いつも未来の話ばっかするから
つい、私も
何だか本当にずっと一緒に居られるんじゃないかって
出典: 曇り夜空は雨の予報/作詞:宮崎朝子 作曲:宮崎朝子
恋人と普段から話しているのは何気ない将来の約束です。
「今度遊園地に行きたいね」「来年になったら旅行に行こう」。
何ヶ月後や何年後かの約束をすればするほど、その約束が叶うまではずっと一緒な気がするのです。
だからこそ主人公も期待してしまいます。
2人の明るい将来のこと。結婚や出産、老後の暮らしなど輝かしい将来を夢見てしまうのです。
しかし恋人の発言はあまりにも軽すぎます。
その約束も適当に言っているだけ。本当に叶う保証なんて無いのです。
主人公がいかに恋人に対しての信頼を失っているかを感じ取ることができます。
恋人との嬉しいはずの将来の会話は主人公の心をどんどん締め付けていくのです。
この部分は好きなのに苦しい、好きだから苦しい主人公の葛藤と心苦しさが伝わってくる歌詞になっていました。
この楽曲の本質が詰まっているサビ部分
視線が表す2人の心
君は星の見えない曇り夜空見上げて
明日は雨が降るのかな、なんて
私は明日なんてどうだってよかったから
ただ繋いだ手と手見つめてた
これだけがただ、真実だと思うから
出典: 曇り夜空は雨の予報/作詞:宮崎朝子 作曲:宮崎朝子
サビ部分の歌詞からはこの楽曲の本質を読み解くことができます。
それは主人公の想いと恋人の想い。そしてその差です。
長い人生の中でも恋人同士の2人が一緒に居られる時間には限りがあり、貴重な時間になります。
学校や仕事、プライベートの時間など24時間はあっという間に終わってしまうのです。
そしてようやく会えた待ちに待った恋人との甘い時間。
しかし恋人は一緒に居るのに空を見上げ、一緒に居るのに明日の天気の話をしています。
一方主人公は空ではなく、固く握り合った2人の手を眺めているのです。
2人の視線の方向は上と下。バラバラの方向へと向いてしまっています。
好意のベクトルがズレている
この違う方向を向いた視線が表しているのは2人の好意のベクトルでしょう。
お互いの好意は噛み合わず別々の方向を向いてしまっているのです。
空を見る恋人と恋人と自分の繋がりを見る主人公。
主人公は恋人と会っているのに、恋人と繋がっているという確信が欲しいのです。
いかに普段から寂しい思いをしていたのかが伝わってきます。
付き合っているはずなのに、好き同士のはずなのに、付き合っていることを確認したくなってしまう。
主人公は2人の関係が不安なのです。
これこそがこの2人の関係の本質ではないでしょうか。
主人公の心には雲のような大きなモヤモヤが覆いかぶさっているのです。
本当の自分を出せない苦しみ
二人写った写真が欲しいと
素直に君に言えないのは
私、君に幼い女だと思われたくないから
出典: 曇り夜空は雨の予報/作詞:宮崎朝子 作曲:宮崎朝子
この歌詞から2人が仲の良いカップルとは呼べない関係であることがわかります。
自分の気持ちを伝えることができない。
主人公は自分の気持ちを伝えて嫌われてしまうことが怖いのです。
でも好きという気持ちは収まりません。
主人公は好きすぎて気を使ってしまっているようです。
完全な上下関係が生まれてしまい、常に別れを切り出されることに怯えています。
この部分には共感する人も多いのではないでしょうか。
好きだからこそ自分の気持ちを素直に出せない苦しみが痛いほど伝わってきます。
この歌詞からは本当の自分を出したいのに出せないもどかしい想いを感じ取ることができるのです。
心が落ち着かない夜
今夜は眠れないよ
出典: 曇り夜空は雨の予報/作詞:宮崎朝子 作曲:宮崎朝子
静かな夜になると様々なことを思い出し、いつもより深く考え込んでしまいます。
主人公も今までの苦しみや寂しさを思い出してしまっているようです。
寝られない時間が続けば続くほど、考える時間も増えてしまいます。
いっそすぐに寝てしまいたいのに寝られないもどかしさと辛さをこの歌詞からは感じ取ることができるのです。