さて。ATSUSHIはいったい、私たちに何を伝えようとしているのか?1番から順を追って見ていきましょう。
孤独感と虚無感漂う「懺悔」の詞世界
PVの冒頭。新宿の高層ビル街で物憂げに佇むATSUSHIは、突如京都の古刹へとワープします。
現代の首都・東京から千年の古都・京都へ。時空を飛び越えるATSUSHIの独白。
想いなくして何も生まれず
意図なくして意味も生まれず
ただ生きるのか…
出典: 懺悔/作詞:ATSUSHI 作曲:久石譲
「ただ生きる」だけでは物足りない。慌ただしい日常に物足りなさを感じる。洛中洛外図を前にしたATSUSHIの心境が表れているのかもしれません。
時代(とき)を越えて伝わる想いは
命の結晶
今想ふ
あなたの心
出典: 懺悔/作詞:ATSUSHI 作曲:久石譲
「今想う」のではなく「今想ふ」。歴史的仮名遣いになっていますね。古(いにしえ)の人々との対話を試みるATSUSHI。
愛を失った肉体
魂さえも腐らせる
浮世の世界に
かすかな光
絶やす事なく
照らし続けたまえ
出典: 懺悔/作詞:ATSUSHI 作曲:久石譲
絶望に苛まれながらも、せめて一筋の希望の光を見出したい。ATSUSHIの願いが見えるようです。
響き渡る篳篥(ひちりき)のしらべたち
遥か彼方
消えてしまったのだろうか…
出典: 懺悔/作詞:ATSUSHI 作曲:久石譲
篳篥(ひちりき)は日本の宮廷音楽の伝統楽器。宮廷の優雅な香りはいったいどこへ?ATSUSHIの切ないボーカルが、切実さを伴ってリスナーの胸に迫ってきます。
いつしか問題提起へと変わるATSUSHIの独白
ここからは2番の歌詞を読みこみましょう。曲はそのまま流れるように大サビへと雪崩れこみます。
時間(とき)を刻む針の音色は
無情なほどに美しい
螺旋を描く
出典: 懺悔/作詞:ATSUSHI 作曲:久石譲
迫り来る終わりをただ
静かに迎えようと
それが人の定めと
思えるほど
強くもなければ
清いわけでもない
出典: 懺悔/作詞:ATSUSHI 作曲:久石譲
一筋の希望をと願うATSUSHIの悩みは思いのほか深く、一筋縄ではいかないと見えます。
どうやら終末は避けられない。かといってギブアップはしたくない。あきらめが悪いんですねえ。
響き渡る嘆きの叫びたち
いつの日にか
天に届くのだろうか…
流れる人々の刹那たち
姿を変え
どこへたどり着くだろうか…
激しい荒波と
怖いほどの静寂を
繰り返して
今を超えてゆけるだろうか…
犯した数多の罪たちも
愚かささえ
すべて消えゆくだろうか…
出典: 懺悔/作詞:ATSUSHI 作曲:久石譲