独り言のように助けを求める言葉
市販の風邪薬じゃ効かないから
今日も病院でモルモットになる
先生、なんとかグルグル廻るこの星を止めて
もっかいあの子に好きと言えないか
メーデー いつかの僕を見つけてよ
出典: メーデーメーデー/作詞:石崎ひゅーい 作曲:石崎ひゅーい
ここは自分も経験があると思う人がいるかもしれませんね。
体調が悪くて休みたいけど休めないから薬を飲んでみたのに、全然良くならない。
病院へ行くのはなんだか嫌だけど、お医者さんにもらった薬なら効くかもしれない…。
彼は自分を実験に使われる動物に例えていますが、本当は助けを求めているのではないでしょうか。
目がまわるくらい熱が出ている自分と、頭の中に悩みが渦巻いている自分を両方助けてほしい。
深刻になりすぎずにユーモラスに助けを求める姿を描いた、センスを感じる歌詞だなと思います。
そしてここで初めて、1回だけ「メーデー」という言葉が出てくるのです。
思い悩むこともなく、上手くいったのかどうかは分かりませんが好きな女の子がいたあの頃。
彼はきっと今より幸せだった昔に戻りたいはずです。
「SOS」のように叫ぶのではなく独り言のように助けを求める言葉が「メーデー」なのです。
誰でもいいから助けてほしい
逃げ場のない現実
SOS SOS SOS SOS
今夜もグラグラに酔って 便所にすがりつきながら 君を想う
報道も 情勢も 占いも 掲示板も
なんだか信じられなくて なんだか寂しくなるんだ
上手に息が出来なくて 上手に息が出来なくて
出典: メーデーメーデー/作詞:石崎ひゅーい 作曲:石崎ひゅーい
2度めのSOSでは逃げ場のない現実を叫んでいます。
浴びるほどお酒を飲んで酔っ払ってしまう彼は彼女のことが忘れられません。
忘れたくてお酒を飲むのに、忘れられない自分が嫌になっているのかもしれませんね。
身の回りにあるニュースやネットで目にする情報は、彼にとってはどうでもよい事なのでしょう。
むしろ神経をかき乱す雑音のようなものかもしれません。
いろいろなものや情報が自分を取り囲んでいるのに、なにひとつ自分を救ってくれるものはない…。
最後の息苦しさや生きづらさを感じる歌詞を繰り返すところに、共感を覚える人もいるのではないでしょうか。
ここは都会の孤独を感じさせるパートですね。
大人だって逃げ出したいときがある?
月曜日水曜日 学校行かずにSOS
木曜日金曜日 会社も行かずにSOS
台風だ土砂降りだ 部屋に鍵かけてSOS
誕生日クリスマス ケーキも食べずにSOS
出典: メーデーメーデー/作詞:石崎ひゅーい 作曲:石崎ひゅーい
最後のサビを繰り返す前に助けを呼びたくなる場面が出てきます。
曜日でいうと土日は登場しません。SOSを発信したくなるのは平日なのですね。
学校や会社へ行くのが嫌でベッドから出たくないという経験は、たぶん誰にでもあるのではないでしょうか。
できればズル休みしたい。そんなことを思ってしまう天気が大荒れの日。
上司に「天気が悪いから休みます」とは言えませんが、大人でも会社に行きたくない日はあるのです。
そんなときは誰でもいいから助けてほしいのでSOS。
大事な記念日は好きな人とふたりで食事をしたいし、普段は食べないケーキも食べたい。
それが出来ずに孤独に過ごさなければいけないときも誰かに助けてほしいのでSOS。
ここは前のパートが切実に助けを求めていたのに比べると、ノリがよくて軽快にブレイクするようなパートです。
彼が逃げ出したいものとは学校や会社や世の中など自分を縛るものすべてなのでしょう。
取り戻したいものは彼女に「好き」と言えたあの日なのかもしれません。
誰でもいいから届くように、そして誰かに届いてほしいとSOSを叫んでいるのです。
心に刺さる石崎ひゅーいの歌
心の中で助けを求めている人へ
命にかかわる緊急事態に発信するSOSやメーデー。
遭難した船の乗組員や、墜落するかもしれない飛行機を操縦するパイロットは必死に助けを求めているはずです。
周囲に誰もいない嵐の海や空の上で危機に直面したらどんなに不安でしょう。
だけど都会に住んでいても助けを求める人や、どこかへ逃げ出したいと思っている人はたくさんいるのです。
誰でもいいから助けてほしくて心の中でSOSやメーデーを叫んでいる人は必ずいるはずです。
ただ心の中で助けを呼んだとしても、いったい誰が助けてくれるのでしょうか。
友人や家族、あるいは会社の同僚や上司。
気軽に相談したり助けを求める相手がいるのは幸運な人です。
それができなくて辛い思いをしている人がたくさんいるのではないでしょうか。
そんな人たちに代わって心の叫びを歌にしているのが石崎ひゅーいなのです。
「メーデーメーデー」は、助けを求めている人の心にきっと刺さる歌だと思います。
石崎ひゅーいの魅力とは?
石崎ひゅーいは一見おとなしそうで、自分の想いを人に伝えるのは苦手な人に見えます。
それなのにいったんステージに立てば彼の歌はストレートに聴く人の心に届くのです。
「花瓶の花」のように最初の歌い出しだけで人を惹きつける曲があります。
また激しいロックな曲が多いのは、伝えたいことが次々と心の中から溢れてくるからではないでしょうか。
静かでゆっくりした曲だけでは想いを表現するのに追いつかないのだと思います。
心に響く歌詞を耳に残るメロディーに乗せるのは、シンガーソングライターに欠かせない才能ですね。
これから先もいい曲をたくさん書いてくれる人だと思っています。