そこに描かれる世界は
新世代のシンガーソングライター
ボーカロイドに自ら作曲した歌を歌わせた動画を投稿するボカロP。
EveはボカロPとしても多くの人に支持されているシンガーソングライターです。
ネットを通じて誰もが発信者に成れる。
そんな時代だからこそ生まれたシンガーソングライターともいえるでしょう。
そんな彼がリリースした5作目のアルバム『おとぎ』。
「僕らまだアンダーグラウンド」は『おとぎ』の収録楽曲。
まるでアニメ!?

「僕らまだアンダーグラウンド」は2019年1月25日に配信リリースされました。
MVも同時に公開され驚異的な再生数を誇ります。
プロデュースに川村元気、監督に依田伸隆と豪華メンバーを起用しアニメと遜色ないほどのMV。
リンクを貼るのでぜひ視聴してみてください。
2つの世界で繰り広げられる日常と非日常に引き込まれます。
アンダーグラウンドとは何か?
「アンダーグラウンド」は「地下」、「秘密の、反体制の」といった意味を持っている英単語。
ひとつの言葉にたくさんの意味が含まれるのは日本語でも英語でも変わりません。
その前後の文章を読んで意味を把握していくものです。
この歌詞における「アンダーグラウンド」はいったい何を指すのか。
曲全体を通じて把握していく必要がありますね。
自分の言葉、他人からの言葉
生きる上で多くの言葉を浴びせられます。
それは自身を助けてくれるものもあればそうでないものもあります。
何に従い何に従わないか。
それを取捨選択するのは自分自身のはずです。
しかし、それはなかなかうまくいきません。
考えないまま反発したり従ったり。
果たしてそれは、自分といえるのでしょうか。
なりたいもの、なれないもの
ああでもない こうでもないと
言葉だけが宙を舞って
また今日も夜を越えてしまったんだ
出典: 僕らまだアンダーグラウンド/作曲:Eve 作詞:Eve
理想と現実、よく比較され言われる言葉です。
よく言われるということはこの2つのギャップに苦しむ人が多いということ。
「ああなりたいのに、こうしたいのに」。
理想を叫んでは自分の行動と照らし合わせて嘆きます。
「ああでもない、こうでもない」と。
しかしそういったことは忙しい時は意識に上がりません。
一番そういったことを思い浮かべるのは夜寝る時。
ベッドに入ってボーッとしているとどうしようもないことを考えてしまうもの。
そうして考えて考えて。
気づけば日が昇ってしまうのです。
そうして変わることのできないまま1日がはじまってしまいます。
言葉だけを尽くしたところで何かが変わるはずはありません。
だからといっても頑張れば何事もできるわけでもないのですが。
何がしたい?何ができる?
頑張れ とか 君の為 とか
押しつけがましい事も愛せれば
あれはだめ これもだめ だから
いつまでも子供扱いの僕ら
単純な事もできないな
何処にも逃がしてくれないや
自分を見失ってしまうわ
出典: 僕らまだアンダーグラウンド/作曲:Eve 作詞:Eve
「きっと実るから頑張って」。
「君のためを思って言っているんだ」。
「危ないからそれはしてはいけません」。
善意の言葉は時として自身を縛る枷になります。
枷を嫌い反発することも多いでしょう。
ここで気になるのは「子供扱い」というところ。
この歌の主人公はどうやら「大人」ではないようです。
大人と子供の中間位置くらいでしょうか。
上から目線の大人への反発とそれすらも受容したいという望み。
むしろ受容が「だめ」だからこその子供扱いなのかもしれません。
しかし枷は動きを制限してしまうもの。
多くの人から与えられる言葉は思うまま生きることを許してくれません。
人の顔色を気にして伺って、肝心の自分は何ができるのか、何をしたいのか。
そんな簡単なことさえ分からなくなってしまうのです。