くにの名はEAST ASIA 黒い瞳のくに
むずかしくは知らない ただEAST ASIA

出典: EAST ASIA/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき

もうクライマックスの歌詞です。

「EAST ASIA」は歌っている内容こそ壮大なものでしょう。

しかし歌詞の情報量を抑制して、本当に人びとの意識に強く残る言葉だけを選び抜きました。

中島みゆきは創作にかなりの時間をかける人として知られています。

必要な言葉だけで伝えきることに専念しているのです。

もちろん彼女は饒舌な歌詞だって書けます。

しかし「EAST ASIA」では言葉を絞り込んで思いを伝えるのです。

要するに私は大雑把に東アジアからきた人間だと歌います。

この瞳が黒いことでそのことを察してください。

東アジアにどれだけの国があるかを説明する気はあまりないです。

その違いは旅先で気にするものではないと彼女は自覚しました。

あらゆる線引きを無効にしよう

中島みゆき【EAST ASIA】歌詞の意味を考察!ここはどんなくに?心と地球が笑っている理由を紐解くの画像

なぜ同じ東アジアの人間でその帰属意識からいがみ合ったりするのでしょう。

そんな問題提起も含んでいるのがこの「EAST ASIA」です。

しかし投げかけた問題はもっと多層でしょう。

世界の中心について自国を優先する愚かさは地球全土で見られるものです。

というのもそれぞれの地域に細かく、しかし巨大なパワーが人びとを翻弄しています。

国家への帰属意識はやがて不健全な形でのナショナリズムと手を組むことだってある危険なものです。

東西冷戦構造が終わって地球上の行き来が自由になった1992年でもこうした問題は残りました。

さらにいえばまだまだ人類はそれぞれのナショナリズムと手を切れません。

その愚かさを地球は笑うだろう中島みゆきは考えました。

おそらく彼女は歳を重ねるごとにこの問題について危機感を高めています。

まだまだ人間存在のそのものを問い続けているのが中島みゆきという作家です。

いまでもこの「EAST ASIA」が切実に響くことはある意味では不幸なことかもしれません。

それでも旅をする人の心は愛する相手のもとにあることに希望を見つけたいです。

個々人にあるこうした共感する心が全般的に作用する未来では私たちは「EAST ASIA」さえも語りません。

同じ地球にいるということだけを意識して自由にコミュニケーションをする未来がきます。

希望が宿るその心は巨大なパワーを持ってしても掌握されたりはできないからです。

「EAST ASIA」は希望を灯す歌であり、人によるあらゆる線引きを無効にしてくれます

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

OTOKAKEと中島みゆきの軌跡

中島みゆき【EAST ASIA】歌詞の意味を考察!ここはどんなくに?心と地球が笑っている理由を紐解くの画像

OTOKAKEには中島みゆきの関連記事がたくさんあります。

その中でも「EAST ASIA」の記事と共通するテーマもあるものをご紹介しましょう。

世情」という中島みゆきの作品の中で一番難解な歌詞を持つ曲。

この曲の歌詞を徹底解釈すると心とパワーの問題も登場するのです。

今回の記事とあわせてご覧ください。

中島みゆきが1978年に発表した楽曲「世情」は彼女の活動履歴の中でも屈指の名曲とされます。一方でその意味を解釈することが難しい歌詞であることでも有名です。あまりにも深く難解な歌詞ですが中島みゆきがこの曲に込めた真意に迫りましょう。

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