知名度はあるがビッグヒットには縁がなかったゴダイゴ
英語の歌詞にこだわる
孫悟空を主人公に三蔵法師一行の旅を描いた西遊記は、映画やアニメとしては格好の題材です。
日本では古い所で1960年代のテレビアニメ「後空の大冒険」、アニメ映画「西遊記」があります。
西遊記の人気を決定づけたのは1978年に日本テレビ系で放送されたTV実写ドラマ「西遊記」でした。
そのテーマ曲を担当したのがゴダイゴ。
ゴダイゴは1975年のデビュー以来、英語の歌詞にこだわったロックバンドとして注目を集めました。
デビュー当時からテレビや映画用の楽曲を手掛けていたので、それなりの知名度を得ていたのです。
そのため一般にゴダイゴの名前は知られていたのですが、ビッグヒットには恵まれませんでした。
その転機となったのが「西遊記」です。
ゴダイゴ初の日本語歌詞
英語の歌詞と日本語の歌詞の2バージョン
ゴダイゴが「西遊記」のために書き下ろしたテーマ曲は2曲。
オープニングの「モンキー・マジック」とエンディングの「ガンダーラ」です。
ここで彼らはデビュー以来守り続けた英語の歌詞というスタイルを崩します。
日本のロックバンドでオール英語の歌詞というスタイルは斬新でした。
しかし、それがビッグヒットを生み出せない原因だと彼らは考えたのです。
ゴダイゴはドラマ「西遊記」の制作側から日本語の歌詞でという要望を受け入れました。
ただし「モンキー・マジック」は従来通り英語の歌詞。
「ガンダーラ」は日本語の歌詞をメインに一部を英語でという形になりました。
今では日本語と英語の歌詞が混ざった曲は当たり前ですが、「ガンダーラ」は早い時期にそれを実現しています。
英語の歌詞を簡単には捨てられなかったのか、まず全編を英語で書いてそれから日本語の歌詞が作られています。
日本語の歌詞では英語にあったリフレインが省略されるなどしてコンパクトになっています。
曲の長さも違い録音も別なので、「ガンダーラ」には英語と日本語の2バージョンがあります。
作曲はゴダイゴの曲を手掛けていたリードボーカルのタケカワユキヒデが歌詞に曲を付ける形でした。
まず、奈良橋陽子が英語の歌詞を書きおろし、それにタケカワユヒキデが曲を付けたわけです。
それから山上路夫が英語の歌詞の一部を取り入れて日本語の歌詞を仕上げています。
「ガンダーラ」はドラマ「西遊記」の人気もあり、ゴダイゴ初のミリオンヒットになりました。
加えて「モンキー・マジック」もヒットして、ゴダイゴの人気は不動のものになります。
遠く西方にある夢の国を歌った英語の歌詞
漠然としたイメージで書かれた
それでは英語バージョンの歌詞から見ていきましょう。日本語訳と合わせてご覧ください。
A long time ago when men were all babes
There was a land of the free
Fantasy and dreams
Were its untouched wealth
And goodness and love were real
出典: ガンダーラ/歌詞:奈良橋陽子 作曲:タケカワユキヒデ
昔々みんなが赤ん坊だった頃
幻想と夢の自由な国があった
そこには手つかずの富
そして本当の善と愛があった
Each man desires to reach Gandhara
His very own utopia
In the striving, in the seeking soul
Man can see Gandhara
出典: ガンダーラ/歌詞:奈良橋陽子 作曲:タケカワユキヒデ
誰もがガンダーラにたどり着きたいと強く望む
自分だけの理想郷
努力と探求心で
人はガンダーラを目にすることが出来る
In Gandhara, Gandhara
They say it was in India
Gandhara, Gandhara
The place of light Gandhara
出典: ガンダーラ/歌詞:奈良橋陽子 作曲:タケカワユキヒデ
ガンダーラに、ガンダーラに
人々はそれがインドにあったという
ガンダーラ、ガンダーラ
光り輝くガンダーラの地
Though long ago and far
Beyond the winding road
Always beyond every bend
A beautiful land still waits for the few
Who make it to the very end
出典: ガンダーラ/歌詞:奈良橋陽子 作曲:タケカワユキヒデ
遥か昔の遥か遠くだけど
曲がりくねった道の彼方
いつも曲がり角の向こう
美しい国がじっと待っている
それを成し遂げるのは一握りの者
Each man desires to reach Gandhara
His very own utopia
In the striving, in the seeking soul
Man can see Gandhara
出典: ガンダーラ/歌詞:奈良橋陽子 作曲:タケカワユキヒデ