人のネガティブな側面にも切り込んでいく

疲れた人間関係と愛想笑い

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誰かに必要とされたいけど
素直になれないから
独りのほうが好きって
嘘をついたこともあったけど
そもそも人間という動物は
嘘でも笑うんだ
子供でさえ悲しいのに笑うんだ
皆、自分のせいにはしないもの
皆、自分を悪くは言わないもの

出典: 生きて/作詞:太志 作曲:太志

冒頭では人間関係に疲れて孤独を選んでいるのでしょうか?

多くの壁にぶち当たり傷つけば、いっそ根源になる人間関係すら断ってしまいたくなる。

でもそれを「嘘」と言っていますね。

心の底から望んでいるのは人と心から分かり合えることなのでしょう。

孤独が好きというのは、自己防衛の手段にすぎないはずです。

そして、最初は「涙」について歌っていたのに対して、ここでは「笑顔」について歌っています。

作り笑いや愛想笑い…笑顔を浮かべるときは、必ずしも本心とはいえない場合もあるのでしょう。

社交辞令なんて言葉もありますね。

それを「嘘」といっています。

それに比べて「涙」はどうでしょうか?

瞳からボトボトと涙を流すとき、そこには心の底から湧き上がる気持ちがある気がしませんか?

よほど演技派の女優でない限り、自ら涙をコントロールできないと思います。

また、女優達も「お芝居」の中で涙するのであって、実生活では喜怒哀楽を込めて涙を流す気がします。

この「笑顔」と「涙」の対比は非常に面白いですね。

しかし、作り笑いするのにも理由があります。

誰しも「嫌われたり」「批判されたり」という状況は避けたいもの。

そのために時には心に反して笑顔を取り繕うのです。

それがこの部分の歌詞の後半で語られている内容なのではないでしょうか。

太志自身が振り返ってみて思う事とは

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傷ついたことばかりで
傷つけてきたことを
歌にはしなかったこと
「私はいい人じゃない」って
あなたは言ったけど
僕もね、いい奴なんかじゃない
ただこんな僕でさえ
好きな人のことだけは
ほんとに幸せにしたいって思う
あなたを幸せにしたいって思う

出典: 生きて/作詞:太志 作曲:太志

これは作詞作曲した太志が誰かに言われた言葉なのでしょうか?

自分が傷ついたことに関する曲はたくさん作ってきた。

それに引き換え、自分が人を傷つけたことに関してはオープンに歌にしない。

歌を作るときに自分にとって都合のいい出来事ばかり選んでいるんじゃないか。

そんな投げかけをされたのかもしれませんね。

太志自身、過去のインタビューでこの曲を「デビュー当時の楽曲が身勝手だった」と思って制作したとのこと。

「誰かに言われた」という構成になっていますが、彼自身が自分を振り返って感じたことなのですね。

これも先ほど述べていた「作り笑い」の心理と同じなのかもしれません。

批判の対象になるような自分を直視できていないのでしょう。

でもそんな「いい人」でない自分でも好きな人への想いは本物といっています。

大ヒット曲「等身大のラブソング」からは、どの方もひしひしと愛が伝わるのではないでしょうか?

太志だって人間なのでちょっとずるいところもあって当然。

どんな事柄も裏表・長所短所がつきものです。

しかし、彼のみなぎる「愛」は「嘘偽りない」のですね。

過去の辛い経験の氷が解けだす

尖った氷は温かい涙に

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傷つきながら傷つけながら
大人になってゆくものなのかな
あんなことを
何故言ってしまったのだろう
届かぬごめんなさいを
連れて日々は続いてく
人の厳しさが
尖った氷にしか思えずに
ここまでここまで
来てしまったけど
二度と逢えない人がくれた
その氷は今
こんなにあたたかい涙になった

出典: 生きて/作詞:太志 作曲:太志

過去の自分の行為に対する申し訳ない気持ち。

今は会わなくなってしまった人へ、心の中で「ごめんなさい」を唱えているのでしょう。

そうやって後悔が積もりつつも日々は過ぎていきます。

そして最初は人との衝突を避けてきた心情に変化が訪れました。

他人からの厳しさは当時「鋭くとがった氷」…つまり凶器のようなものに見えていたとのこと。

ところが時間の経過とともにその氷は段々と溶けていき、いつしかあたたかい涙に。

単に氷が溶けるだけなら冷水になってしまうでしょう。

溶けた水を温めてくれたのは「人との出会い」なのでしょうか?

この歌詞を見ていると、冷めきった人間関係もいつかは温かいものに変わるのかも…なんて思ってしまいますね。

2度目だからこそ刺さるフレーズ

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生きてゆくっていう事は
涙がこぼれるほど
それほどそれほど
切ないけど
生きてゆくっていう事は
涙がこぼれるほど
それほどそれほど
素晴らしいものだろう
それほどそれほど
切なく素晴らしいものだろう

出典: 生きて/作詞:太志 作曲:太志

ここで冒頭で流れたこの曲のメッセージが繰り返されます。

曲の始まりと終わりを同じサビで締めるところも、素敵ですね。

ここまで「涙」に込められた「強い心情」が語られました。

そして一見ポジティブな印象の「笑顔」に対する「嘘」という新しい見解。

ストレートな歌詞が魅力な太志の楽曲の「ネガティブな側面」。

この曲はこれらの事柄の「一般的な概念」を切り口に、裏の面を気づかせようとしているのではないでしょうか。

それを見たうえでの、生きていく切なさ。そして生きていく素晴らしさ。

どんなに辛い出来事も、良く見える出来事も裏と表の顔があるというのを考えさせられました。

これらを全てまとめて「素晴らしい」と歌っているんですね。

歌詞の解釈をしてみて、とても深い歌詞だなと筆者は感じました。

最後に

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