1.slumber
心地よい夢のよう
アルバムの始まりを告げる鐘楼のような音が印象的な一曲。
アルバム「おとぎ」の世界観に視聴者を引き込む作用を果たしています。
アコースティックギターの爽やかな音と不可思議なバックコーラスが魅力。
ゆったりとEveの世界に埋没していきます。
タイトルの「slumber」は”(すやすや)眠る、まどろむ”。
他に”(火山が)活動を休止する”といった意味合いを含んでいます。
また”slumber away”で”(一生を)無為に過ごす”なんて表現もあるのです。
曲調からは「まどろみ」が一番合った和訳ではないでしょうか。
正解はありません。
それぞれが受けた印象で解釈するといいでしょう。
2.トーキョーゲットー
アップテンポな一曲
1曲目と打って変わってアップテンポなナンバー。
カラオケでもノリノリで歌えそうです。
MVをちらと見ると圧迫感のあるロボットが映っています。
実はタイトルの”ゲットー”はユダヤ人の居住区の意。
一方的に押し込められた場所で決していい場所ではありません。
そのため、先の大戦でナチスが保有した強制収容所もゲットーと呼ばれました。
多くは現在のドイツ連邦ではなく、隣国のポーランドに作られたのです。
その”ゲットー”と現代社会の収容所のようなトーキョーを創造した歌です。
きっとコンクリートジャングルや過度な広告に閉そく感を抱いたのでしょう。
暗鬱としたトーキョーの世界を描いた歌です。
3.アウトサイダー
ロックとクラシックの変拍子が魅力の一曲。
近未来をイメージしたMVが喪失感を漂わせます。
”門外漢、部外者、勝ち目のない馬”といった意味合いのアウトサイダー。
社会のシステムからはじき出された苦悩を歌っています。
車窓から見える摩天楼。
角の生えたゴジラ。
いずれも大都会・新宿を連想させる冒頭で始まります。
こうした景色から着想を得たのでしょう。
頭に韻
一般的に韻を踏んだ歌詞とは単語の語尾が同じ音です。
ところが「アウトサイダー」は単語の頭を揃えています。
”天才で人外で横暴な”
は天才(てんさい)の”天”と人外’(じんがい)の”人”が”ん”で終わっています。
”最低で最高な相棒さ”
は最低の”最”と最高の”最”が同じ”サイ”という音です。
冒頭で韻を踏むという新しい発想が程よいリズム感を生み出しています。
過去の作詞の概念を覆した一曲と言えるでしょう。
4.迷い子
思春期がテーマ
ゆったりとしたリズムの「迷い子」。
制服を着た学生を中心にMVは流れます。
雑踏、ビル群、信号の中に一人の少女が傘を持って立つ。
まさに迷い子ですね。
行き場所がなくて迷っているのではなく、心の迷いを表出しています。
思春期にある人生の迷い、社会への不満、大人への反駁。
それらを抱きながらも現状を維持していこうという前向きな歌です。
何も結論が出たわけではないけど、”このままでいよう”という決断を下しています。
移ろいやすい世の中で生きる若者をテーマにした一曲。