思いが込められた作品」として、その後扱われていきました。
「not alone ~幸せになろうよ~」の歌詞をチェック!(前半)
辛いことを共有した日
あの日ぼくたちは もう一度 生まれた
同じひとつの こころが生まれた
天気予報の 晴れマークまるで
笑顔の絵文字さ 祈り送れたら not alone
出典: not alone ~幸せになろうよ~/作詞:権八成裕 作曲:菅野よう子
冒頭のパートはドラマ「幸せになろうよ」の主演でもある香取さんのボーカルによって始まります。
「天気予報の」以降の担当は稲垣さんです。
ここで歌われている「あの日」とは、辛いことがあった日、またはそれを共有した日、として解釈できます。
これを震災になぞらえて考えると、「あの日」はやはり「3月11日」ということになるでしょうか。
「天災」という人間の力ではどうしようもない出来事が起こって、全員が同じ悲しみを抱えました。
その日を境にまるで「もう一度生まれた」ように私たちは心をひとつにします。
「晴れマーク」の描写は震災によって大変な思いをしている日常で垣間見えた一コマであると解釈できました。
テレビや新聞などで見る天気予報の「晴れ」のマークがまるで「笑顔の絵文字」のようだ、ということ。
落ち込んでいるときはそんな小さな事柄からも癒しや勇気をもらえるものです。
同じように広がる空
遠く離れた きみが今見る空は
ぼくの見る空と 同じだと気づく
たからものだね 想像の力
いつでもどこへでも やさしさ飛べるさ
出典: not alone ~幸せになろうよ~/作詞:権八成裕 作曲:菅野よう子
こちらのパートを担当するのは草彅さんと木村さん。
ここで主人公が言う「きみ」は悲しみに暮れ、どこか遠くで過ごしています。
ふと見上げた空はずっとつながって、主人公にもまた「きみ」の頭の上にも同じように広がっている。
「人々は日々同じものを共有して生きている」と気付くのです。
震災発生の当時、東北地方の人々の苦労や悲しみは日本全国で同じように感じることができました。
離れた場所で生まれた「やさしさ」は遠くつながった空を飛んで、きっと現地の人々にも届いていたはずです。
「たからもの」とは言い換えれば「失くすことのできない大切なもの」。
大変な思いをしている人の事を思い描いて、その人をいたわるような気持ちを持つことが「やさしさ」につながっていきます。
そんな「思いを馳せること」の大切さをこの部分では歌詞として説いているのだと読み解くことができました。
「肯定」という姿勢
そこに花が咲いたなら
そっと水をあげたいんだ
否定じゃなくて肯定しようよ
はじまるんだ…
出典: not alone ~幸せになろうよ~/作詞:権八成裕 作曲:菅野よう子
この部分のボーカルは中居さんによるものです。
「花」という比喩があるように、「生まれたものを優しく包むように育てたい」とこの主人公は伝えます。
その「生まれたもの」とは苦労に打ちのめされてしまった人の「少しだけの勇気」なのかもしれません。
また「ひとときの安らぎ」とも捉えることができます。
そんな「ちょっとした変化」を、水をあげるように「肯定」しながら受け入れたいと語る彼。
最後の「はじまるんだ」はメンバー全員の言葉によるものです。
こちらの歌詞では本作が伝えたいテーマの本質的な内容が綴られていると感じます。
それをリーダーである中居さんが歌い、最後にメンバー全員でまとめる。
SMAPのチームワークがここに表れているように思います。