”チキチータ、本当のことを教えて。あなたが泣き崩れるとき、私は肩を貸すわ。

あなたの親友は私。あなたが頼るのは私なの”と。

この部分では、二人の親密性が表されています。

きっぱりと言い切っている二人は、お互いにとって唯一無二の存在なのでしょう。

いつもそばにいて支え合っている親友。

”あなたはいつも自信に満ちていたのに”とも語っています。

いつもの彼女は、笑顔で明るい素敵な女性なのではないでしょうか。

そう、いつもそばで笑顔を見せてくれるのに…。

羽を失った友

Now I see you've broken a feather
I hope we can patch it up together

出典: CHIQUITITA/作詞:Benny Andersson, Bjoern Ulvaeus 作曲:Benny Andersson, Bjoern Ulvaeus

いつも笑顔いっぱいの大切な友人。大好きな友人。

そんな彼女が悲しみに暮れているのです。

”でも今は(その自信の)羽が傷付いているのね。修復できるように祈っているけれど”と。

羽が傷付くというのはもちろん比喩ですが、心が傷付いているということでしょう。

いつもは明るい彼女が、今は沈み切っているのです。

いつものように跳べないのです。

友人側(=主人公)からの視点だけで歌われている曲ですが、親友の様子が手に取るように分かります。

そして、その彼女を心配する主人公の気持ちも痛いほど伝わってきます。

悲しみの理由

So the walls came tumbling down
And your love's a blown out candle
All is gone and it seems too hard to handle

出典: CHIQUITITA/作詞:Benny Andersson, Bjoern Ulvaeus 作曲:Benny Andersson, Bjoern Ulvaeus

悲しみの理由が少し表現されています。

”壁が崩れ落ちてきたのね。

あなたの愛は吹き消されたろうそくのよう。

すべてが去り、あなたはどうしようもないのね”

親友が恋人に裏切られたのでしょうか。

困難の壁は一つではなく、どんどん崩れ落ちていくように聞こえます。

愛が消え、大切なすべてが彼女から消え去ってしまったと言っています。

彼女のろうそくが、誰かに吹き消されたのです。

そう、大切な親友が誰かに傷付けられたのです

悲しみを乗り越える方法

ともに泣こう

Chiquitita, you and I know
How the heartaches come and they go
and the scars they're leaving
You'll be dancing once again and the pain will end
You will have no time for grieving

出典: CHIQUITITA/作詞:Benny Andersson, Bjoern Ulvaeus 作曲:Benny Andersson, Bjoern Ulvaeus

ここはサビです。

女性ボーカルの声も高まり、ハーモニーも盛り上がります。

そして、一気に親友を慰めるセリフが続きます。

”可愛い人、私たちは知っているわ。

心の痛みがどんな風にやって来て、そして去っていくか。

心の傷も次第に消えていくのよ”と前向きな言葉を掛けています。

”そしてまた一緒に踊りましょう。苦しみも終わるわ。悲しみに暮れている時間はないのよ”と。

きっと主人公自身も、傷付いた経験があるのでしょう。

痛みを知っているからこそ、掛けられる言葉ではないでしょうか。

悲しみには終わりがあるー。

知っていても、悲しみの最中にいる時は、周りが真っ暗で先が見えないものです。

そんなときにそばに寄り添って慰めつつ、肩をそっと貸してくれるー。

それがこの二人の関係なのでしょう。

「また一緒に踊ろう」というのは、欧米的なセリフです。

彼女自身は、真っ暗な世界にいて、きっとまだそんな気分にはなれないはず。

でも、そばで寄り添ってくれる親友という存在に、どれほど慰められることでしょう。

新しい歌を歌いましょう

Chiquitita, you and I cry
But the sun is still in the sky and shining above you
Let me hear you sing once more like you did before
Sing a new song, Chiquitita
Try once more like you did before
Sing a new song, Chiquitita

出典: CHIQUITITA/作詞:Benny Andersson, Bjoern Ulvaeus 作曲:Benny Andersson, Bjoern Ulvaeus

サビパートの続きです。

”愛しい人、私たちは一緒に泣きましょう。

でも、太陽はまだ空に昇っていて、あなたの上で輝いているわ。

前みたいに私に歌を聞かせて。

そして新しい歌を歌いましょう。

前のようにやってみましょう”と優しく歌っています。

「きっと大丈夫だから」と背中をそっと押してくれているように感じます。

歌詞ももちろん心に染み入るのですが、女性二人の美しいハーモニーがこの効果を増しています。

絶妙に絡み合う二人の声がとげの刺さった心に浸透し、生まれ変わったような感覚に。

この美しい声に慰められ、彼女は少し悲しみの底から抜け出せたのではないでしょうか。

完全に抜け出せなくとも、きっと少しは前を向けたはず。

少し涙は止まったかもしれません。そう願いたいものです。

永遠に広がる奥行の中で響き合う声が心に染みわたります。

おわりに

ABBA「チキチータ(CHIQUITITA)」の意味って?歌詞と共に解説!1人で悲しむ人を慰める名曲の画像