サビの部分では、2人の別れが思い起こされます。
最初は運命の人だと思っていた。「赤い糸」でたしかにつながっているのだと感じていた。
でも「赤い糸」は音を立ててちぎれてしまった。
ちぎれた、ではなく「ちぎれてしまう」というあたりに「僕」の未練がうかがえます。
ちぎれた「赤い糸」は、次の出会いに向けて新しいものに変化していきます。
2人で過ごした日々はやがて思い出となり、セピア色の写真のようになっていくのでしょう。
「それでもサヨナラ」という一言に、「僕」の気持ちが表れています。
「僕」は本当は「君」と一緒にいたかったのです。
しかし「赤い糸」がちぎれてしまった今、それはもう叶わない願い。
一緒にいたいのに「それでもサヨナラ」をしなければならない。
このときの「僕」の心境は、本当につらいものだったのだと想像できます。
リアルに描かれる後悔の日々
「デイドリーム」の2番では、失恋した後の生活が描かれます。
日常のふとした行動からも、「僕」の切ない気持ちが伝わってきますよ。
食事ものどを通らない
何度も開いたホーム画面に通知はなくて
何を期待してんだ
受け止めきれない現実と昼ごはんの
味はしない 喉を通らない
最後の君の言葉をずっと噛み締めているから
出典: デイドリーム/作詞:平部雅洋 作曲:平部雅洋
時間は再び、失恋した後の日々へと戻ります。
「僕」は何度もスマホを開いて、「君」からのメッセージがないか確認してしまいます。
失恋後のあるある行動ですね。
しかし現実は無常で、「君」からの連絡はありません。
ここで「僕」の甘い幻想が打ち砕かれたことがわかります。
まだ「君」との別れを受け入れられない「僕」。食事ものどを通りません。
食事の代わりに味わっているのは、「最後の君の言葉」。
最後にあった時に言われた言葉はなんだったのでしょう。
1番のサビにも出てきた「サヨナラ」かもしれません。
嫌いなわけじゃないのに
深い夜と滲む月明かり
繋いだ手を忘れてしまったのかい
欠けてゆく月とともに君の
気持ちも欠けていってしまったのかい
「嫌いになったわけじゃないんだよ」
「どうしてサヨナラ?」
出典: デイドリーム/作詞:平部雅洋 作曲:平部雅洋
夜になっても、「僕」の頭の中からは「君」のことが離れません。
かつて「君」といた時につないだ手の温もり。
「君」はそれすらも忘れてしまったのだろうか。
満月が欠けていくように、好きという気持ちも「君」にとっては欠けていくものだったのだろうか。
そんな「僕」の未練が女々しいまでに語られます。
このフレーズの最後に出てくる会話は、「君」と「僕」の会話でしょう。
別れることを「君」に切り出された「僕」はなかなか納得できません。
「君」は嫌いになったから別れるわけではない、と言っています。
そう言われてしまうと、「僕」はますます納得できません。
だからこそ、「どうしてサヨナラ?」と聞いてしまったのでしょう。
ずっとそばにいてほしい
悪い夢なら早く覚めて
僕の元からいなくならないで
明けそうにない夜だから
もうずっとそばにいて
出典: デイドリーム/作詞:平部雅洋 作曲:平部雅洋
「僕」は失恋した後の日々を、「悪い夢」だと思っています。
まるで白昼夢のように、目覚めながらにして見ている夢だと感じているのでしょう。
もし失恋の事実が夢だとしたら、この夢からは永遠に覚めることはありません。
「明けない夜」と表現されているのはそのためでしょう。
「僕」が一番伝えたい願いが、最後の1行に集約されています。
「僕」はやっぱり、「君」と別れたくなかったのです。
この別れへの未練や後悔を、断ち切ることができないのです。
くり返されるフレーズが頭の中をループする
「僕の知らない誰か」への嫉妬
僕の知らない誰かと同じ右手を繋ぐとか
僕の知らない誰かと同じキスをするとか
僕の知らない誰かと迎える初めての夜とか
僕の知らない誰かと下の名前で呼び合うとか
出典: デイドリーム/作詞:平部雅洋 作曲:平部雅洋