ねぇ 君は寂しくはない? 雨やどりのバッタが言う
静けさと遠き雷鳴 笑ってるわけじゃないの

出典: フラワー/作詞:新藤晴一 作曲:岡野昭仁

2番では、孤独と闘う花の気持ちを代弁したような歌詞になっています。

雨が降り、荒野が少し潤う。

バッタに会ったのも、雨が降っていたからです。

通りすがりのバッタは、孤独に咲く花に寂しくないかと尋ねます。

1人頑張る姿は凜として美しいけれど、孤独に潰れそうな夜もあるでしょう。

最後の行は、孤独に震える花の気持ちが伝わってきます。

平気そうに見えても、寂しくないわけじゃない。

 一見、わがままで自由奔放に見える鹿野靖明。

それでも、殻の自由を奪われ。1人闘っている姿に重なります。

人と人をつなぐ温もり

大地の深くにまで 張りめぐらせた根が
命の記憶とつながって
隣にはいなくても 確かに感じあえている
一人じゃない

出典: フラワー/作詞:新藤晴一 作曲:岡野昭仁

この部分は、人との見えない絆がよく分かる歌詞です。

たとえ側にいなくても、心の中にしっかりと刻まれている。

1人1人の心の中に、鹿野靖明という人間の記憶が刻まれていきます。

それは、かけがえない宝もの。

人は、大切な人と過ごした時間を心に刻みます。

そうすると、その人と離れていても寂しくない。

まるで、すぐ横にいるような感覚になるほど、心の中に住んでしまうのです。

多くの人に囲まれて生きている鹿野靖明。

彼もまた、1人で闘っていながら、1人ではないのでしょう。

終わりがあるから際立つ生命

冬の気配が荒野を満たせば 風もないのに花びらが落ちてゆく
長い眠りが近づいていることを知って 小さな種を地面に落とした

出典: フラワー/作詞:新藤晴一 作曲:岡野昭仁 

この部分では、冬の気配が漂ってきます。

花にとって、厳しい冬は命の終わりを迎える時でもあります。

朽ち果てる前に、次の命をつないでいく。

それは、命の危険にさらされながらも、人の心に息づいた鹿野靖明にも言えます。

きっと、命の終わりを感じる瞬間もあるでしょう。

もうダメかと、覚悟する瞬間もあるでしょう。

しかし、だからこそ命は眩しく輝きます。

そして、一瞬一瞬を懸命に生きようとする姿。

人の心に強く刻み込まれて、記憶の中で生き続けるのです。

朽ちる間際の美しさ

降り積もる雪の下 閉ざされた世界で
どんな夢を見ているのだろう
春には氷を割って 新しい景色に出あう
光あふる

出典: フラワー/作詞:新藤晴一 作曲:岡野昭仁

最後のサビでは、雪の下で春を待っています。

これは、朽ちた花が落とした種でしょう。

今は暗い雪の下でも、春には芽を出し、新たな命が息吹きます。

種なら、ただ春を待つ姿。

しかし鹿野靖明と重ねると、意味合いが変わってきます。

人が夢を見るのは、夜の間です。

眠っている間、どんな夢を見るのか?

しかし鹿野靖明の場合には、永遠の眠りを指しているのでしょう。

どこか、最期を思わせるような歌詞が切ないところです。

どうか、幸せな夢を見ていてほしいものです。

強くなりたいという切なる願い

I wanna be so storong, Even if I'm alone. I wanna be so storong, Flower.

出典: フラワー/作詞:新藤晴一 作曲:岡野昭仁

英語の歌詞も非常に印象的です。

岡野昭仁の伸びやかで温かい声。

ここには「強くなりたい」という切なる思いが込められています。

たとえ荒野に咲いた花のように、過酷な環境でも。

たった1人きりだとしても、花のように強くありたい。

美しく、フラワー」という曲の意味が凝縮された部分です。

「フラワー」が意味するものは?

フラワー」の歌詞を紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?

花は種を落とした場所に根付きます。

そこが高山でも、草原でも、荒野でも。

どんな過酷な環境であろうと、生きていかなくてはなりません。

それは人間も同じ。

「なぜ、自分がこんな目に」。

そう思うほど、理不尽なことはたくさんあります。

それでも、鹿野靖明は負けませんでした。

自分なりに精一杯明るく生きた人です。

その姿は、周りの人間にたしかな生きた証を残します。

儚くも強い。そんな姿に人は惹かれてしまうのでしょう。

花=人の人生