ガンダーラのリフレインは最後を「愛の国ガンダーラ」に置き換えています。

生きることの 苦しみさえ
消えるというよ
旅立った人はいるが
あまりに遠い
自由なそのガンダーラ
素晴らしいユートピア
心の中に生きる
幻なのか

In Gandhara Gandhara
They say it was in India
Gandhara Gandhara
愛の国ガンダーラ
Gandhara Gandhara
They say it was in India
Gandhara Gandhara
愛の国ガンダーラ

出典: ガンダーラ/歌詞:山上路夫 作曲:タケカワユキヒデ

歌詞の後半はほぼ英語バージョンと同じです。

英語の歌詞へのこだわりがまだ強い感じがします。

ガンダーラに登場する主人公とは?

三蔵法師が主人公?

さて、「ガンダーラ」の歌詞には特に主人公の設定がなされていません。

そこで歌詞から想像できる主人公を設定しておきましょう。

しかし、歌詞を一通り読んでいっても特定の人物は登場しません。

登場するのはその国に行きたがっている、という謎の人物だけですね。

そうなると西遊記に登場する三蔵法師自身も主人公とは言いにくい感じです。

よって、「ガンダーラ」という楽曲に登場する主人公は人ではなく「」になるのです。

そう、楽曲のタイトルになる「ガンダーラ」そのものです。

「ガンダーラ」を主人公として読み解いてゆけばこの楽曲はより身近に感じられると思います。

ガンダーラは想像の国?

そこで疑問になるのが「ガンダーラ」という場所についてです。

確かにガンダーラは今のインド北部にあったといわれている仏教発祥の地です。

よって想像の国、という事にはならないようです。

ただ、紀元前にまで遡るお話になりますので歴史に興味がないとサッパリ…かもわかりませんね。

「ガンダーラ」は実際に実在した「西遊記」に登場する「天竺」という国である。

こう理解してゆけばこの楽曲の歌詞の理解が簡単になるでしょう。

ユートピア・ガンダーラ

物語の背景

では1番の日本語の歌詞をさらにじっくりと読んでいきましょう。

当時の日本にはまだ仏教は伝来していませんでした。

当時の日本は飛鳥時代。豪族が支配していた時代です。

しかし、国家としては脆弱で、民衆はいつも苦しんでいました。

そんな危機的な状況を救おうとして三蔵法師は天竺という国に赴いたのです。

中国(当時は唐)からインドに渡って仏教のありがたい経典をいただき日本に持ち帰るためにです。

当時のインドは仏教先進国

なぜ、日本からはるばる遠路、危険な旅を行って遠い異国へ行こうとしたのか?

それは何が何でも「経典」を日本へ持ち帰るためでした。

経典にはお釈迦様の教えが寸分の狂いもなく記されています。

豪族の圧政に苦しむ民衆を救うためには、何としてもその経典が必要だったのです。

その経典があるというガンダーラ。

ガンダーラは今でいうインドです。

当時の日本からみれば、海の向こうの遥か彼方。

まさに陽が上る方向に行かなければいけない場所でした。

しかし、そこは地上のユートピアと思われていたのです。

無理はないでしょう。日本で実際に行って見た者など1人もいないのですから。

お釈迦様がお生まれになった、かの国。

さぞかし地上の楽園であったろう。

人々の想像は救いの一心でそう思わずにいられなかったのです。。

地上の別天地、ガンダーラ

2番の歌詞は当時の人々の心の救いを切実に訴えています。

日々の暮らしは苦難の連続。

生きていてもいいことなど、1つもない。

毎日、年貢を取り立てられるために過酷な生活が待っている。

いったい、どうやったらこの苦難から脱出できるのか。

ところが聞くところによると、海の向こうの遥か彼方に別天地のような場所があるらしい。

しかし、誰も行ったことがないという。

その場所に行くにはあまりに遠すぎるから。

ああ、誰かそこへ行ってそこの素晴らしさを教えておくれ。

そうすれば少しは希望が湧いて、生きる望みも出てきそうだ。

人々の思いが2番の歌詞に凝縮されています。

地上のユートピアであり別天地のガンダーラ。

人々はほんのわずかでいいからガンダーラを知りたかったのでした。

いつの日か、きっといい世の中が訪れてくれることと重ね合わせて。

日本語と英語のミックス