1行目の歌詞は人生というものに対しての甲本ヒロトの持論が述べられていると考えられます。

音楽家という創作を生業とする者でありながら、決して夢見がちでなく地に足が付いているように感じる表現です。

人生の進む先というのは、決して夢という言葉1つで片付けられるような生半可なものではない。

彼はそう考えているのかもしれません。

1行目で用いられている「幻」や「夢」という言葉からは現実味の無さを感じます。

しかし私たちは決してそうした妄想の中を生きているわけではありません。

しっかりと毎日の生活を粛々と続けた上で、幸せへと1歩ずつ近づいていくのです。

2つの赤

赤色が表すものとは

夕焼け空は赤い 炎のように赤い
この星の半分を真っ赤に染めた

出典: 夕暮れ/作詞:甲本ヒロト 作曲:甲本ヒロト

ここでは夕焼けの空の赤色について言及しています。

彼にとって夕焼けと聞いてイメージするのはオレンジ色ではなく赤色なのでしょう。

赤という色から連想されるのは情熱や生命力といった言葉です。

生きていく上で私たちに必要な、前を向いて自分の人生を生きていくのだという情熱を意味しているのかもしれません。

もしくは、もっと広大な地球や自然といったものが持つ生命力について言及しているのでしょうか。

自然の神秘ともいえる真っ赤に燃える夕焼けの色。

その色を見て彼の胸に湧き上がるものがあるのだと分かります。

情熱の赤い血

それよりももっと赤い血が
体中を流れてるんだぜ

出典: 夕暮れ/作詞:甲本ヒロト 作曲:甲本ヒロト

前述のパートでの赤い夕焼けについての言葉が、このパートで新たな意味を持ち始めます。

この2行では人間の身体に流れる血液の赤さについて言及しているのです。

この血の赤さと夕焼けの赤さを比較して、人間というものについて語ろうとしていることが分かります。

前述の歌詞パートでの解説で、赤は情熱を意味していると書きました。

夕焼けよりもさらに赤いという人の血の色。

彼はそこに夕焼けから感じる以上の情熱を感じているのではないでしょうか。

血液というのは強烈な赤です。

人間は赤を見ると興奮するといいますが、それは自分たちの体内に流れる血液が赤いことも関係しているのでしょう。

この赤が流れているということは、それだけ私たちにエネルギーが溢れているということを表していると考えられます。

彼は人間が本来持っているそのエネルギーについて言葉にしたかったのではないでしょうか。

私たちに流れるもの

赤い血を歌う理由

THE BLUE HEARTS【夕暮れ】歌詞の意味を解釈!幸せになる?夕焼け空よりも赤いものとはの画像

それよりももっと赤い血が
体中を流れてるんだぜ
体中を流れてるんだぜ
体中を流れてるんだぜ

出典: 夕暮れ/作詞:甲本ヒロト 作曲:甲本ヒロト

この楽曲の最後の歌詞パートにおいて、甲本ヒロトは上記の歌詞を歌っています。

何度も彼が繰り返すのは、私たちの体内に赤い血液が流れているという事実です。

この繰り返しは、何を意味しているのでしょうか。

体内を流れる赤い血液というのは、私たちが生きているということの象徴でもあります。

心臓が全身に向かって血を送り、それによって身体を動かすことができているのです。

彼は私たちに人間には命というものがあるということを再度認識させようとしているのではないでしょうか。

勿論、生き物というものには総じて生命があります。

しかし自分という存在が生きていると実感することは中々ないことです。

それは人間が社会で生きていくことに必死になるあまり、忘れてしまった感覚なのかもしれません。

幸せになれるのか

彼は夢や目標というものに縛られている社会に対して問題提起しようとしているのではないでしょうか。

まず自分が生きているということそれ自体が尊いと認識すること。

それが私たちにとって重要であると彼は伝えたいのではないでしょうか。

人間は本来生物として生きており、その生の中でそれぞれが自分の幸せを模索していけばいいのです。

しかし文明の進化によって私たちは社会において目標を定めたり夢を持ったりすることが必要だと考えてしまうようになった。

しかし本来、私たちは自分らしく生きていくことによって幸せを手に入れて良いはずなのです。

自分の望むままに生きていいのだと、甲本ヒロトは私たちに伝えたいのではないでしょうか。

「夕暮れ」の歌詞には幸せを求める全ての人々に対してのエールが込められていました。

まとめ

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今回はTHE BLUE HEARTS(ブルーハーツ)の「夕暮れ」の歌詞の意味を解説してきました。

この曲で、甲本ヒロトは私たちに対して「夢」というものが絶対ではないということを伝えてくれています。

人間にとって本来あるべき姿というのは、幸せを探求するということ。

彼にとっての人生の持論と共に、目標に縛られる現代社会に苦悩する人々へのエールが語られています。

何かに苦悩した時にはこの「夕暮れ」を聞くことによって明日を生きる元気が湧いてくるはずです。

さて、最後にこの記事を最後まで読んでいただいた方に向けておすすめの記事をご紹介します。

OTOKAKEでは今回取り上げたTHE BLUE HEARTSに関する記事が他にも多数掲載されているのです。

以下に、今回のように楽曲の歌詞について考察した記事をピックアップさせていただきました。

この機会に是非ご覧になってみてくださいね。

最後まで記事を読んでいただき、ありがとうございました。

「情熱の薔薇」はロックバンド・THE BLUE HEARTSの1990年発表の9枚目のシングルです。最初で最後のオリコンシングル1位を獲得したこの曲。歌詞の意味を解釈します。