いちいち頭の中を駆け巡る君に追いつけなくて
ほっておいたらそのうち頭から飛び出していかないかな
なんて考えているうちは消えないよな
出典: Shunari/作詞:平部雅洋 作曲:平部雅洋
鮮明に彼女を思い浮かべているのがうかがえる表現ですね。
でも、ここでも思い出しているうちは吹っ切れないと理解しています。
分かっているのにどうすることもできない…それほど大きなショックだったのでしょう。
青春時代をともにした相手なら、失恋の衝撃も強いはずですね。
今を受け入れられない
過去へ戻れたなら
もう帰ろう
ふたり出会った頃に
手を繋ぐだけで鼓動が高鳴っていたあの頃に
無くせない 失くしたくない
思い出が多すぎて
胸の奥に深く突き刺さったまま抜けなくなっている
出典: Shunari/作詞:平部雅洋 作曲:平部雅洋
辛い現実から逃げたい気持ちから「帰ろう」のフレーズが出てきました。
幸せだったあの頃に戻りたい。
今の主人公にとって、吹っ切れるということは自分の気持ちを否定するということ。
彼女への愛情を消し去るなんて選択肢は選べないのです。
だからこそ、現実では叶わない「過去に戻る」という手段を求めているのですね。
また、歌詞からは付き合ってきた期間の長さがうかがえます。
感受性の強い若い時期を彼女に捧げてきたのでしょう。
この恋愛経験が主人公を形作っているといっても過言ではないはず。
彼女という存在の欠如は、自分の中の何かが欠けてしまうような状態。
それを刺さった「棘」のように表現していますね。
刺さっていると痛くてたまらない。
でも、抜いてしまえば傷口が露わになってしまうのです。
彼女の名残がさらに苦しめる
色違いでつけてた携帯電話のケースも
きっと僕だけがまだずっとつけていて
ふたりで作ったアルバム
まだ増えるだろうからって
白紙のページとか作るんじゃなかったな
出典: Shunari/作詞:平部雅洋 作曲:平部雅洋
こちらも「自分の愛情が一方通行」だと自覚する事柄を並べています。
一人だけ続けているお揃い。
写真を追加することのない白紙のページは、「終わってしまった」という気持ちを助長します。
長い付き合いを続ければ、身の回りに彼女にまつわるものが増えていきますね。
交際中は幸せに包まれた気分になれるのですが、失ったときはむしろそれが皮肉に映ってしまう…。
これは共感する人の多い事柄ではないでしょうか。
もうこの愛情を消し去ることはできない
走馬灯のように思い出す
誕生日にフラれかけた事も
バイト先まで謝りにいった事
その後に食べたプリンの味も
そういえば
いちいち頭の中を駆け巡る君が鬱陶しくて
ほっておいたらそのうち頭から消え去ってくれないかな
なんてさ
考えるだけ無駄かな
出典: Shunari/作詞:平部雅洋 作曲:平部雅洋
記憶はより鮮明に思い出されるようになってきます。
忘れていた些細なことすら、走馬灯のように湧き上がっているようですね。
もうここまで彼女のことで満たされてしまったら、忘れることなんて不可能に近いでしょう。
離れてしまった彼女の心
もう帰ろう
ふたり出会った頃に
手を繋ぐだけで鼓動が高鳴っていたあの頃に
無くせない 失くしたくない
でも取り返せないから
「また僕を好きになりますように」と願っているだけ
出典: Shunari/作詞:平部雅洋 作曲:平部雅洋
どうしても彼女への愛情を止めることができない主人公。
導き出した結論が最後に歌われています。
「取り返せない」という言葉からは2つの意味合いが想像できますね。
1つ目は「過去の過ちをやり直すことができない」ということ。
2つ目は「他の男性に取られてしまった今、彼女の愛情を取り返せない」ということ。
もう過去へ戻ることも、彼女の離れた気持を戻すこともできない。
それを受け入れたうえで、「彼女がまた自分に恋してくれること」を祈ることにしました。
そう考えることで、自分の中に溢れかえる彼女への愛も肯定することができます。
一見叶うはずのない願いでも、「過去へ戻る」という手段を選ぶよりも現実的で受け入れられるのでしょう。