閲覧注意!人気ボカロPハチ屈指の闇深い楽曲

舞台は精神病棟?とある患者の凄惨劇を歌う

稀代の名VOCALOIDプロデューサーであったハチ

今は米津玄師としての活躍も皆さんご存知の通りであるかと思います。

今回ご紹介するのは、まだ彼がハチとして活躍していた頃の楽曲【病棟305号室】

彼の楽曲は、すでに当時から独特の世界観で非常に人気の高いものでした。

そんな彼の楽曲の中でも特にホラー色の強い、闇の深い楽曲であるこの曲。

ここでは精神を病に侵された、1人の哀しい女性の物語が綴られています。

ホラーや怖い話が苦手だという方は、ぜひ閲覧は自己責任でお願い致します…。

実はセルフリメイク曲だって知ってた?

今回ご紹介する【病棟305号室】は、ハチ名義のアルバム『OFFICIAL ORANGE』に収録されています。

しかし実はこの曲、ハチが初期の頃に制作したある楽曲をセルフリメイクしたものなのです。

その楽曲がこちら、【雨降る街にて風船は悪魔と踊る】

本人曰く『むしゃくしゃして1日で作った』楽曲とのことですが、そのクオリティの高さには驚かされます。

また楽曲を彩る映像も、実はその製作期間1日に含まれているのだそう。

1枚絵の多い映像ですが、そう聞くとむしろ1日でこのクオリティに仕上げた彼の才能がうかがえますね。

またこの【雨降る街にて風船は悪魔と踊る】という楽曲も、実はとある彼の楽曲の前日譚となっています。

その楽曲は【お姫様は電子音で眠る】というもの。

今流通するどの音源にも収録されてないこの曲は、ハチ=米津玄師の実質の処女作という伝説の曲です。

今でもYouTubeなどでは聴くこともできる為、興味のある方はぜひそちらもチェックしてみて下さいね。

早速歌詞をチェックしよう!

それではここから【病棟305号室】の歌詞を解説してきましょう。

リメイク前の楽曲【雨降る街にて風船は悪魔と踊る】には、実は比較的有名な歌詞の解釈があります。

それは『子どもを流産した女性が精神を病み、他の妊婦を殺してしまった』というもの。

今回は前作のこの解釈をベースとして、【病棟305号室】オリジナルの解釈を展開させて頂ければと思います。

命を身籠るとある女性の妄言

尊い命に蝕まれていく心

患者が一人 花弁を剥いで
病棟汚し ケラケラ言う
「全部アタシの宝物よ綺麗でしょう?」

患者が一人 踊躍って
風船揺らし 肺の内より
体温さえも目を逸らす様な愛を歌っている

出典: 病棟305号室/作詞:ハチ 作曲:ハチ

とある精神病棟の305号室に入院している1人の患者。

彼女はこれまで、たくさんの障害を抱えながらも尊い命を授かることを待ち望んでいました。

そして今回、やっと小さな命を授かることができたのです。

しかしいつその希望を失うのか分からないという恐怖は、少しずつ彼女の精神を蝕んでいきました。

彼女の容態は日に日に悪化していき、幻覚や幻聴を訴えたり、不可解な言動を繰り返すのです。

お見舞いに貰った、色鮮やかな花束や風船。

一輪の花の花びらを、望んだ命の名前を繰り返し呼び続けながら毟り取っていったり。

真っ赤な風船を手にし虚ろな表情で、幼い子どものように歌を歌ったり。

彼女の拍子の外れた不気味なほどに明るい歌声が、ここ毎日ずっと無機質な病棟にこだましています。

閑静に歌って 透明な手
曖昧に伝って その名前
嚢胞さえも チョコレート
甘い血を匿い

聴診にアンプルの音
心音逃避 注射器の目
血清抜いたチューブの先
見て!ここに!

出典: 病棟305号室/作詞:ハチ 作曲:ハチ

彼女に付けられた病名は『産褥期精神障害』

女性の身体に大きな変化をもたらす妊娠という事象が、心の状態まで狂わせてしまうというものです。

幻覚や幻聴、時には胎内の命に気味悪さを覚えたり、死にたいという思いに囚われる患者もいるんだそう。

以前の穏やかな彼女を取り戻そうと、必死に治療は続いていきます。

しかしその努力とは裏腹にお腹が大きくなるにつれ、彼女の精神状態はますます悪化を辿るのです。

思えば、彼女の尊い命を宿したいという思いはどこか執着にも似たものがありました。

胎内にチョコレート嚢胞という腫瘍を患い、自身の身体に命の望める確率が非常に低いと知らされても。

どうにかならないかと医師に縋る彼女の目は、時折血走りを見せるほどに必死でした。

一体何が、そこまで彼女の妊娠出産への執着を生み出しているのか。

それすらも、まだはっきりとはわかっていないのです。

彼女が身籠ったのは…

雨が降る街に悪魔の声がランバラ ランバラ ランバラ
落とし物 探してる
微かに鳴るのは君の寝息さロゥジラ ロゥジラ ロゥジラ
気づかない 気づかない

出典: 病棟305号室/作詞:ハチ 作曲:ハチ