「少年の詩」の概要
THE BLUE HEARTSの伝説的名盤でもある「THE BLUE HEARTS」に収録された「少年の詩」。
少々過激なそのメッセージに、当時の若者たちはいろいろな事を考えさせられました。
作詞はもちろん甲本ヒロトさん。タイトルのとおり、少年が抱える苦悩のようなものが歌詞として綴られています。
「少年の詩」の歌詞を詳しくチェック!
お行儀が良い少年
パパ、ママ お早うございます
今日は何から始めよう
テーブルの上のミルクこぼしたら
ママの声が聞こえてくるかな
出典: 少年の詩/作詞:甲本ヒロト 作曲:甲本ヒロト
冒頭のシーンです。8ビートで音を連続させるだけのシンプルなイントロのあと、このAメロがスタートします。
歌詞になっている「パパ、ママ」という言葉とあわせて、メロディラインや伴奏もシンプルであるため、初めて聴いたときには「童謡のような曲なのかな?」とも思えてしまいます。
きちんと挨拶ができるほどお行儀が良く、反面で子供らしい一面も持つ少年。
ここでの「ミルク」の描写は、「それをこぼしたらママはどんな顔をするんだろう?」という純粋な気持ちが表れているように感じます。
子供が行う行動には時に理由がなく、「ただなんとなく」とか「みんながどんな反応をするか知りたかった」というような気持がきっかけとなることも多いもの。
そんなまだ成熟していない少年の感情を、ここでは「ミルク」を飲む幼児のなにげないシーンになぞらえて表現しています。
「バスケットシューズ」という言葉が持つイメージ
1、2、3、4 5つ数えて
バスケットシューズがはけたよ
ドアをあけても 何も見つからない
そこから遠くを ながめてるだけじゃ
出典: 少年の詩/作詞:甲本ヒロト 作曲:甲本ヒロト
ここでは、自分でシューズが履けるようにまで成長した少年の姿が描かれています。
「バスケットシューズ」という単語は、アルバムリリース当時である1980年代を思い起こさせます。
ポップカルチャーが流行の主流となっていたその時代の中で、「バスケットシューズ」を履いていた少年は「自分らしさとは何か」を考えていたのかもしれません。
自らの足で立って動き出さなければ「何も見つからない」ということに気付いた彼の気持ちは、この後のストーリーへとつながっていきます。
メインとなるメッセージ
別にグレてる訳じゃないんだ
ただこのままじゃいけないってことに
気付いただけさ
そしてナイフを持って立ってた
そしてナイフを持って立ってた
そしてナイフを持って立ってた
出典: 少年の詩/作詞:甲本ヒロト 作曲:甲本ヒロト
この曲のメインともいえるメッセージで、この「ナイフ」という言葉を含む歌詞が、何度も繰り返されてます。
この部分のメロディと伴奏は、伝えられているセリフとは全く似合っていないほどシンプルで、音に力強さもなく単調。
この「簡素なサウンドで物騒なことを歌う」というコンセプトこそが、「少年の詩」が持つ最も味わい深い特徴でもあります。
傍から見れば恐ろしく感じられる行動も、それをしている本人の中には至って冷静な心がある。
少年が持つ、「狂気性」や「未成熟」「純粋さ」などが入り混じった複雑な感情が、直接的な表現を避けながらサウンドと共に表されているように感じます。
ピュアな心
僕やっぱりゆうきが足りない
「I LOVE YOU 」が言えない
言葉はいつでもクソッタレだけど
僕だってちゃんと考えてるんだ
出典: 少年の詩/作詞:甲本ヒロト 作曲:甲本ヒロト
恋をするような年頃になった彼。気持ちを伝えられない自分を「ゆうきが足りない」と嘆いています。
ここで記されている「僕」という表現も、前述の「ナイフ」の描写に通じるものがあります。
「クソッタレ」という、あまり綺麗ではない言葉を使う彼の一人称にふさわしくない「僕」という優しい言い回しが、その心の中身を物語っているようです。
彼が持つ信念
どうにもならない事なんて
どうにでもになっていい事
先生たちは僕を 不安にするけど
それほど大切な言葉はなかった
出典: 少年の詩/作詞:甲本ヒロト 作曲:甲本ヒロト