聴く人をたちまち虜にする米津玄師=ハチの魅力とは

米津玄師/ハチが贈るボカロ曲おすすめ!歌詞解説の画像

米津玄師さんは徳島県出身、1991年生まれのミュージシャン。

自身の作詞作曲による楽曲の演奏や歌唱に加えイラストレーターとしても知られており、ミュージックビデオやジャケットで見られる独特の世界観を感じさせるイラストの数々を手がけています。

さらに映像やアレンジ、ミックスやプログラミングなど、その溢れ出る才能を発揮していることからも、まさに天才という名にふさわしい活躍ぶりですね。

そんな米津玄師さんのもう一つの顔が、ボカロ曲を数多く手がけてきた“ハチ”。

かねてからニコニコ動画上でボーカロイドのオリジナル楽曲を次々と投稿して話題になっていました。

ハチ時代からニコニコ動画では超有名人

ハチとしては2009年にオリジナル楽曲「お姫様は電子音で眠る」(初音ミク)でデビューを飾って以降、次から次へとボーカロイド曲を発表し、当時から話題に。

はじめはニコニコ動画ユーザー間のみだった人気は、ある種中毒性のある独特な曲調もあって人気が爆発的に広がっていきました。

いつしかコアなファンが続出するとともに、やがては業界関係者も注目してメジャーデビューへつながったというわけです。

ハチ名義のボカロ曲をPICK UP!

ハチが世に送り出した楽曲はどれも、聴いたら最後、何度も頭の中で連続再生されてしまうような不思議な力があります。

曲調もそうですが、歌詞も知らないうちに脳内にインプットされてしまうようです…。

ハチは初音ミク以外にもGUMIや巡音ルカといったボーカロイドを使用していますが、その人工的で無感情にも思える歌声だからこそ、歌われている歌詞が聴く人の心に切なく訴えてくるのかもしれません。

ハチの創造する歌詞は難解なことでも知られており、インターネット上でも多様な解釈や意見のやりとりが活発に行われているようです。

そんなふうに聴く人の価値観や体験、感受性などによって、何とおりにも読み取ることができるのも、ハチのボカロ曲の面白さといえるのではないでしょうか。

ではハチ名義で発表されているボカロ曲の中から、いくつかご紹介してみたいと思います。

マトリョシカ

考え過ぎのメッセージ
誰に届くかも知らないで
きっと私はいつでもそう 継ぎ接ぎ狂ったマトリョシカ

出典: マトリョシカ/作詞:ハチ 作曲:ハチ

色々な思いを詰め込んで作られたメッセージ。

でも本当に言いたいことは伝わらず、真意とは違った意味合いにとられることばかりです。

ああ、吐きそうだ
私の全部受け止めて
ああ、その両手で
受け止めて

出典: マトリョシカ/作詞:ハチ 作曲:ハチ

誰かこの思いを本当に分かってくれる人はいないの?

もしいるのなら、両手を広げて私の全てを受け止めて欲しいのに。

心の芯にある思いが伝えたいようには伝わらない…。

そんなフラストレーションを、小さな人形をいくつも重ねて内部が見えないマトリョシカになぞらえているような気がします。

この曲もはPVもハチ自身が手掛けており、かなりのインパクトを与える曲。

ハチの代名詞のような、絶大な人気を誇る一曲です。

「マトリョシカ」がボカロやハチのファンになる最初のきっかけになった、という人も多いのではないでしょうか。

clock lock works

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心の奥底には 鍵をかけた扉
「馬鹿げてる」 そう言い聞かせては
ノックの音を無視した

「変わらない」と 諦めて
佇(たたず)む時計の針に急(せ)かされる
夢ならば 喜んで
「星に願い事を」と 真面目な顔で

出典: clock lock works/作詞:ハチ 作曲:ハチ

「じたばたしてもどうせ何も変わらない」と思ういっぽうで、心の底に鍵をかけてまでしまい込んだ夢が開けてくれとノックする。

そんな心の声が聞こえないふりを続けている自分がいます。

パンダヒーロー

「一つ頼むぜ、お願いだ」 カラカラの林檎差し出して
何でもないような声で愚図 さあ何処にも行けないな

出典: パンダヒーロー/作詞:ハチ 作曲:ハチ